第34話 鉱山の街 ヒュドラル
次の町、ヒュドラルに着いた。ヒュドラルは山あいの町で鉱山が近い。ダンジョンは近くにない。住んでいるのはだいたい鉱山関係の人やドワーフが多いという話だった。だが何か様子がおかしい。
「まずはギルドに行ってみようか‥‥‥。そこで情報も聞けるかも」
「そうね、行ってみましょ」
冒険者ギルドに着いた。カルコスと違って広くはない。酒場はあるが小規模だ。
「こんにちは。ようこそ、冒険者ギルドヒュドラル支部へ。冒険者の登録ですか?」
「あ、こんにちは。Eランク冒険者のアウルムです。街が騒がしいけど何かありました?」
「気付きましたか? 実は鉱山で人が倒れる事が増えてまして‥‥‥鉱山で働く人たちがこちらに引き上げて来てるんです」
「倒れる? 鉱山ガスとかではなくてですか?」
「鉱山ガスは常に検知器を設置してますのでそのせいでは無いのです。原因が分からなくて‥‥‥」
そう言う事か、この世界で鉱山で働いているのは犯罪奴隷が多いが無駄に殺す訳にはいかないものな。
「鉱山の異常の原因究明の依頼も出してみたのですが誰にも受けてもらえず、困っているのです」
少しカウンターから離れてパーティー会議だ。
「アウルム、どうするの?」
「ガスが原因じゃないなら俺のスキルで何かわかるかもしれないな」
「‥‥‥そうね。ルーちゃんはどう思う?」
『これは我の勘じゃが‥‥‥魔神器の可能性があるのじゃ』
「お前みたいな?」
『左様じゃ。以前もこのような事があっての‥‥‥話を聞く限りあやつの仕業かと思うてな‥‥‥』
「知り合いなの?」
『我の妹で魔神器が一つ、魔斧カエルラマリスではないかと思われまする』
魔剣じゃなくて魔斧か‥‥‥。
もしかしたらまた仲間に出来るかもしれないな。
鉱山の入り口に着いた。何か重苦しい雰囲気が漂っていて人はいないようだ。
「ルー、人型になっていいぞ」
『わかり申した』
「シルヴィアはここで待っててくれ」
「なぜ? 私も行くわ!!」
「奴であれば生命力を吸い取るのじゃ。我には無効だが我の魔力で保護出来るのはもう一人まで。主殿にはやつを抜いてもらわねばなりませぬから来ていただきたく‥‥‥」
「あぁ、そうなの。そう言う事なら仕方ないわね。この辺で待ってるわ」
「では、主殿。この魔石をお持ち下され」
「ん? なんだ、これは?」
「我の魔力で保護するための受け皿のようなものです」
「わかった、じゃあこうして‥‥‥」
折れた鉄剣を変化させて腕輪にして、魔石がはまるように穴をあけた。
「これでいいか?」
「結構です」
「では、行こうか。シルヴィア、あとはよろしくな。なるべく早く戻るから」
「わかったわ」
鉱山に潜った。鉱山内部は思ったより明るくよく見るとヒカリゴケが発光していた。そういえば山師のコパーさんも言ってたな。
昔は松明で明るくしていたが、今はヒカリゴケを使うのが当たり前だって。まぁ手に松明を持って歩くよりは楽だし良いだろ。
「しかし相変わらずの魔力の放出じゃ。これじゃ人が倒れるのもやむを得ないのう」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます