270円のしあわせ

マルボロメッシ

第1話

 金曜日の夕方、飲料メーカーの取引先のビルを出ると、目の前に3台の自動販売機があった。

そこには、昔懐かしいドリンクが、並んでいた。

同行した同僚と、今週の仕事内容を称えながら

、ドリンク選びをした。1本には絞り込めなかった。

結局、悩んだ挙げ句に一本90円の、昔懐かしいドリンクを3本買い、車へ乗りこんだ。

マウンテンデューと力水といちごミルクを手に取りながら、どれから飲もうかなぁと考えた。


ふとひらめいた。

3本とも蓋を開けて一口づつ、いっぺんに飲んじゃおっと。


一本づつ蓋を開けながら、ワクワクして、


一口づつ飲んでは、なんとも幸せな気持ちになった。


「うまい!」


と車内に響き渡るほどの声で叫びながら、一本づつ飲み口に口をつけた。1周、2週、3週と、3本を一口づつ飲んでいた。


 そんな自分の姿を見ていた同僚が、「ガハガハ」と大笑いしながら、こう言ったのだった。

「まるで子供じゃないですかぁ」


 自分も思った。まるで子供だなぁと。童心に帰った気がした。


 笑顔でコーヒーを飲む同僚の助手席で

なんだか心地よく、小さな幸せとやらを感じた、 


 冬の日暮れ時の出来事であった。

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270円のしあわせ マルボロメッシ @marlboro-messi

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