閑話 シルバーウィークの絶望 side???
「うう・・・なんで・・・なんでぇ・・・?」
「どうしたの?」
「・・・なんでもない・・・」
「?」
わたしは今、撮影の為に今日の撮影場所で待機中。
落ち込んでいるわたしに、モデル仲間の子達が心配そうに声をかけてくれてるわ。
今日はシルバーウィークの
場所は・・・瞬の住んでいる所から遠く離れた大都市。
どうしてこんな事に・・・
本当なら、瞬の家に押しかけている予定だったのに・・・
何故こうなっているのか。
あれは、先週の事だったわ・・・
「はぁ!?ど、どういう事です!?」
わたしを絶望に落としたのは一本の電話だった。
『だから、来週の連休中は全部予定あるから空けておいてね?』
「聞いてないんですけど!?」
『今言ったでしょ?』
わたしのマネージャーから電話があったの。
内容は、勿論仕事の事。
「でも、先週に連休は休みって言ってたじゃないですか!」
『仕方が無いじゃないの。飛び込みで仕事が入ったんだから。でも、チャンスよ?今回の仕事は、元々もっと有名な人が呼ばれてたんだけど、その人が別の仕事が入っちゃってできなくなったらしくて、あなたに話が来たのよ。有名な雑誌だし、今よりも更に上に行けるのよ?』
「・・・それは嬉しいんですけど・・・わたしもシルバーウィークには予定が・・・」
『あら?その予定は仕事よりも優先しなきゃいけない事なの?』
「・・・わたしとしては、そうしたい所ですが・・・」
『もしかして、男?』
「う・・い、いえ・・・その・・・」
マネージャーからの言葉に返答が詰まる。
モデルは、アイドルや女優ほど異性関係には厳しくない。
公然と相手がいるって公言している人も多い。
でも、だからと言って、それが推奨されているわけでは無いんだ。
『あなたにそんな相手がいたのは知らなかったわね。まぁ、気持ちはわかるけれど、でも、この世界で仕事をしている限り、今回みたいなのは切っても切れないわよ?良いの?これまでの努力が無駄になっても。』
「・・・」
それを言われると、辛い。
確かに最初は女を磨こうと思ってはじめた。
でも、今はそれなりにプライドもある。
努力もしたし、勉強もした。
だから、その努力を無駄にしたくない。
でも・・・
「・・・わかりました。でも、一日位、なんとかなりませんか?」
『う〜ん・・・ちょっと難しいわね。撮影先は離れているから泊まり込みになるし、気軽に戻って来れるような所でも無いし。場所は・・・』
撮影場所を聞いてため息が漏れる。
瞬の家からは真逆で、とても離れているから。
ちょっと抜け出して、なんて絶対に無理だ。
「・・・そう、ですか・・・」
仕方がない、かぁ・・・
「・・・わかりました。」
『良かった。でも、あなたの彼氏もあなたが有名になれば鼻が高いんじゃないの?だから自信持ちなさい?あ、でも、節度は守るのよ?子供が出来るなんてのは絶対に駄目だからね?』
「・・・彼氏じゃないですよ。でも、わかってますから。」
『そう?なら良いわ。じゃあね。』
こうして、わたしはマネージャーに了承の返答をして、今に至るってわけ。
でも、やっぱり完全に切り替えられるわけじゃない。
勿論、カメラを向けられたら私情は持ち込まない。
当たり前の話だ。
仕事とプライベートは別物だから。
しかし、だからといってまったくショックを受けていないわけでは無いんだ。
瞬・・・久しぶりに会えると思ってたのに・・・
あの電話からもう一ヶ月はたつ。
大丈夫かな・・・瞬が他の女と仲良くしてたらどうしよう?
他の女といやらしいことをしている瞬・・・駄目!想像したら涙が出てきそう・・・
あの電話の時の、疑惑の女の事もある。
状況はかなり悪いのかもしれない。
どこの馬の骨ともしれない女の上で瞬が・・・嫌!
やっぱり悠長になんてしていられない!!
なんとか・・・なんとかしないと・・・
そうだ!確かもうすぐ瞬の学校の文化祭があったはず!
その時に押しかけてやろう!
変装していけばモデルだってバレない筈!
「Mikuさん!撮影入りまーす!」
「あ、はーい!よろしくお願いしまーす!!」
呼ばれた。
仕事だ。
切り替えないと!
良案も浮かんだし!
でも、もし彼女ができてたら・・・絶対に返して貰うんだから!
瞬が見た目で女を選ぶとは思わないけど、それでもわたしはかなり見た目は良い筈だし!
絶対に負けてないわ!
瞬はわたしのだ!
絶対に渡さないんだから!
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