浮か部の生活記録!
@14go
第1話
ーーここはどこだろう。見たことがない場所だな。すると部活の仲間も気づいたようだ。
「ここ、どこ?また、私巻き込まれたの?もう勘弁してよおおおおおお」
私の幼馴染のめぐみがつぶやいて……いない。こういうのはぼそっと『ここ、どこ?』とかつぶやくのが定番だろうに。
「うるさい。後、今回に関しては私は知らない。部長に聞け」
「お前たちは気にしなくていいよ、全然」
部長である
……っていうかこいつも見てくれは背も高くてスレンダーで体型もいい、顔もいいとかいいなあ。うらやましいなあ。
「今日は、生徒会にボランティア活動(笑)を頼まれたから、それをここでするんだよ」
「ここはカゴシマという田舎にある、とある学校。そして、この話は学校にある部活の話である!」
「ぬああああああああ!」
こいつ、うるさいな。まあ、とりあえず声だけはかけておくか。
「どうしたの?」
「はあ〜もっと楽して生きたいなあ!進路とかも決まらないし!っていうかねえ……ねえ、今ワタシの言った言葉だいたいでいいからもう一回言ってみなさいよ!」
私の肩をつかみ脱力し切った首から上をゆさゆさと揺らす女。
揺れる視界さえも意識するのが煩わしくなる。
……というかこいつ誰だ?見覚えあると言うことだけは確かだが、誰だったか。
「ねえ、いまこいつ誰だって思ってるでしょ!」
見抜かれてしまったようだ。
「してない。ただちょっと思い出せないだけだからね。ほら……えーと、あなたも女の子なんだし、そんなにかっかしない方がいいと思うのよ。ね?」
「ま、まあそうね。いつまでも人の話を聞かないあんたに自己紹介してあげるわよ」
どうやらこの少女、自己紹介を……
「まあ、後でするわ」
後でするようだ。
「うん、わかったよ。っていうか学校に向かわなくていいの?」
そう、この騒がしいヤツのせいですっかりそんな雰囲気では無くなったが、今は登校中なのだということを思い出してしまった。
「それもそうねえ、そろそろ行こうかしら。ほら、行くわよ!」
そしてしばらくどうでもいい話をしながら歩き、どうにか登校時間に間に合った。
しかし、名前は分からなかった。アイツは私がただスッとぼけているだけだと思っているのかよ。
……というか、なんかアイツきょろきょろしだしたな。
「どうしたの?なんか前髪に虫でも引っかかった?」
「そんなわけないじゃない。…………そういえば、今日は休みなのでした!って言ったらどうする?」
どうする?何を言っているのだろうか?
ま……まさかだが、さすがに今日は学校なかったとかは流石にない……よな?
「なんか考え込んでるみたいだけど、取り敢えず言っておくわ!今日学校ないみたいね!多分土曜日よ」
楽しそうでなによりです。
「ここに来るときにちょっと見たけど部活だけはやってるみたいよ。ワタシは行くけど一緒に見に行く?」
これ、一緒に見に行くって言うまで付きまとうめんどくさいタイプのやつだ。仕方ないな。
「せっかくだし、着いていくよ」
しばらくひっついて歩いていると、急に喋りかけてきた。
「実は、もう見たいところは決まってるのよ。今はそこに向かって歩いているの。」
ほう。こんなにしっかり考えていたとは。えらいな。まあ比較対象なんていないけども。
「なんていう部活なの?」
「まあありきたりな台詞だけど、"着いてからのお楽しみ"っていうやつよ!」
……楽しみにだけはしないでおこう。
また更にそこからしばらく歩かされ、目の前にはこの学校の数ある施設の中でも特に影が薄いと言われているプールに着いた。
このプールは確か、作った当初から需要が無くなった全然使われてないと聞いたことがあるのだが、部活なんてあるのだろうか。
「やたー!やっと着いた!」
あれ?もう着いたのか。考え込んでいる間にそこそこ時間が経っていたようだ。
自分達以外に人が見当たらないな。一応聞いてみようか。
「ところで、どこでその部活をやってるの?」
「もちろんここよ、決まってるじゃない」
