第10話 林間学校2日目 枕投げ⁉︎
林間学校2日目
この林間学校は2泊3日である。
なんか寝苦しいなぁ。
夜風は起きた。熱は無いようだ。紫音に抱き枕のように抱きつかれている。
なんで紫音と一緒に寝てるんだ?
そうだ!紫音の布団に入って、暖かくてそのまま寝ちゃったんだ。
とにかく、紫音の腕から抜け出すぞ。
「俺の抱き枕が動くな」
まだ寝起きで紫音は眠いみたいだ。
「いや、抱き枕じゃないし!」
「……え?なんで夜風がいる!?」
紫音は起き上がった。やっと今の状況を理解した。
「昨日は山をなんとか下山して、熱が出たから寝てた」
「それで……」
「……思い出した」
紫音は顔が真っ赤になって恥ずかしがっている。
「紫音ってたまに俺様になるよね‼︎ かっこよかったよ!」
2人で話していたら、他のみんなが起きた。
「あ! 紫音なんで夜風と一緒に寝てるんだー!」
炎は少し怒っているみたいだ。
「ふざけるな。紫音」
「夜風を独り占めするな」
氷に引っ張られて、私は氷の布団の中に入れさせられた。
「昨日は紫音と夜風は熱があったみたいだから、起こさなかったけど、夜風に変なことしてない⁈」
光輝は心配してくれている。
「別に大丈夫だ」
紫音の右の口角だけ上がって、笑っている。
「絶対なんかしたんだろ!」
「夜風、大丈夫だった?」
「久しぶりに紫音のあまのじゃくが外れたから楽しかったよ!」
「そりゃ面白いね!」
「いつも大事なときにあまのじゃくになるもんね」
「そうそう」
私はずっと氷にバックハグされながら、話している。外そうとしても永遠にしてくるから面倒になったのだ。
「氷こそ夜風を独り占めするな!」
紫音はこんなに元気なので、熱はないんだと思う。
レイカとひよりが起きた。
「朝から元気だね」
「ひより、大丈夫そう?」
「うん!寝たら治ったよ!」
「よかったな!」
「昨日は色々ありがとね。炎……くん」
「別に大丈夫だぞ!それと呼び捨てでいいよ!ひより……ちゃん」
「どっちも呼び捨て出来てないじゃん!」
『ふふっ!』
2人は見合って笑っている。
炎とひよりが仲良くなってる?炎はただ仲良くなった友達としか思ってないな。けど、ひよりは炎のこと好きになってるんじゃね。それはそれでいいんだけどね。嫉妬しないのかって? だって私は4人が好きで、4人は私のことが好きだけど、それは不公平だと思う。4人も私以外が好きになってもいいと思ってる。でも、私以外と付き合うとかなったらどうなるかは分からないけどね。
「朝食ってどうすればいいんだろね」
「広間に行って食べることになってるよ」
「じゃあ、行こ!」
私たちは広間に行った。広間には朝食が用意されてあった。
「おはようございます!」
「広間に7人だけで少し寂しいですけど、ご自由にお使いください」
『ありがとうございます!』
みんなで楽しく朝ごはんを食べた。
先生から連絡が来た。
「私たちは山を降りてから学校のバスに乗ります。バスは皆さんがいる宿に寄ります。次に泊まるペンションに行くので、宿で待っていてください。今日はペンションに移動して終わりになってしまうかもです」
「待ってればみんなが乗ってるバスが来るんだね!」
「そうみたいだな!」
「暇だな〜」
私は広間を見回した。部屋の隅に枕が積み重なっておいてある。
「なんで枕だけあるんだ!?」
「これは枕投げしてくれって言ってるのと一緒だろ!」
炎は楽しそうだ。
「枕投げしていいか、仲居さんに聞いてみる」
「絶対にダメって言われるでしょ!」
「すみません。広間で枕投げしていいですか?」
光輝はまじめに尋ねている。
そんなこと普通言うかよ! 隠れてやるものでしょ!
「いいですよ! そのために枕置いていたので!」
「クラスの皆さんが来るまで暇でしょうし、宿くらいでしか、枕投げなんてしないですよね」
「本当ですか!?ありがとうございます!」
枕投げするだろうと思って、前々から置いてあるなんてすごすぎ‼︎
レイカとひよりは部屋に一旦戻って荷物を持ってくると言っていた。枕投げはしないみたいだ。
枕投げ開始‼︎
4人は一斉に夜風を狙って投げた!
夜風に4個の枕が当たった!
「キャー痛いよー」棒読み
夜風はわざと当たった。
『えっ? ごめん』
(いつもの夜風じゃない。ドッチボールめっちゃ強いのになんで⁉︎)
「ふっ! 引っかかったか! 夜風はそんな、か弱い女の子じゃねんだーよ‼︎」
「オラッ‼︎」
夜風は4人を一気に当てた!
「ぐはっ!」
「強すぎ!」
5人は本気で、枕投げをした。
「疲れたぁ〜」
「まだ終わってないぞ!」
炎は目の前にいる夜風を当てようとした。しかし、氷が炎を先に当てた! 氷の枕が炎の背中に当たった!
クリーンヒット‼︎ 炎が前に倒れる‼︎
ちょうど夜風が炎のほうを振り返っているときに炎が倒れてきた!
これは炎を支えることも出来ないし、避けることも出来ない‼︎
キッスゥ!!倒れた勢いで炎の唇が夜風の唇に当たったー!!
炎と夜風がキスしてしまったぁー!!
レイカとひよりがちょうど帰ってきた。
「なんで夜風と炎がキスしてるの⁉︎」
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