第一章
第1話
「グスッ、グスッ、、、」
泣き真似をしながら帰る
この時のためにハンカチを二枚も毎日持ってきてるんだ
傍から見ればやばいやつなんだろうけど、まぁ放課後だし失恋って思われるかもな
いや、寧ろ失恋したってことで正しいのか?
、、、ハナから好きになられてなんかないケド
「10回、か、、、」
路地裏に入り、誰も付近に居ないことを確認してからぼやく
俺が嘘告に愛されてるってことは、5回目の時点で悟った
嘲笑する相手、ただひたすらに馬鹿にしてくる取り巻き、そして翌日広まる有りもしない噂
そんなのを5回も味わってたら、悟って賢者になるのも納得だろうよ
、、、まぁ悟ったからってどうにもなることでもないが
実は6回目の嘘告の時、相手の演技が下手だったから嘘告される前から察してた
それを相手に伝えると、ガッカリしたような顔をして、隠れていた取り巻きを呼び出す
そして結局嘲られるのがオチなんだ
嘘告は俺に害しか与えないことを証明するのは、珍しいケースだった7回目と8回目と9回目
どれらも嘘告の相手はイジメられていた
スクールカースト上位のグループから精神的な攻撃を与えられていたようで、命令されて俺に告白したのだということだ
その子がイジメられているということは生徒間でも有名で、陰キャでボッチな俺でも知っていた
だから嘘告される前には何も言わず、黙って嘘告を受け入れ、結局嘲笑われた
でも3人共それがきっかけでスクールカースト上位に入り、今も順風満帆な高校生活を送っている、らしい
ちなみに9回目のイジメられていた子が、さっき話に上がっていた九重雪だ
飼い犬に手を噛まれるとまではいかないが、スクールカースト上位に入れた恩を少しでも感じてくれていると思っていたのだが、、、どうやらいつもの勘違いのようだ
いつもそうなんだ
何度裏切られても期待してしまう
今度こそは正しいコクハクなのだと一縷の期待を胸に屋上に行く
そして嘘告だった、っていうのが何回もあったのに、あの時の俺は馬鹿だったからまだワンチャンを望んでたんだよなぁ、、、今となっては黒歴史だが
「、、、あ、名前聞き忘れてたな。」
10回目の子
九重雪に嘘告をさせられていた子
別れる際に何か言っていたような気もするが、それも演技だろう
だって4回目がそうだったんだから、、、1番思い出したくない記憶だが
とにかく、最後にあの子が無事にカースト上層に乗れることを願おう
「ま、どうでもいいか。 どうせこのままずっと嘘告され続けて、生涯独身を貫き、魔法使いとなってこの世から消え去るんだから。」
誰も居ないし、独り言くらい赦してくれるよな、、、って誰にだよ!
、、、はい、ノリツッコミしてみました
どう? 面白かった?
、、、はい知ってますこういうとこがあるから嘘告されるんですよね知ってました
「さっさと帰って課題して、後はまぁ、、、寝るか。」
嘘告されることに胸が痛まなくなってるし、いつも通りに寝れそうだZE!
「、、、つけられてる気がする。」
おかしい、これは絶対におかしい
初めは俺の自意識過剰だって思ってたんだけど、15分以上後ろに張り付かれてるんだけど
どゆこと?
もしかしてスリとかカツアゲに狙われてんのか?
俺そんなお金持ってませ〜ん!
、、、雀の涙と言えども盗られんのはイヤだし、走って帰ろ
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