四章 悲劇編
第1話 悲劇の始まり
イテェ、体中のあちこちがめちゃくちゃ痛いんですけど.........
あちらこちらに包帯がぐるぐる巻きにされいて身動き一つもあまりうまくいかんのやが、
そういえばここってどこよ。
僕の記憶の中では、先程までは夕雫たちと境内を歩いてて、風と音がなんかすごいなぁ。って思ったら空にぼっかりと穴?があってそれに驚いて動けなかったら、誰かに突き飛ばされて、そこで記憶終了で
気付いたら今に至ると.........
それで、ここどこよ?一見病院みたいなような…。でも違うか。こんな和風で畳のある病院なんてこんな所には無かったはずだし。て、場所わかんないけどまだ神社近くだとしたら、だけどさ。
そんなことをまた考え始めていた時、
「あー、やっと気づいたん?ちょっと動いてみぃ。って、包帯巻きすぎやなぁ。これじゃあ動けないやんか。桜良、包帯巻きすぎやって」と二度目のご登場の僕の従姉:二ノ倉 茜がそういう。
てか何でいるの⁉ ついでに言うと、今この部屋にいるのは僕と茜さんと姉の三人。それ以外のメンバーは今のところこの部屋にはいないようだ。まぁ、僕が見えていない範囲には居るかもしれないけれども。そんなこと僕に知ったことじゃないと割り切っておきまして、部屋の様子はというと
「えー、そんなにグルグルに巻いてないよ。」と先程注意された姉がしらばっくれてそういう
いやいやいや、めっちゃされてますけども、お陰でほどんど全く動けないんですけど。
そんでもって何で茜さんが居られるのでありますか?それにあの穴らしきものは何だったの?
こっちとしては全然分からないのですが!
誰か説明のほどを!
っていうの顔に出すぎていたみたいだなぁ…。姉が呆れた顔してる。
そんなことを考えていた折、急に襖が開かれ、兄貴達が集まってきたんですけど。何で?
「おー、まじかー!夕雫たん、すっげー!」と何でか汐音が興奮してるなぁ。
横にいる碧唯も、白雨も華梨もみんな驚いてる。
「えっと、どうしたの?」と尋ねてみる。
「うーん?もうそろそろ、令央が気づいて目を覚ましてるんじゃないかなぁ。って言ってたの。それで、様子見に来たらホントに起きてるからさ。みんなが驚いてたってこと。たいしたことないでしょ?」となんでもなーいことのようにおっしゃられる夕雫さん。いやいやいや、たいしたことでは全くないですねぇ。この人といると価値観変わってきそうだなぁ。
ってそれはいったん置いといてと、「そういえば、あの後どうなったの?穴みたいのは?」と質問してみる。
「穴?ああ。あの石ねぇ。下から見たら穴だわな。それもドでかい。そりゃあ、すくんで動かなくなるか。後、ここは神社の本堂を借りてる。」と勝手に解釈されて勝手に従姉に納得されている。まぁ、解釈は合ってるんだろうけど、現にすくんで動けなかったしね。
「ってさ!何で茜姉ちゃんがいるの⁉それに穴じゃなくて石?結構デカかったよ⁉それなのに?」
「そう、石。それもここら辺のもんじゃないらしくてな。」と兄が応える。
「ここら辺のじゃない?それはどういうこと?」と素で返す。
「えっとさ、これはまだ俺たちの推測の域なんだけどさ。さっき汐音君?だったか?が言ってただろ。この上空を何千年かに一度現れる彗星が大接近するって」
「そういや、そんなこと言ってたな。そんで?」
「さっきお前の頭上に降ってきた石というか岩石?は、その彗星が大気圏近くを通った時に燃えてしまった破片なんじゃないかって思ってて。」と深刻そうな声色でそう告げる。
「そういや、あの石?めちゃ黒かったし…。うん、その説あり得るかも?ていうか、あれで破片だと仮にしたら、本体めちゃデカいことにならない⁉あの石結構デカかったよね?」
「おう。マジでデカいぞ。墜落した後、自衛隊が来るまで俺たちがいろいろ調査してたんだ。それで、身長と比べてみたら俺の身長よりもちょっとデカかったんだよな。もしかしたら、お前の身長とと同じくらいかも。マジでデカいぞ。」
えっと、汐音の身長が165くらいだったはずで、僕は170だから.........ってあんま変わんないけど?まぁいい。物凄く巨石なのだということは分かった。それに、自衛隊きてたんだ。道理で花さんがいないわけだ。彼女はああでも一応陸上自衛隊の一員なので、仕事に行ったのだろう。
「そういえば、話は変わるんだけど、記憶落ちる前に誰かに突き飛ばされた気がするんだけど押したの夕雫だったりする?」これは結構気になってた。
「うん?押したのは私じゃなくてこの子達。意外に私よりも反射神経がいいんだねぇ。」と言って後ろを顧みる。
「ほら、入っておいでよ。」と碧唯に促されて入ってきたのは、湊本さんと…紗矢?
