第115話 想定外
魔法やブレスの使えないはずのダークベアが 火球 を放ってきた。
誰もが想定していなかった事態に困惑した。
トドメを刺すべくダークベアの頭部に迫っていたアリスは火球のカウンターに近い直撃を受けた。
「きゃああ!!!!!!」
「アリス!!? シルヴィア、アリスを頼む!」
「わかったわ!」
このチームで回復出来るのはシルヴィアだけだ。
「よくもやってくれたな! タダで済むと思うな!?」
ストレージから武器娘三姉妹を取り出す。
三方向、それぞれの角度からの三次元攻撃を繰り出す。元々俺のスキルにより頭部以外の自由の効かないダークベアはなす術もなくその巨体を切り刻まれていった。
やがてキラキラ消滅して爪と毛皮が残った。
「アリス! 大丈夫か!?」
「うん‥‥‥、大丈夫」
「直撃の瞬間、ミスリルマントで覆えたみたい。だからそこまで深刻ではないわね」
「そうか‥‥‥、良かった‥‥‥」
「さっきマントをもらってなかったら危なかったわ。しかしダークベアが火球を放ってくるなんて‥‥‥」
そう、完全に想定外だった。この国のモンスターはもしかして何かが違うのか?
とりあえず村に戻って報告をした。
「かたじけない。お連れ様の怪我は大丈夫ですかな?」
「まぁ、こちらの想定外の事態だったので‥‥‥。回復魔法で大事には至りませんでした」
「それは何より。で、米の購入についてですがこの村で売れるのはこれくらいになります。都市部であればもっと手に入ると思います。よろしければ紹介状を書きます。行くのであればお持ち下さい」
「わかりました、ありがとうございます」
とりあえずの米をダークベアの毛皮分交換してストレージにしまった。
サターン号に戻ってきた。とほぼ同時にシルヴィアの変身魔法が解けた。
「ギリギリだったな」
「結構魔法使ったからね」
「ごめんなさい」
「アリスは悪くないわ、しかしあのダークベアはおかしいって」
「だな。この国は少し変だ」
三人で異常性について話していたが結論は出なかった。
今日はなかなか疲れた。休むことにしよう。
ーーーーーーーーーーーー
ここはヤポン王国、王都の外れ。
「サンプル102号【改造ダークベア】がやられたようです。フェネクス様」
「‥‥‥ほう? それは興味深いな。やられた場所は‥‥‥、随分と地方だな‥‥‥。アレを倒すとはなかなかの手練れ、人間もなかなかやるな。サンプル115号までの調整を急がせよ」
「はっ!!」
ここは上級魔族【フェネクス】の研究所。意外にも王都の外れにあった。
改造したモンスターを従えてこの国を支配し、世界を狂気と混乱に陥れようと目論んでいた。
「私はこの世界を統べる魔王となるのだ‥‥‥フハハハ!!!」
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