閑話 女性陣の会議side美嘉

「緊急会議をします。」


 今、シュンはアルバイトに行っている。

 ここには女性陣しかいない。


「何?いきなり?」


 ジェミニがキョトンとしている。

 他の子も同じ。

 まぁ、それはそうよね。

 いきなり緊急会議と言われてもね。


「あたし達はついにシュンと想いを添い遂げる事ができた。それは間違い無いわね?」


 みんながこくりと頷く。


「私まだなんだけど?」


 翠さんが手を上げるが誰も反応しない。

 それどころか、そっと目を逸している。

 ジェミニ以外は。

 

 ・・・翠さんの問題は、難しい。

 正直、別に良いんじゃないかとも思う。

 この人はそれくらいシュンの事が好き。


 でも、シュンが受け入れないのでは駄目。

 そして、それはあたし達が後押し出来ない問題でもある。

 だって、心の事だから。


「まぁまぁ、ミドリ?それは取り敢えず置いとこ?」

「え〜?ジェミニ〜・・・寂しいでしょ?」


 ・・・まぁ、ジェミニは馬があっているみたいだから、手助けする可能性は高いかもしれないけど。

 その時はその時ね。


「本題に戻すね?これからは試験があって、その後は冬休みがあるよね?」


 みんなが頷く。


「でさぁ?みんなで旅行に行かない?」

「旅行・・・ですか?どこか行きたい所でもあるの?」


 美咲が不思議そうにそう言う。


「まぁ、どこって事もないんだけど・・・みんなでさぁ、誰もいないところでパーッとしたくない?例えば・・・無人島とか。」

「「「「!!」」」」

「「「「「?」」」」」


 反応は真っ二つに分かれたわね。

 異世界組はハッとした表情に、そしてこちらの世界の美咲達とフォーティは不思議そうに。


 どうやら、異世界組はあたしの言わんとする事が分かったようだね。


「なんで無人島?わたし仕事そんなに抜けられないと思うんだけど・・・」

「私もそれは同じですね。翠さんも勿論そうです。」


 美玖と美咲がそう言って、翠さんも頷く。

 しかし、それはこの世界の常識でしょう?


「何言ってるの。あたし達は転移があるんだよ?そんなのどうとでもなるでしょ?」

「「「「あっ!」」」」


 あたしの言葉に美玖と美咲、美玲、翠さんがハッとする。

 

「で、何故無人島かというと、食事や居住性なんかはあたし達がいれば問題無いし、何かあっても安全でしょ?それに・・・」

「「「「それに?」」」」

「開放的な場所、憚ることも無い人目・・・」

「「「「「はっ!?」」」」」


 どうやら、分かってくれたようね。

 美玖にせよ、美咲にせよ、あたし達と違って世間の目というのはやはり気にしなければならない面がある。

 でも、そこなら?


「な、なるほど。それは魅力的な内容ですね。」

「はい、素晴らしいと思います。」

「わ、わたしも良いかも。人気ひとけがないってのは特に良い!」

「・・・これは・・・ジェミニ?あれ・・・どんな感じ?」

「あれね?間に合いそうよ。」

「・・・お願い。うふ、うふふ・・・これは良いチャンスね・・・」


 美玖と美玲、美咲はなんでも無い顔を装ってるけど、内心浮ついてるのが伝わってくる。

 翠さんは・・・何を企んでるのかしら?

 ジェミニと何かをするつもりだけど・・・ま、今心を読んじゃったら面白くないか。

 この二人がシュンに酷いことするわけが無いんだし。


「楽しみだなぁ〜!おっ外♫おっ外♪おっ外でシューくんと〜🎶」

「・・・ああ、いけませんシュン様・・・み、皆様に見られてしまいます・・・うふ♡」

「・・・くっ!シュン・・・外で・・・聖騎士のボクに、そ、そんな格好をさせるなんて・・・この変態め・・・興奮しちゃうだろ・・・」

「・・・ふむ、この間読んだ書物に、外でする描写のものがあったな。良いチャンスかもしれん。」


 そして、異世界組は言わずもがな。

 それぞれ妄想に浸っているね。

 いくらあの部屋に幻術機能があっても、やっぱり本物には敵わないだろうし。


「うふ、うふふ、うふふふ・・・シュンくん・・・じゅるり・・・」


 ・・・ジェミニに至ってはほとんど言葉になってないわね・・・何を考えているのやら・・・あの表情はヤバいわ。

 世の男が見たら、みんな興奮して前かがみになっちゃうわね。


 こうして、あたし達の計画はスタートした。

 

 出来れば、温かい場所が良いわね。

 美咲がいい感じの島をリストアップしてくれるらしいし、あがって来たらジェミニとフォーティと一緒に飛んで行って、転移できるようになったら手を加えましょう。


 もし折り合いがつけば島そのものを購入しても良いわね。

 

 行くのはいつでも行けるのだし。


 ・・・楽しみだなぁ!

 シュン、思いっきり楽しもうね!獣みたいに♡


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