ここらしい。しかし、他に人なんて……
「あっ! あの人は……ちがうわね。多分清掃作業をしてくれてる人ね」
おそらく言っているのはプール周りを掃除してるあの女の人のことだろう。
「しっかし、誰もいないわね。今日は休みなのかしら? 部員もあんまりいない風に言ってたし」
そうだ。その部活の情報をいったい誰に聞いたのだろうか。聞いてみようかな。
「答えなくてもいい質問なんだけどさあ」
少し話しかけてみよう。
「じゃあ答えないわ。さあ、続きをどうぞ。とりあえず言うだけ言ってみなさいよ」
おい、この野郎即答かよ。
「……ええと、その部活の話は誰に聞いたの?」
「もうちょっと辺りを探してみたいんだけどさ、いい?」
この野郎マジで答えなかったな。
「ま、まあいいんじゃない?」
「じゃああっちみてくるからそっちみといて!」
あっちってどっちだよ。つーかそっちっていうのもどこかわかんねえよ。
「あっ、ちょっと待っ」
たたっと足音をたてて走り去った。いつになったら戻ってくるんだろう。
まあ、とりあえず暇でも潰しながらそこら辺見とけばいいかね。まあ役に立たなすぎるのは格好悪いし清掃員さんに聞き込みでもしようかな。
いやしかし、朝起きたときはこんな日になるとは思ってもみなかったな。
おっ、そろそろ清掃員さんに喋りかけられる距離になるのではなかろうか。
「あの、すいません」
話しかけてみると、こっちを向いて話し返してくれた。
「おう、どーしたんだい?少女よ」
うわー、ちょっとイタい人じゃん。まあ、いいか。聞くだけ聞いてみよう。
「いえ、あの、このプールで部活をしていると聞いたのですが、今日って部活動休養日ってやつですか?」
話がだいたいつかめたとでも言いたげな顔で、
「ああ、それってたぶんウチのことじゃないかなあ」
えっ?……つまり掃除をする部活ということなのだろうか?
「ええと……この部活ってプール周りの掃除をする部活なんですかね?」
清掃員は少し考えこむと、
「んーにゃ、違うぞ。この部活って、特に大会とかで成績残せないから、清掃作業をしたりして推薦してもらったりしてるだけだよ」
こう答えた。
いやしかし、ほう。そんなずる賢い人もいたのか。
たしかに、大会に行って推薦を得るのも良い考え方だ。王道というヤツだな。
しかし、意外と王道の割に確率としてはあまり絶対的な自信を持つべきものではない。
しかしどうだろう。この部活?のような組織が学校に正式に認められた活動ならば、はいってからちゃんと活動をするだけで、ボランティアをたくさんできる人である、という推薦を得るのはほぼ確実になる。
このカゴシマというところの一番いいと言われている進路なんかでは、このボランティア推薦も採用しているから、そこに行こうと考えている人がたくさんいて、条件がよくわからないボランティア活動というものをみんなが避けて他の推薦を得るなか、この日陰部活はごっそり頂いている。
「考えごとはおわったかい?」
顔をあげると清掃員がこっちの顔を覗き込んでいた。
「あ、すいません。考え事をしてしまったもので。」
とくに表情の変化を見せないまま、
「ほーう、そんなすごい考え事なら聞いてみたいな。ところで、この部活のこと、だれに聞いたんだい?」
こう答えた。
…………あ、ていうか忘れてたわ。アイツ。
「あの、その聞いた人と一緒に来たんですけど、さっきはぐれたので連れてきますね。」
すると
「おう!いっといで。」
いやしかし、ここから見えないし、時間がかかるのだろうか。
しばらく探さなきゃいけないならめんどくさいし手伝ってもらおうかな。
5分くらい経過したんじゃないかな。まあ、ほんの少しの時間だ。
そんな大した時間は経ってないし、流石に見つからない……いた。
「ほら、さっき言ってた部活の人見つけたよ」
ぱあっと顔が明るくなって、
「でかしたわね!それで、どこにいたの?」
予想通りの質問をしてきたな。
特に隠す必要もないか。
