第38話 スタンビート 迷宮
「「「ディノス様!!」」」
迷宮入口で敵を抑えている
他にも大勢の冒険者達が集まっており、協力してやってるようだ。
「ここはどうだ?」
皆の様子を見れば大体分かるが確認を取る。
「まだまだ大丈夫です!」
「無理をすれば、だろう?」
大きな傷こそ無いものの、鎧が所々壊れているし疲労の色が濃い。
このままでは近い内に怪我をするだろう。
周りの冒険者達に確認し、少しだけ休ませて貰う。
「お任せ下さい!それまではこの不肖ギリス、命をかけて防いで見せましょう!!」
任せてくれと言われたが、あの額当て…まさかギルドマスターか?
不思議に思いつつ鉱山の皆と合流する。
「セバス、こちらの状況はどうだ?」
「これは…。魔の森の沈静化、おめでとう御座います。」
「よせ。まだ半分も終わっていない。」
心からの賛辞だと思うが、だからこそ返答に困る。
片付けたのは一つだけなのだ。
「こちらはある程度余裕を持っておりますが…。厳しくなってるのも事実です。」
一礼した後に本題を告げてくる。
「
「この統制具合からすると、居てもジャック程度が一匹でしょうな。」
こちらの敵はゴーレムやマシン系が多い。
元々は人工物で、長い時間を経て魔物化したモンスターだ。
「なら
「畏まりました。」
「御命令、賜りました!!」
セバスと
漏れ出る敵は孤児院の子とここに集まった冒険者達で大丈夫だろう。」
「と、言う事はぁ。」
「迷宮は!」
「ボク達が!」
「制覇してみせましょう。」
ジュリ、ティニー、アリス、リサの順に言葉を繋げる。
「ああ。ちょうど良いだろう。迷宮制覇もやってやろう。」
40層から一年半かけて48層まで進んでいる。
後2層残っているのも最近迷宮に潜っていなかったのが原因だ。
少し前にSランクとなった事で当初の目標も達成し、迷宮探索は余り進めていなかったのだ。
アリスや
Sランクとなってからは初めての迷宮となる。
精々暴れてやろうじゃ無いか。
ーーーリサ視点ーーー
…っは!
ディノス様がカッコ良い事を考えているに違いない。
ディノス様を横目で見ると、やはり精悍なお顔をなさっていた。
密かに記憶魔法を使って念写する。
ジュリ殿に教わったこの魔法は素晴らしい。素晴らし過ぎます。
惜しむらくは習得まで長い時間を要し、14年分のディノス様を撮れなかった事です。
あぁ!ディノス様!何て罪作りなお方なのでしょうか…!
「いつも通りリサが先行してくれ。」
「御心のままに。」
ディノス様の美声に返事をし、迷宮に入る。
漏れ出る敵はギルドマスター達に任せますが、下層まで進めば収まると聞きました。
あの者共には心底愛想が尽きてましたが、やっとディノス様の
あのような者達まで改心させるとは、本当に慈悲深いお方であられます…。
迷宮が
1層から順に攻略をしていきます。
外に出る魔物を減らすのにも繋がるから一石二鳥と言えましょう。
最初に潜った時の半分以下の時間で攻略が進んで行きます。
上層とは言え、ここまで違いが出る事に驚いてしまいますね。
皆成長している事を嬉しく思う。
だが…。
(ぐぬぬ…ジュリ殿め…。いつもながら何と羨ましいポジションに居るのでしょうか…。)
ディノス様の背中のジュリ殿を見ると、とても幸福そうな顔で眠っている……。
あの
血の涙を流してしまいそうです…。
ジュリ殿には記憶魔法以外にも色々と教わっていますが、それにしてもあの場所は…。
ぐぬぬぬぬ…。
「リサ、お疲れ。」
「っは。勿体無いお言葉です。」
いつの間にか40層のボスを倒していたみたいです。
以前は苦戦しましたが、今回はキングのままでした。
「まだ半日も経って無いですよ!」
「このまま行ってやりましょう!!」
アリスとティニーが元気に話しています。
ティニーを呼び捨てにするのは未だに抵抗が有りますが、『お嫁さん同盟』の一員として慣れていかなくては…!
アリスはまだティニー様と呼んでいますし、気長にいくのが一番でしょうね。
そう言えば…ダークエルフの娘、ディノス様が少し気にしてらしたような…。
ハーレム候補として屋敷に迎えても良いかも知れませんね。
ディノス様を守る為にもハーレムは順次拡大して行かなくては。
勿論ディノス様が気に入った者に限りますがね。
「48層か…。ここからは未知の領域だが、やる事は変わらない。行くぞ!」
ディノス様が私達を導いてくださる。
昔とずっと変わらない、私達の確かな希望。
未知の領域となると、ディノス様ばかりを見ている訳にも行かなくなりそうですね…。
いえ…、もう少しだけ……。
ーーーディノス視点ーーー
48層に入るが、47層と大して変わらない。
それどころか、少し敵の数が減っているような気がする。
「はぁ!」
リサの重力刀が周囲の黒スケルトン達を押し潰す。
いつ見ても綺麗な剣筋だ。
敵の数は気になるが、とにかく進むしか無いと考えるのを止める。
そのまま49層も踏破した。
50層に来て、下層の敵の数が少なかった理由に気付く。
「見渡す限り敵、ですね…。」
「うーー、ここまで居ると気持ち悪いです!」
「全部…全部蹴散らしてやるわ!」
「あらあらぁ〜…。」
50層に上がると一部屋目から広間だった。
扉の先を見るに、向こうも広間だ。恐らく大部屋が連なっている構造だろう。
「ボス部屋へと向かうぞ!」
リサとティニーに先導して貰う。
ティニーの直感は素晴らしい精度で、未知の領域だろうと今まで迷った事は無い。
部屋に集まってるならちょうど良いと各自大技を使い、敵を殲滅していく。
「食らいなさ〜い!」
ジュリも魔法を放つ。
40層以降は徐々にジュリも戦闘に参加し、私達がSランクになった事で完全解禁となった。
上層では背負っていたが、40層辺りからは下ろしている。
少し背中が寂しい気がするが、この事だけは悟られる訳にはいかない。
「……ふん!」
ティニーが私を見て不機嫌そうに敵に突っ込んで行った。
何故ティニーはこんなに鋭いんだろうか…。
「白炎」
やはりこの迷宮の敵は光魔法がよく効く。
炎魔法単体より遥かに効率が良い。
「見えました!」
アリスがボス扉を見つけたようだ。
急いで向かうと、重厚だが飾り気の少ない扉が閉まっている。
今までより簡素な作りだが、中から感じるプレッシャーは相当の物だ。
周囲のモンスターが今まで以上に突進してくるが、既にその数は限りが見えている。
「一旦回復して入ろう。」
当初は速攻で入る予定だったが、アイテムを使う時間位は取れそうだ。
各種アイテムを使って回復し、周囲の敵も全て片付けると、いよいよ扉を開いていった。
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