自由な世界
春 菜奈
第1話
彼女の周りには自然の人が集まる。
彼女は自分が世界に名を轟かせる財閥の娘だからと思ってるがそれだけではない。
彼女が財閥令嬢の名に恥じないように努力をし模範となるように行動してきたからだ。
常に成績はトップ、運動も音楽も何一つ苦手なものはなく全て沙汰なくこなす。にも関わらず誰にでも分け隔てなく全ての人に温かく平等に接する。
そのため、学校では彼女を慕うファンクラブまで存在し、みんなの憧れの存在である。
学校の中心だった彼女が明日から1年間席を外す。
彼女のクラスには同級生はもちろん先輩や後輩たくさんの人が押しかけている。
そんな人々に疲れなど一切見せず一人一人丁寧に感謝を述べ接する九条結奈。
「みんな結奈が死ぬとでも思ってんじゃない?一年したら戻ってくるのに大袈裟な」
と呆れた様子で見る板垣大輔。
彼は大きな総合病院の息子で結奈とは生まれた時から幼馴染だ。
そしてもう1人「まぁ、結奈はみんなのアイドルだからね。」と優しく見つめる紅葉泉。
彼女もまた結奈の幼馴染で有名な華道家の娘だ。
お別れの会がひと段落して結奈が沢山の花束を抱えて2人の元に戻ってきた。
「今日は授業どころじゃないね、休み時間のたんびに次から次と、ここまで来ると尊敬だわ」と泉。
「これ全部どうやって持って帰ろうかしら、車に乗るか心配だわ。はぁーなんか昨日まで実感全くなかったけどやっと実感湧いてきたわ」
「めちゃめちゃ嬉しそうだな。でも約束とはいえ、よくおじさん許可してくれたな」と大輔。
「生まれてから今まで本当に完璧な財閥の娘をしてきたんだもん、結奈にだってご褒美ないとね。思う存分楽しむんだよ。なんかあったらすぐ連絡して!!2人で飛んで行くから」
と泉が結奈を抱きしめる。
学校、そして大輔と泉にもさよならをいい、
家に帰った。
夕食をみんなで食べていると父が口を開いた。
「いよいよ明日だな、明日からは一年なにも干渉はしない好きにしていい。だが、帰ってきたらお前も約束守るんだぞ」
「わかってます。最後のわがまま聞いてくれてありがとう。お見送りはいいわ、寂しくなるから。全ての準備してくださってありがとうございます」
と結奈は微笑んだ。
結奈は別に財閥令嬢として生まれたことを恨んでない。
むしろ何不自由なく生活でき、多くの人に愛され、温かい家庭に育ったことに感謝している。
しかし財閥令嬢には自由がない。
結奈の間違えが会社の大きな損失になることもある。
そのためいつも背筋を伸ばし、自分がどうしたいかよりどうすべきかを考えて行動してきた。
これはきっとこれから先も結奈を縛り続ける。
だから少しの間だけ自由に過ごしてみたかった。
普通の女の子になってみたかった。
その夢が明日から叶う。
その日の夜は不安と希望でよく眠れなかった。
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