「さっきの、清掃員さんがその部活に入ってるっぽいよ?」
「えっ」
えっ、とはどういうことか。
「えっ?なんかおかしいことでもあった?」
「いやあ、その、なんていうか、ね?ワタシそんなことするような部活だって聞いてなかったのよ」
ほうほう。
「とりあえず清掃員さんのところに行こうよ」
「ええ。もちろんよ」
そして少し歩いて清掃員の元に……今着いた。
「あの、この子がこの部活のことを教えてくれたんですけど……」
「あっ!この子に教えたのあなただったのね!」
「あっ、アンタこんなことする部活だって言ってなかったじゃないの!」
つまり、知らなかったということか。それに、情報源はそこの清掃員だったとは。
……こそっと帰ってもバレないと思うが、このままこの二人放置して一人で帰ろうか。
まあ、面白そうだししばらく見ておこう。
アイツが隣に来た。
「もういいわよ、キリがないし、さっさと話進めなさいよね」
あれっ、意外とあっけなく終わったな。
「……お前その喋り方は、まあいいか。じゃあ本題に入るけどさ、単刀直入に言うとウチの部活に入って欲しいのだよ!」
うっ、この手の誘いは苦手だなあ。まあでも、さっきの推薦がもらえる、というのはかなり魅力的だし、話だけでも聞いておこう。
「はあ、まあ私はいいですけど、こっちが聞きたいなら、という感じで……」
私の隣にいるヤツはものすごくソワソワしているし、どうせ聞くし入るしなんだろうなあ。
「もちろん、ワタシは聞くわよ!」
「じゃあ、私も聞きます」
まあ、こうなることは分かりきってたし、今日はもうやることないしいいかな。
「よしきた!じゃあ活動内容からだね。ウチの部活は、そっちの子にはある程度話したけど、まあ簡単に言うとボランティア活動をしてるのだよ」
それだけなのか。まあ、これだけならば入りたくはないな。
「まあ、それだけじゃあないよね。そんな部活なら誰も入らないし、今の今まで続いてるわけがない。だろう?」
「ええ、まあ」
「まあそうよね」
そして、すこし溜めてから
「そうっ!本当はそれが本当の活動ではなく、まあもっと楽しいことをするのだよ」
さらに溜めて……
「特に何もしないッ!その時間のみを愉しむのだよ!」
興味が湧いてきてしまった。我ながら、どうかしているな。
「あえて聞きますけど、その何もしないっていうのはどういう感じなんですか?」
「いやいや、そんなことよりも意味不明な活動内容なんだから帰りましょうよ!」
隣がギャンギャンとうるさい。
「ちょっと、うるさ」
「うるさいぞ、お前たち」
言っている時に被せてきやがったよ。しかもまとめてうるさい認定とはどういうことか。
「まあ、今言った内容じゃあわからんのも当然だな。だから、今から詳しく説明していくのだよ」
聞いててくれたのか、それとも予定通りなのか。全く分からんな。この清掃員。
「まずは、夏、つまり今の季節だね。この季節は清掃を任されてるプールでぷかぷかと浮かんでたのしむんだ」
ちょっと入部したくなった。
「だからプールにいるんですね」
「ああ、そのとおりだよ。他の季節ももちろん活動があって、毎年違うんだけども、リラックスできたりするようなことをするよ」
ほう、本当に良さげだな。
「そう、例えば温泉に入りに行ったりするとかね」
「「入部します」」
絶対これ、知名度低くて当然だな。こんなにいい部活が知れ渡ってたまるか。
「いいねえ、その反応。こっちもありがたいよ。この部活が無くならなくてすむよ。さて、今から何する?」
「じゃあ、まずは自己紹介からしますね。私の名前は、
こうすれば、全員の名前がちゃんと把握できる流れがつくれてみんなが助かる。いいことだ。
「じゃ、じゃあ、ワタシも!えっと……ワタシは、
「「…………」」
今ちゃんと思い出せたとはとてもじゃあないが言えないな。
「ほう、部長にアンタとはなかなかだな。まあいい、ウチの名前は
カンマチコハク……よし、覚えた。
「そういえば……めぐみ、その喋り方なんかへんじゃあないかね?」
そうか?
