第143話 四年後

 王様になって四年が過ぎた。

 だいぶ王様っぷりが板についたように思う。


 この四年で行なったのはいろいろと。


 まずは国号を改めた。

 それまでの『ヤポン』から『ヤーパニー』に変えた。

 王族が完全に入れ替わっているから改めた方がいいらしい。


 次は貨幣を作り直した。今までの貨幣は作った後にプレス機にでもかけたのか?っていうくらい酷い出来だったので作り替えた。


 日本造幣局レベルの精密さで出来ている。しかも俺のスキルのおかげか劣化しない。


 一応金貨には俺の顔が彫られている。そして銀貨にはシルヴィアの顔が。もちろんエルフの姿を象ったものだ。


 この国の王妃になってからシルヴィアはエルフの姿を隠すことはしなくなった。

 この国の王妃がエルフであるという事実を公にした事でエルフに対しての差別は徐々に無くなっていった。



 次に教育改革を行なった。

 大昔の日本や発展途上国のようにこの世界の子供は貴重な労働力だったが、初等教育は大切なのでそこはゴリ押した。ただし、農家であれば金属製の農具など俺のスキルでどうにでもなるものは全て無料で貸し出した。


 作業効率を上げる事で教育に時間をかけられるようにした。

 さらに希望者には子供でなくても授業を受けられるようにしたので、たまに大人が子供に混じって教室にいたようだ。

 これによって識字率は格段に上昇した。



 あとはタイタン王国と国交を結んだ。

 タイタン王は俺のこと好きだからな、喜んで交渉に応じてくれた。あといろいろ教えてもらった。


 一度隣国が攻めて来たが、報告を受け次第飛んでいき俺が一人で兵士を全滅させてやったらあとはなんか上手くいったようだ。



 それとシルヴィアとアリスが妊娠し、出産した。

 シルヴィアが女の子、アリスが男の子を産んでくれた。どちらも三歳だ。

 女の子はアクア、男の子はジョンと名付けた。


 アクアは活発だ。魔力が高いらしい。

 ジョンは大人しい。が、運動神経は良い。


 どちらも母親譲りだな。


ーーーーーーーーーーーー


 ある日、シルヴィアに呼ばれた。

「どうかしたのか? シルヴィア、アクア」


「おとうたん、みて! 『うぉーたー』」

チョロロッ! と水が出た。


「!? 魔法か? 魔法だよな?」

「そうよ、魔法が使えたの!! すごいわ、アクア!!」

 アクアはいい顔で笑ってた。


「すごいぞ、アクア!! お前は世界最高の魔法使いになれるぞ!」

「うん、なったる」


 うん、気のせいじゃなくてアクアはこっちの言葉、関西弁チックな訛りで話すようになった。

 シルヴィアは王妃なのにすぐ街に出て買い物したりしてるから周りの言葉で覚えてしまったんだろうな。


「まぁ、良いわ。コレがこの子の個性だから‥‥‥」

 うん、俺もそう思う。

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