第05話 チート
今後の目標が決まった所で現状も把握しておこう。
私の最大の強み、チートと言える点は3つ有る。
魔力操作、ゲーム知識、才能を持っている事だ。
魔力操作はリサの暴走に抑えるので使っているが、別にそれが全てでは無い。
名前の通りあらゆる魔力の操作が可能で、自分の魔力、他人の魔力、大気中の魔力を操る事が出来る。
ただ自分以外の魔力を操る時は絶対に成功する訳では無い。
他人の魔力はその者がレジストすれば失敗するし、大気中の魔力もその場所が他者の支配する空間だった場合は難しくなる。
失敗した場合、私が『魔力操作』という特殊技能を持ってる事がバレる可能性が高い。
切り札なので無闇に使うのは控えた方が良いだろう。
魔力操作が有るので魔法の制御について学ぶ事は殆ど無い。
それでも魔法の鍛錬を欠かす事は無い。
魔法は使用すれば使用する程に威力が上がっていくからだ。
その理由は体に馴染むからと言われているが、ゲーム的に言えば熟練度が上がってスキルレベルが上がるという事になる。
私は魔力操作を使ってより高度な魔法を使っているので、魔法に限って言えば現在でも相当なものだ。
成長すれば
リサの魔力調整もただ暴走を抑える為にやっているのでは無く、魔力の流れを良くして制御技術を上げたり、逆に負荷をかける事で鍛えたりしている。
リサは暴走の危険が有るので魔力を鍛えるのは最低限だが、今後成長していけばより強くなっていくだろう。
大気中の魔力を操る事についてだが、これで周囲の魔力を吸収していけば無限の魔力が手に入ると思ったがそうはいかなかった。
私の魔力操作の届く範囲が限られているので吸収出来る量は微々たるものだ。
ただ周囲の魔力を強制的に私の支配下に置く事が可能なので、相手の魔法はかなり弱体化する事が出来る。
他者の支配する空間だと難しいので、迷宮などで使えるかは不明だ。
だがこれも訓練次第で強制的に支配する事が出来ると思われる。
普通の魔法使いは魔法の制御に苦労する事が多いらしい。
魔法の教本でも制御技術が基本にして奥義と書かれていた。
修練すれば魔法の威力は上がって行くが、そうなると魔力量と制御技術が問題になってくる。
魔力量はある程度ならマナポーションなどで補えるが、制御技術は上げるのが困難だ。
杖や護符などのアイテムで多少上昇するが、効果が低い割に非常に高価と聞く。
私なら制限無しに魔法を強化できるので、どこまでいけるのか試してみるのも面白そうだ。
次のチートはゲーム知識だ。
これについては今後の目標を考えていた時に色々と考察した。深く考える事は無いだろう。
『真愛』シリーズの乙女ゲーム自体はそこまで使える知識が無い。
内政と恋愛が主体のゲームなので、領地経営を任されて無い私では意味が無いからだ。
恋愛についても攻略対象が男性だし、そもそも私は貴族社会から隔離されているので役には立たない。
だがシリーズ内の別ゲームなら役に立つ知識は有る。
純粋なRPGでは無かったが男性向けのゲームも有ったし、戦闘ももちろん有った。
鍛える魔法属性を決めたのもこのゲーム知識を参考にしたし、リサの訓練についても助言するつもりだ。
三つ目は才能だな。
公爵家という圧倒的な強者として生まれた私は
恵まれているというか、怪物的な才能を持っている。
前世で言えば小学校に通うかどうかの子供が大人顔負けの魔法を使っているのだ。
『魔力操作』の恩恵が有るとは言え、恐ろしいものだ。
魔力量に関しても既に母上を超えているし、セバスが来てから教わるようになった体術なども大人顔負けの動きが出来る。
スキルなんかも一目見ればある程度の真似は出来るし、自分で自分が怖くなる位だ。
だがこれはチートと言えるのか微妙な所でも有る。
この世界で生きるだけなら十分過ぎる程のチートなのだが、私が相手にするのは同じ公爵家の人間なのだ。
その意味では皆が同じ土俵なので、減点は無しと言った所だろうか。
四つ目になるが、最後が幼少の頃から大人の理性を持っている事だ。
普通の子供なら続けられない事でも我慢する事が出来る。
他のチートに比べると目立たないが、今までの人生で一番助けられてるのがコレだ。
リサやセバスが来るまでほぼ一人だったのだ。
使用人達は居たが私と会話する者はいつの間にか居なくなっていた。
普通の子供なら発狂してるだろう。
大人の理性を持っていてもキツかったが、毎日魔法を使う事で何とか正気を保っていた。
日々出来る事が増えて行くのは楽しかったし、成長を実感出来たからだ。
リサ達と話せるようになってからは毎日楽しいのだが、自重もしなくてはいけない。
セバスが忠誠を誓っているのは王家で、王家は今まで公爵家を止める事が出来ていないからだ。
私自身が王家に取り込まれて同じように失敗するのは避けたい。
公爵家と敵対する可能性が高い私を取り込むのは王家に取ってもリスクが高いし、同じ方向を向いている同志のような関係が一番好ましいだろう。
不遜な話だがな。
リサの方は…ある意味もっと注意が必要かも知れないな。
何故かと言うと、彼女は私に心から忠誠を誓っているからだ。
それ自体は非常に嬉しい事なのだが、彼女に依存しないようにしなければいけない。
今まで味方が母上しか居なかったので、リサが本当の天使に見えてしまうのだ。
中々ぶっ飛んだ所のある子だが、そこも可愛いと思えてしまう。
常に自制してないと危険だろう。
「ん……。ディノス様……。」
隣で眠るリサを見ながら、明日こそは別々に寝ようと心に決めるのだった。
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