祖父のこと

バブみ道日丿宮組

お題:栄光の天国 制限時間:15分

祖父のこと

 トップをねらえ。

 祖父がよく言う。

 成功者である祖父と、失敗者である父。

 どちらを参考にするかといえば、当然祖父の方だ。

 受ける教育の基本は祖父をベースとした。父のやり方は祖父のより生真面目でどこか現実味がなかった。その分、祖父のはレベルアップしてくのがきっちりとしていてわかりやすかった。 

 その理念を持ちながら学校を生活してくと、自然とリーダーシップを発揮し、学級委員、文化祭実行委員、生徒会会長とやることが増えてった。

 その分自由時間は少なくなった。

 家にいても、遊ぶということが少なくなった。

 それを見てか、祖父が自由時間を無くすのは愚かな行為だと、非難した。

 どうしてそんなことをいうのだろうか、憧れた祖父のポジションに理想を抱いたのは間違いだったのか。

 そうではないと祖父はいう。

 

 努力して栄光を手にするのでは、本当の意味で成功してるわけじゃない。

 

 言ってる意味がわからなかった。努力しないで栄光を手に入れるなんてことはできないはずだ。頑張ったからこそ、祖父はそのポジションについて、頑張れなかったから父が失敗した。

 

 栄光は失敗しても手に入る。


 父を見てご覧という。

 家で小説を執筆してる父の姿はとても楽しそうだった。失敗してるはずなのに、生き生きとしてた。それは祖父に負けないほどの熱さがあると思うくらいだ。

 

 大きくはなくても、夢は叶ってる。それは栄光といえないか。


 そういうことなのだろうか。

 輝かしいものを取れなかったら、失敗ではないのだろうか。

 やれるときにやれることをしなければ、それは地獄だと祖父は笑った。

 自分が好きなことをできるからこそ、天国であり、また栄光の道なのだと。

 その意味はなんとなくわかった。

 それから自由時間をきちんととるようにした。

 彼女らしい彼女もできた。

 やることもやって、できることもできた。

 もっとも彼女に集中してしまうのは、ダメかもしれない。

 祖父も昔はモテまくりで、いろんな娘に手を出して、たくさんなことがあったらしい。

 そういったところは遺伝されてるのか、父もそうだったらしい。

 その点、僕は一人だけを愛した。

 そこだけは祖父よりも優秀かもしれない。

 やがて祖父が亡くなった頃、祖父が作った道を破棄し、自分の道を計画した。

 

 地獄であろうと天国であろうと、それはきっと栄光なのだからーー。

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