第65話 二年後
俺は16歳、アリス様は14歳になった。アリス様は歩けば誰もが振り返る程の美人になっている。
この美しさが貴族の間で話題となっていた。
そうでなくても貴族令嬢ともなれば輿入れの話も出てくる。生まれた時から婚約者がいる事も珍しく無いからな。
「ええ? いやよ! 私は剣の道に生きるんだから!」
「そんな、アリス様。冒険者などになるおつもりですか?」
「などって‥‥‥アウルムだって冒険者じゃないの!」
「私は良いんですよ! 今はアリス様の話をしてるんです!」
「まぁまぁ、アリスも『剣帝』という加護を授かったのだから冒険者として活動してみたいのだろう? よし、一年だ。一年間だけやってみなさい。Aランクまで上がれたならそのまま冒険者として活躍しても構わん」
意外なところでブラス様からOKが出た。
ならまぁ反対しなくても良い‥‥‥のか?
公爵令嬢なのにわざわざ冒険者なんかにならなくても‥‥‥。
「という訳で、わかってるね。頼んだよ、アウルム」
「‥‥‥ですよね。はい、わかりました」
ブラス様はやはり諦めさせるように暗に俺に命令してきた。
「アウルム! 早速冒険者ギルドに行きましょ! さぁ早くはやく!!」
「アリス様、装備を‥‥‥!!」
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「ヒトによるヒトの国家を!!」
「「「ヒトによるヒトの世界を!!!」」」
街の中ではこの二年、特に最近はこういった活動が活発になっている。ユピテル教団が勢力を増してきているからだ。
それはすなわちブラス様の政治的影響力が低下しているという事らしい。と、ミランダが言っていた。
残った獣人はミランダとハンニバルさん他数名くらいだ。
俺には詳しい事は分からない。
俺に出来るのはアリス様をお護りすることだけだ。
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タイタン王国の宰相、カリュプス侯爵は政治力、判断力に優れた人物であり若くして宰相となったが、潔癖なところがあり人間以外の種族に嫌悪感を抱いていた。そこでユピテル教に入信した事により嫌悪感はさらに増した。
現在はユピテル教をタイタン王国の国教とするべく動いている。ここ二年で政治勢力は逆転し、他種族擁護派であるブラス公爵派は少数派となっていた。
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