第3話 甘い夏祭りと日常崩壊へのカウントダウン② 

柳の木の下には、もう皆が集まっていた。約束の時間までまだ時間あるよ?なんでこんなに早く来てるのですか?と思いつつも、顔に出さないように心掛けづつみんなの元へ行った。

「ああっ、令央やっと来たー!遅いよ~!」と頬っぺたをめいいっぱい膨らませて、怒ってるらしい夕雫が、こう言ったのだがこの様子はかなり尊いんだが!あぁ、可愛いという意味でだけど。

そんな様子の夕雫の隣には、なぜかムスッとしている、碧唯が本物の姉のようにいらっしゃいました。何で二人して怒ってるの?皆来てるのに、僕だけ遅れてきたからかい?

...そんなら汐音は?あいつも来てないみたいだけど。

とかと考えていると、「汐音君ならもう来てるよー。今は買い出しに行ってもらってる。」とやはり心を読んだらしい夕雫が答える。へぇ、そうかいな。

そんなことを思ってたら、売店かどこに行っていたらしい、汐音がこちらへ駆けてくるところだった。

「ごめーん、結構混んでたー。はい、パン!」と手際よく、それぞれに必要なもの配布?していく。

その作業が何で必要なのかは、途中から来た僕はさっぱりわかないけども。

「これねぇ、全部この子が今からいるっていうから、汐音にパシリに行ってもらったんだけどね。何でこんなに多くのものがいるのか分かんないけど。」どうやら、顔に出てたらしく、碧唯がナイスフォローをかましてくれた。って、ええー?夕雫以外なんでこんなのが必要なのか分かってないの?


「今はなんでかわからなくても、その時なったら在って良かったぁ。って絶対思うもん!」となんでか自信満々の夕雫さんです。


なんか、最近ちょっと彼女の様子がおかしいのです。特に、僕が湊本さんとぶつかってしまった日から・・・・ とは言っても、そのことと、僕が彼女とぶつかったことには何の関係があるのかわかんないけども、何かシカの関係はありそうだと直感がそう言っている。根拠は全くないが。

それに、この子なんかすごい才能というか特殊能力を開花させちゃったんじゃないかと思うんだよなぁ。だってさ、先生が次に何を言うのか、誰を当てるか、どんな質問をして、回答者がどんな回答をするのかまですべてを分かってるみたいだから。


今まで起こったことがもしもただの偶然なんかじゃなくて、本当に彼女の中で新たに開花した能力の成せるな技なのかもしれないなぁ。と考えつつ、煩悩の数である108にそれを超えるという意味で一段追加されて109段になっている、屋台などが盛大に執り行われている、本殿前へと続く長すぎる石段を登りながら、ぼんやりとそんな事を思っていた。

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