第12話 林間学校2日目 バス酔い⁉︎

  私たちはバスに乗った。はじめに先生は私たちに謝った。山で自由行動させて、危険に合わせてしまったということだった。「全然平気でしたよ!」と私たちは言ったが、もう少しずれてたら雷に当たって死んでたなと思った。


 次にどこに座ればいいのだろうと思った。行きは新幹線で来たので、バスには今回が初めてだ。


『炎くん! 私の隣に座ってよ!』

『光輝くんはこっち‼︎』

『こっち来て! 氷くん!』

『紫音! ここ空いてるよ!』


 みんなはイケメン4人をどうしても隣の席に座らせたいらしい。


 呼び捨て⁉︎ 紫音は人付き合いがいいから仲良い子がもう出来たのかな。

 でも、まだそんなに話す機会なかったのに、紫音すごいな。


『俺らは夜風の隣に座る』


「5人で座れる場所なんてないし、無理だよ」


「1番後ろなら5人座れるよ」

 おーい! なに余計なこと言ってるんだよ! レイカ!


「そこに座ろうぜ!」


『え〜!』


 クラスのみんなは諦めていない感じではあったが、5人でバスの1番後ろに座った。夜風を真ん中にして紫音、光輝、夜風、氷、炎の順だ。レイカとひよりは私たちの近くに2人で座っている。


 ヤバい! 1番後ろなんて絶対に酔う。


 夜風は乗り物酔いがひどいのだ。



 バスはペンションに向かっている。ペンションに行く道は山道で、くねくねしている。クラスのみんなが私たちのことをずっと見てくる。イケメン4人はバスが発進した瞬間に寝た。今の状況は、右肩に光輝が寄りかかっていて、左肩に氷が寄りかかっている。そして、右ももには紫音が寝てて、左ももに炎が寝ている。私の体が重い。身動きが取れない。


 クラスのみんなは、「なんで夜風だけが独り占めしてるの〜」と言っていたが結局、今はぐっすり寝ている。


 だいぶ気持ち悪くなってきた。乗り物酔いって寝てしまえば分からなくなるから寝たいんだけど、寝れないんだよね。あと、なんで4人を振り払わないかというと……4人の寝顔をいっぺんに見れるからだ!本当に顔が整ってて、キレイだなぁ。イケメンでカッコいいな〜


 ガタッ‼︎

 山道を進んでいるからバスがよく揺れる。


 オエッ!

 ふぅ〜危ない、上がってきたわ。

 おい!食事中の人もいるかもしれないんだぞ! やめろよ!

 すみません。でも、気持ち悪いんだから仕方ないでしょ。

 てか、もし、この状態で吐いたら、4人にぶちまけることになる。それは絶対にやってはいけない。というか、4人は私が乗り物酔いひどいことを知ってるのに寝るってどういうこと⁈

 うーー、気持ち悪っ


 氷が起きた。


「顔真っ青だけど大丈夫か⁈」


「酔っただけだから大丈夫だよ」


 光輝、紫音、炎も起きた。


「先生、一旦バス降りていいですか?夜風が酔って、具合悪いみたいです」

「この道をまっすぐに行けば、ペンションあるんですよね? 休憩してから俺たち、歩くのでみんなはバスで先に行ってください」


「夜風さん! 顔色悪すぎない⁈ これは一旦降りて、新鮮な空気吸うほうがいいね」

「また、別行動になっちゃうけど、4人とも頼んだよ」


『分かりました!』


 なんで、先生が1人しかいないんだ? 普通はバスに2人くらい先生ついてるだろ。

 気持ち悪いし、頭くらくらする。


 氷は夜風をお姫様抱っこして、バスを降りた。その後を、3人が追う。


『私も具合悪いからお姫様抱っこして!』

『ワタシも!』


「そんなこと言えるのは元気な証だよ」


「きゃあ〜‼︎ 光輝くんカッコいい!」


 私たち5人はバスを降りて、バスは先に行った。


「ごめんね。私のせいで、歩くことになっちゃって」


「こっちこそ本当にごめん。夜風の太ももが気持ち良すぎて寝ちゃった」


「身動き取れなかっただろ? ごめんな」


「大丈夫だよ! 身動きが取れなかったのはキツかったけど、4人の寝顔をずっと見れてたから!」


「俺らの顔見て何になるんだ?」

 炎はぽかんとしている。


「顔が整っていて、イケメンでカッコいいなって思ってたよ!」


「いや、夜風の顔が1番可愛いぞ!」


 などと、私たちは楽しく話をしていて、新鮮な空気を吸っていたら気持ち悪いのが治ってきた。


「気持ち悪いの治ってきたか?」


「うん!」

「もうペンションまで歩けるよ!」


『じゃあ無理せず行くか!』



***

今回の話で夜風が惚れたのは……氷‼︎ 酔ってて気持ち悪かったときに助けてくれて嬉しかった‼︎

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