第36話 カエルラマリスも
『アンタすげえな! アタイはカエルラマリス。アンタについていくよ!』
「おい、口の聞き方に気を付けよ」
『それもそうか、申し訳ねぇ』
「いや、別にいいよ。俺はアウルムだ。お前も人型に変形出来るのか?」
『あぁ、出来るぜ』
と言うと、ルーの時と同じように光が集まり、人の形になっていく。
背が高く、ナイスバディな薄着の美人が現れた。青く長い髪からは良い匂いがする。
「改めてよろしく! 旦那様!」
「だ、旦那様!? おぅ。よろしく‥‥‥」
「ふふっ、何千年経っても男って生き物は変わりないんだねぇ。こんなモンに釘付けになっちまって‥‥‥。でも旦那様ってば可愛い〜」
‥‥‥‥‥‥。
男だからな、胸部渓谷に視線を取られるのは仕方あるまい。
「我も全盛期ならそれくらい‥‥‥」
ルーは自分の胸を見てぼやく。
「改めて見ると姉さんは随分と縮んだねぇ。魔力が足りてないのかい?」
「うぅ‥‥‥放っておいて欲しいのじゃ‥‥‥」
「しかし旦那様のスキルはすごいねぇ。アタイ達の身体を好き放題出来るのかい?」
「言い方ぁー!!!!」
「あながち間違いではないのじゃが‥‥‥」
「違うだろ! まったく‥‥‥。俺のスキルは『金属支配』だ。お前達だけでなく金属であればいろいろ出来る。こんなふうに‥‥‥」
鉄球を自由に動かせて見せると、カエルラマリスは感心して見ていた。
「ほれ、こんな風に形も変えられるぞ」
鉄球を鉄板に変えてみたり、棒状に変えてみたり。
「キャアーーーーーーー!!!!」
突如、悲鳴が轟く。
「シルヴィアの声だ!! 急いで出るぞ!!」
急いで鉱道から出る。
シルヴィアがオーガと対峙していた、しかも負傷している。
「すまん、シルヴィア!! 大丈夫か!?」
「あ! 助かったわ」
「とりあえず下がって回復魔法を使ってくれ」
「ありがとう」
「我が仕留める! お主は武器モードへ!」
「あいよ!」
瞬時にルーが大ジャンプ、カエルラマリスは大斧に変化。
「主殿、我の手元に!!」
「OK」
カエルラマリスをスキルで飛ばしてルーの手元に。空中で受け取ったルーが一回転して大斧をオーガに叩きつけた。遠心力を利用した最高の一撃だ。
「ウガァーーーーーー!!!!」
オーガは頭から真っ二つ。
そのまま魔石とドロップ品を残してキラキラ消滅していった。
カエルラマリスは再び人型に。
「ふむ、なかなか良い連携でしたな」
「旦那様! どうだ? アタイ、強いだろ?」
「一撃の威力としては最強なんじゃないか?」
「我の全盛期はあんなものでは‥‥‥」
「えぇーっと、ちょっといい? 貴女は誰なの?」
「え? アタイ? もしかして旦那様の‥‥‥? いやぁ、どうも。魔斧カエルラマリスといいます。よろしくですぅ」
なんだ、その挨拶!? 営業マンかっ!?
「アウルムの仲間、シルヴィアよ。例の斧の‥‥‥。えっとカエルラ‥‥‥?」
「マリスです」
「じゃあ、マリちゃんね!」
「!? マリちゃん?」
「マリじゃな」
「じゃあ、お前はマリで」
「えっ? えっ!?」
魔斧カエルラマリス改め「マリ」になった。
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