「あ、ばれたか。バレちゃいましたか。そう、実はこの宇宿が変な喋り方をする遊びをしてたからさあ、ワタシものろうかな〜っておもったんだよ」
そうだった。ついつい外ヅラ良さげなモードにしていた。
「へえ、そうなのかい。なら、めぐみも唯ちゃんももとにもどしてほしいな」
「あ、はい」
まあ、戻さないことのメリットも無いしな。
「じゃあ今日は帰って明日ここにこいよ、お前たちを正式に部活に入れるからな」
「「はーい」」
ああ、一日が終わった。ふらふらと歩くうちに家にも着いた。
することもなくなってベッドに、今飛び込んだ。目を閉じるしかすることがない。
ああ、この始まるんだな感がたまらなく心地いい。
もう、朝になっていた。
「おはよう!」
「おはよう」
「今日は何するんだろうか。気になるな」
「うん、そうだね」
なんでもないようなことを喋りながら、しばらく歩いていると……
「とうちゃーく」
「ちゃーく」
もう着いてしまった。
「では、部活の入部手続きにいこうかね」
そして、一時間も経たないうちに入部手続きが終わり、しばらく掃除をしていた。手続きするのに顧問の先生がいなかったことと、そして周りの先生がちょっと引いた顔だったことが気になったが、もう気にしてもどうしようもないだろう。
「よし、掃除ももうそろそろいいだろう。もうそろそろ自由時間にはいりたいんだがね、水着とか持ってきてるかい?」
あっ、忘れてた。
「はーい、わすれましたあ」
「あっ、ワタシも忘れちゃった」
……することがもう無くなってしまったな。
「じゃあ、各自帰って水着を明日持ってきてね。とりあえず明日は学校の授業あるから、終わったら水着をもってここに集合してね」
「じゃあ、さようならあ」
「じゃーねー」
「ほいほい、さよーなら」
今何時だ?まだ午前だろうけど、午後は暇だし大きいタオル買いに行かないとな。
今日も、また、一日が終わった。
そして次の日、学校に行って授業をごく普通に受け、そして放課後になった。
「いやあ、今日も今日とて部活をしなければならんのだよ。水着、持ってきたかい?」
意味もなく背後からぬっと現れてきやがったよ、この野郎!びっくりするじゃん!
「あ……あぁ。持ってきたよ」
「えらいな、持ってこなくても構わなかったのに」
その言葉を聞いた瞬間に、瞬時に今日することの想像がつき、そして掴みかかっていた。
「アンタたちなにやってるの? バカなの?そんなバカなことばっかりするとかやっぱりバカなの?」
めぐみめ、まずは人に悪口言うならまず鏡を凝視してから言ってほしいものだな。まったく。
「いやあ、唯ちゃんにさ、水着いらないよって言ったら殴られそうになってさあ」
ヘラヘラしやがってこの野郎絶対許さん。
「いや当たり前だろ、連絡とか命令は正確さが命だし、いまさら違うとか言われても困るだろうが」
「ていうかアンタ今日水着なんて持ってきて無いじゃないの」
今、目の前に、というか両目の前に指がぴんとさされている。
そしてその指の持ち主はヘラヘラした顔をしながらも殺意が溢れ出ていた。
そして次の瞬間、私は腰を軸に90度曲げて、
「すんませんしたああああ」
綺麗な姿勢で謝った。
「フッ……ちゃんと謝れたことに免じて目潰しの刑はやめてやろう。さて、今日はプールに入るぞ」
「「水着いるんじゃん」」
掃除しないのか、という疑問はめぐみもしていたようだ。
「いやさあ、うちの部活のもらった予算で揃えといたんだよ。君ら2人の水着」
いったいいつの間にサイズとかわかったんだろうか。……しかし、今わざわざ気にすることでもないだろう。
「まあ色々聞きたいことはあるけども……この際もういいよ。とりあえずプール入ろうプール」
「そうね」
「じゃあ、着替え次第、シャワー浴びてプールに来な」
準備体操でもするのだろうか。
「へーい」
「はーい」
「ところでさ、タオルももちろん持ってないんだよね、いや、もちろんタオルはあるよ」
そういやタオルは持ってきてたわ。
「あるよ」
2人がかなり不思議なものを観察するような失礼な目で見てきた。
「「なんで」」
知らんよそんなん。
そして、更衣室に行くと……
