第6話 甘い夏祭りと日常崩壊へのカウントダウン⑤

『二度あることは三度ある』

その言葉通りなってしまったんですが、何でこうなっちゃったの?

みんなと一緒に仲良く射的ゲームしてたのに…。

だからか!皆、調子に乗ってジャンジャン景品取りやがって…。もう、楽しいからまぁいいんだけど。

ついでに言うと、みんな全然うまくないの!僕の兄妹も全然なんだけど。これは前から知ってるけどさ。

まさか汐音まで下手だとは…。

こんなんで本当にサッカー部のエースなのか?ちょっと不安になるぞ。

「だってさ、サッカーは得意だけどさ。これとは勝手が全くと言って違うんだから!許してよ!」というのが彼の言い分です。皆さんはどう思います?僕は許してもいいでしょうか?

まぁ、それもどうでもいいんだけど。家族の中でうまかったの僕だけだし。夕雫たちもそこまで上手くなかったから結果として僕が代行?みたいなことをして欲しがっている物を結構取っちゃった。

あっ、つまりは僕が悪いんじゃん!代わりにいっぱい撃ち落としちゃったんだから…。


えっと、まあそのことも一旦置いといて。そんなこんなで滅茶苦茶荷物が増えてしまいました。

自分用に落としたものもあるから、もう、手一杯なんですよ。それで前もあんまりちゃんと見れてなくて、また、ね。やっちゃった…。

人にぶつかりました。なんで今日は人に二回もぶつかっちゃうんだろ。湊本さんのも入れると三回か?

もぉ、いや。しかもぶつかってしまった相手がもっと面倒でややこしくて、できれば今会いたくなかったって人なんだよね…。


誰かって?ちょくちょく会話にも出てたんだけどなぁ。感がいい人は分かるかも。

そう、僕の幼馴染兼元カノの紗矢である。なんでいるのかな?まぁ、地元だから来てもおかしくはないんだけどさ。

ていっても、ぶつかってしまったのはこの子じゃなくて、その隣で今地面にへたり込んでいる浴衣姿の子なんだけど。

「えっと、ぶつかってごめんね、。怪我はない?」と彼女に声をかける。

何で彼女とは二回もぶつからないといけないの。訳分かんない。

しかも、隣には何でこいつがいるんだよな。もっと訳解んねぇよ。そう思っていたのが顔にどうも出てたみたい。

「あのさぁ、何であんたが…令央が、ここにいるの?」とめっちゃ不機嫌なご様子の紗矢さん。

こういう時は『触らぬ神に祟りなし』ということで、さっさと話してサッサと離れるが得策。

「うーん?兄貴たちと夏祭りに遊びに来てただけだけど?なんか悪い?」と言う。

うわー!何でこんな言い方しちゃってるの、僕⁉ サッサと別れようとしているのに、こんな風に棘を含んだ言い方してると、絶対に反発するんだよ。そんな人なんだよ、この人は。

扱いめちゃムズイよ。まぁ、この人の経験があるから、碧唯ともまぁまぁいい感じに付き合えてるのかもしれないかも。どことなく碧唯と紗矢って似てるからなぁ。


はい。またどうでもいい話を始めちゃったなぁ。もう、こんな調子じゃ、サッサと別れられませんねえ。


「えっと、またぶつかっちゃってごめんね。北ノ山君。前ちゃんと見てなくて…。」と何故か言いにくそうな様子で謝られる、湊本さん。なんか前もなんだけど、僕避けられとる?まぁ、彼女は汐音の追っかけだからね。僕みたいな脇役には興味ないんだよね、きっと。

「そんな、こっちのほうが悪いんだって、湊本さんが悪いわけじゃないからさ。ホントにごめんね。」と本気で謝ってみたりして。

そんな様子を意外だなぁって顔からして物語っている紗矢さん。

そういや、この二人知り合いなのか?

どうなんだろう。

「ねぇ、紗矢。湊本さんも、僕もう行かないといけないんだけど。一つだけ最後に聞いてもいいかな?」と聞く多面こちらへ意識を戻す。

「何よ、サッサと言いなさいな。」と紗矢さん、いかにもって感じで嫌がってはるねぇ。

「えっ!?何かな?」この湊本さんとのギャップものすごいね。湊本さんて見た目は派手で結構目立つけど、中身?性格?は控えめであまり目立たないんだよねぇ。まぁ、そこがいいんだけどさ。

そういう所、紗矢は見習った方がいいんじゃないんですかねぇ?

またどうでもいいことを、サッサと聞いて帰ろう、っと

「うんと、二人ってどういう関係なの?見たところ、結構仲いいみたいだけど~!?」

語尾少し変になっちゃったね。うん、もう。夕雫さんマジで神出鬼没だな。

最後、変になっちゃった理由としては、夕雫さんに後ろから引っ張られた影響でバランスを崩しかけ、そのことに驚いて語尾が変なことに…。

「急に引っ張るな!こけそうになったじゃんか!」と僕にしては珍しくめちゃくちゃキレた。なんでこんなことでキレたのかは、いまだに分からないけれども。

「ごめんー。そんなに怒んないでよ。花火大会もう少ししたら始まるから呼ぼうと思って。」

と通常運転なんですな。

もう、しゃあない。許そう。

そう思って、そのほかのメンバーが場所取りしているらしいところへ急ぐ。


そういや、さっきからなんかすごい風と音が頭上?からするんだけど.........

何なんだろう。

そう思い、ふと足を止め空を見上げる。

そこには、あるはずの星がなく、ぼっかりと黒い影が空を覆ってるように見えた。


『えっ!?なにこれ?どうなってるの、これ?ホントにブラックホールができたの?どういうこと?』そんなことで思考がほぼ停止していた僕は、そのまま呆けていた。

そして、しばらくして先程の穴?影?がこちらに近づいていることにようやく気付いた時、

足がすくんでしまった。身体が思い通りに全く動かない。

どうしよう。このまま僕の人生は終わっちゃうの?

そう考え、ますますブルーになった。

そこでもう、気がなくなりそうだった、その時!

「令央!」そう切羽詰まった夕雫の声とその後に受けた衝撃を最後に今度こそ本当に記憶が飛んだ。


ーこの出来事は、まだこれから始まる悲劇の始まりに過ぎないことを僕たちはまだ知らない。ー

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