何で2人が?
「えっと、ごめんね。なんか危なそうだなぁ。って思ったから思いっきり押しちゃって…」そう言って押し黙る湊本さん。何で謝るのかも押し黙るのかも理解しがたいんだが?
「えっと、どうして謝るの?二人のおかげで死ななくて済んだんだよ?お礼言いたいくらいなんだけれど。」と本気でそう伝える。
そういったとたん、驚いたように顔を上げた。しかしすぐに、湊本さんは下、紗矢は横に視線をずらした。何で?とあらためて思っていたが。一つ確信した。ああ、もう。姉貴ったら、余計なことしないでくれない?完全に二人とも勘違いしてるじゃんか。
「えっと、僕こんなにグルグル巻きにされてるけど、怪我はすごくないよ?軽い脳震盪と捻挫だけだから、安心して。姉が悪乗りでしただけだから。」そう言うと今度こそ心底ほっとしたような顔になる。やっぱり二人とも似てんなぁ。
「なぁ、令央。この二人誰?知り合い?」と汐音がめちゃ小声で聞いてくる。
「えっと、紗矢は知らなくても仕方ないかもだけど、湊本さんは知ってるだろ!?同じクラスだし、お前の追っかけだし、金髪だから結構目立ってるし、可愛いし。何で知らないの?」と勢いで怒鳴ってた。しかも半分は言わなくてもいいこと言ってた気がするが後の祭り。当の本人は…ああ、下向いちゃってる。ごめんね。余計なこと言って。
えっと、それで汐音は「うーん、そうだっけ?ごめん、覚えとらんわ。」と普通に言う。マジかい!
「ああ、そうですよね。私なんかね。覚えられてなくて当然かも…。逆に覚えられてて嬉しいというか…。」と口ごもる。
「それは、この馬鹿…令央に覚えられてたからでしょ?分かりやすいよね。あんた。」と紗矢の切り替えし、何で俺がここで関係してくる?
「そ、そんなことないってば!紗矢ちゃん、何言ってるの⁉」とめちゃ慌てる。にやけそう。
「えっと、多くの人は知らないと思うので、自己紹介を。令央の幼馴染の
へぇー、二人従姉だったのね道理で似てるわけだ。と納得。そして、その他のメンバーも紹介を終えてひと段落.........
って思ってたのに、ことが動いたのはその紹介から約30分ほど後の事だったと思う。
花さんが急いで部屋に飛び込んできた。
「ねぇ、皆あの石の正体分かったよ!リュウ君の推測当たってた!あの石、今上空を通ってるはずの彗星の破片だった!」と言う。
その瞬間、部屋の空気が一気に暗くなった。まぁ、当たり前か。あれよりもでかいのが今上通ってるんだしな。
と考えていた時、周りの音が変わった。風の音が一段と強くなったように感じた。前の欠片が落ちて来た時みたいに.........
皆も気づいたみたいで、急いで皆、外に出る。
一番先に出ていた花さんと兄が呆然としていた。
「どうしたの?」聞くのが怖くて、声が震えていた。
「…っ!見てみろ、自分の目で.........」いつもはしっかり者で何も怖いものなしっていう感じの兄でさえも声が震えている。何なんだろう、2人がこんなにもおびえているのは。こんなにも怖がらせるもの、風景とは何なのか。
そう思って、見て後悔した。いつも見慣れてきた街は火の海でほぼ壊滅状態だった。
そして、その街の向こう側に広がっている太平洋には、先程までは無かった薄紫色の透明がかった水晶のようなそんな見た目の円錐がとがった方を海底に突き刺して、鎮座していた。
海岸近くに在ってこの街のシンボルで、200メートルほどの高さを誇るポートタワーがその氷柱のような彗星と比べると全然ちっぽけに見えてしまった。
でも、これで終わりなんかじゃない。寧ろこれからが、本当の悲劇の始まりだ。さっき馬鹿でかい欠片が落ちてきたのも、今海に落ちてくるだけで、街を一個ほぼ壊してしまった彗星がいるのも、これからの出来事を鑑みれば、まだ序の口だ。これからがもっとひどくて全世界をも巻き添えにするような、そんな出来事が幕を開ける。
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