夕景の依頼人


 「友達を、探して欲しいんです」


豆腐売りの車の、どこか間の抜けた汽笛が夕時を知らせるある日の午後に、その依頼人は、私の元を訪れた。


「友達を、ですか」


依頼人は、肩当たりまで真っ直ぐに伸びる黒い髪に、眉で切り揃えられた前髪から覗く、物憂げな眼が特徴的な、どこか大人しそうな少女だった。


この辺りではよく見かける、白いブラウスに紺色のベスト、そして、これまた紺色の、柄の無いスカートを身に着けている。


恐らく、近隣の中学校の、女子制服だろう。


歳は、中学三年生ぐらいだろうか。


「…はい」


「んー、ここが、どういった場所かは、ご存じですか」


「少しは…。頼みごとを聞いてくれる相談屋、だと」


―またか。

思わず、頭を抱える。

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