「これちゃんとしたやつじゃん」
めぐみがぽつりとつぶやいたが……確かにこの水着ちゃんとしたメーカーのやつじゃん、やっぱりこの部活色々ありそうだな。流石にこれはちょっと心配になるな。
そうして着替えを終え、シャワーを浴びてプールに来ていた。
「シャワー気持ちよかったなあ、あっつい夏にはやっぱりひんやりよね」
めぐみがそんなことを言いながら部長を待つこと数分。ていうかひんやりってなんだひんやりって。物の名前じゃないじゃん。
あっ、部長来た。
「お待たせえ!いやあ、タオルを探すのに手間取ってね。さあ、準備体操をして入りな」
掛け声でもかけるか。
「いっち、にぃーさんしぃー」
この掛け声に釣られるようにめぐみが、
「にーにーさんしー」
準備体操も無事に終えることができたな。
よし!はいるか。
「ひいっ、冷たい!」
たしかに。結構冷たいな。
「そりゃあ冷たいよ。だって地下水なんだから」
ところで。
「結局何するんだ?」
そう、何をするのかまだ結局教えてもらってない。
「唯ちゃん、いい質問だね。今からぷかぷかと浮いてもらう。この水に、だ」
そして部長が溺れそうになった時の対処のお手本のように綺麗に力を抜き、ぷかぷかと浮いた。
それにならうように私たちもぷかぷかと浮かび、数分が経っていった。
……というか、これを第三者が見たらどう思うのだろうか。女3人がただただ無言で水に浮いている。なんとも不思議な光景だ。
「ほらほら、余計なことは考えないほうがいいよ」
それもそうだな。
何も考えずに浮く、これもまた、ひとつの愉しさとういやつなのだろう。この部活がしぶとく残っていたのにもうなずける。
「……あなたたち、何をしてるんですか?」
何をしてるんですか、とは失礼だな。なぜわからないのだろうか。
「だれがきたんだあ?……って、あんた生徒会の人じゃあないか」
生徒会の人が一体こんな部活に何を命令しにきたのだろうか。
「廃部のお知らせですか?」
そう聞くと、生徒会の人は可愛らしさをさらに笑顔で引き立たせて
「半分正解ね。よくわかったじゃないの、ふふっ。実は、こんな部活にお金かけてられるほどこの学校も裕福じゃないし、ここを廃部にする、ということになったのよ」
おいおい、マジかよ入ったばっかりだよ私。
「さすがにさあ、それはひどくなあい?」
「……と言いたいところだけど、一応のチャンスとして、一年の記録を提出してもらって、納得できたらOK、ということになったの。どう?」
「まあいいけどさ、なんでそうなったかを後でちゃんと聞くからね、生徒会ちゃん」
生徒会ちゃんが不満そうな顔をしながらまた話し始める。
「生徒会ちゃんいわないでほしいのだけど。伊集院っていう立派な苗字ももらってるんです。……とりあえず、そのことは後で伝えるので」
「「「ありがとね、生徒会ちゃん」」」
生徒会ちゃんがこめかみをひくつかせながら、
「こんな部活なんて早めに滅べ!」
と、吐き捨てて去って行った。
この後、しばらくのんびりしてからプールの後片付けなんかをして、部長がとりあえず記録用の用紙だか何だかを話を聞くついでに生徒会室へ行った。
そして部長を待ちながら私たちは……
「いやあ、木陰ってこんなに居心地いいもんだった
けかな?」
のんびりしていた。
『掃除とかしとけよ』とかなんとか言われた気がしたが、おそらく空耳というやつだろうし、ここでしばらくゆったりさせてもらおうじゃないか。
「木陰だからね。理由はないけどそんなもんなんだよ。きっと」
そんなことを言いながら、ぼけっとしながらいい時間を過ごした。
「……もうそろそろ帰る時間じゃない?部長も戻ってこなさそうだしあと5秒も待ったら帰ろうよ」
たしかに、もう帰りたくなったし悪くない提案だな。
「いいよ」
そして、なんのひねりもない5秒は、あっという間に過ぎ、私たちは家に帰った。
いやしかし、記録を書くのはいいが、あの生徒会の奴、理由はないがなんか苦手だな。
つーか記録書くのもどうせ部長だし、何も考えなくていいだろう。
「おやすみ」
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