モノクロの魔法使い

吹雪舞桜

流星に祈りを:お題『祈り』

 本物の流星群が見たい。

 そう幼馴染みに駄々をこねた結果、私たちは空を一望できる高台に来た……のだが。

 空は雲に覆われている。到着した途端に曇りに変わるだなんて誰が予想出来ただろうか。

「そろそろ時間だな」

「え、何が?」

「流星群。お前が見たいって言ったんだろうが」

「でも、見れるかなあ?」

「雲の向こうでは星が流れてる。運良く雲が晴れれば見れるかもな」

 空を見上げて私は祈るように両手を握りしめた。

 願わくば、未来の私の隣にも貴方がいてくれますように。そっと心の中で祈る。

 私の強い気持ちはきっと、雲を突き抜けてその向こうで流れる星たちに届くはずだ。隣で空を見上げる幼馴染みの横顔を見ながらそう思った。

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