閑話 緊急会議 sideクォン

時は旅行から帰宅した直後に遡ります。

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 今日、旅行から帰ってきたよ。

 すっごい楽しかった!


 それに、シューくんといちゃいちゃできて最高だった!んだけど・・・


「シュンくん?今日は疲れただろうから、魔法を使って眠らせてあげようか?」

「え?良いの?じゃあ頼んでも良い?」


 ジェミニがシューくんにそう言って、嬉しそうにしているシューくんに魔法をかけた。

 シューくんは幸せそうに目を閉じ、すぐに寝息が聴こえる。

 いつもはこの後に、みんなでお楽しみタイムがあるんだけど・・・

 今日は違う。


 あ、お楽しみタイムって言っても、そんな大した事してないよ?

 ただ、シュンくんの顔をまじまじと見たり、頭を撫でたり、ほっぺにチューしたり、服を脱がしてお腹をさわさわしてり、ちょっと首筋を舐めて見たり、ズボンを脱がしたり、パンツを脱がしたり、シューくんのシューくんをじっくりと見たり、少し触ってみたり、たったそれだけ。


 だって、魔法の影響で、シューくん何しても反応しないんだもん!

 なんか、ジェミニが、『眠ってるんじゃなくて、麻酔が掛かってるようなものだから、大きくはならないわよ?』って言ってた!

 残念!


「緊急会議を始めます。」


 アタシがそんな事を考えていたら、ミカがそう切り出したの。

 これは旅行の帰り、シューくんの隙をついて、みんなで情報を回してたんだ〜。






「きんきゅーかいぎ?」

「そう。昨日会ったあの子について、ね?」


 ジェミニの言葉にハッとする。

 あの子・・・アタシの尻尾にびんびんと来てる。

 あの子は危険!

 アタシの勘がそう言ってる!

 アタシはすぐさま頷いた。




 そして、今に至るってわけ!


「まず、最初に説明しておくわね。あの子は『周防すおう』の娘よ。周防ってのは、周防財閥っていう日本で有数のお金持ちって考えで良いわ。お金持ちって事は、力を持っているってこと。」


 なるほど!

 そうだったんだ〜。


「で、その周防の子の心を読んだわ。」


 ミカはジェミニを見た。

 ジェミニは頷いて、続きを代わりに話し始めたの。


「あの子は・・・どうも、シュンくんに助けられた時に、好きになったみたい。まぁ、これはいつもの事だから仕方がない。」


 ため息混じりにそう言うジェミニ。

 うんうん!

 本当に向こうではいっぱいあったからね!

 ため息をつくその気持ちはわかる!


「で、問題は、あの子はその財力と権力を使って、シュンくんとミカ、・・・それと私達の事について調査をしているの。」

「「「!?」」」

 

 それって大丈夫なのかな? 

 アタシと同じように、リリィとラピも表情が硬い。


「一応、あたしとシュンの事は、ある程度素性が割れてるみたい。でも、あなた達転移者の詳細はまだバレていないわ。」


 良かったぁ。

 でも、ミカの顔色は悪い。


 なんでだろう?


「・・・心を読んで分かった。あの子、かなり手強いよ。とても頭の回転が早い。流石は、『周防』をの名乗るだけはあるね。だから・・・最悪、あたし達が普通じゃないのはバレるかも・・・いえ、もう、バレているかも、ね。」

「それって・・・大丈夫なの?」


 思わず、そう口に出ていた。

 しかし、心配そうなアタシにジェミニが笑顔で頷いてくれた。


「多分大丈夫よ。何せ、荒唐無稽な事だもの。でも、懸念事項はもう一つあるのよ。あの子の気持ちは、私達と同じくらいにシュンくんに惚れていると思うの。」

「・・・しかし、一度助けただけで、そんなに簡単にそんな立場の人が気持ちを持ってしまうものでしょうか・・・?」


 小首を傾げながら、そうつぶやくリリィ。

 アタシもそう思う!


「リリィ。自分の事をかえりみなさい。あなたは、お姫様だったでしょう?シュンのように、立場をそこまで気にせずに、ただひたすら前向きで、自分を強く持っていて、それでいて優しく心も強い人と出逢ったら?」

「・・・リリィは結構早い段階で、シュンに入れ込んでいたものな。」

「ラピス!?」


 ラピの暴露にリリィが真っ赤になる。

 うんうん。

 確かにリリィはチョロかった!


「それと同じよ。あの子の周囲も権謀術数が渦巻いていて、気を抜けない生活をしているの。そんな中、どこまでもまっすぐなシュンに助けられたとしたら?」


 なるほど〜。

 そういう事か〜。


「で、ここからが本題。あの子はまだ諦めていないよ?初戦こそ出鼻をくじく事ができたけど、あの子は次の作戦を決行しようとしてたの。」

「次の作戦?」

「ええ、学校に転校してくる事。」

「「「っ!!」」」

 

 ええ〜?

 だってお嬢様なんでしょ?

 あの学校は、ふつーの人が行くとこなんでしょ〜?


「・・・だから、油断できないのよ。すごく立場のある親を説得し、実行できる力と能力があるって事。それに、それだけの想いも持っているわ。安易に権力を使って圧力をかけて来ない事も怖い所ね。それが、シュンが嫌うことだってわかってるんだと思うし。」


 そっか〜・・・


「・・・あの方は、とても綺麗な魂の色をしていました。ですので、基本的には善良な者で間違いありません。」


 少し口惜しそうにそう言うリリィ。

 ・・・とても聖女に見えないねリリィ?


「と、いう訳で、あたし達はまず二学期までしっかりとシュンを籠絡して、隙があったら既成事実を目指しましよう。できなくても、絆はより強くなるわ。それで来たるべき二学期に備えよう。良いわね?」

「「「「お〜!!!」」」」


 ミカの言葉にみんなでときをあげる。

 隣ではシューくんがスヤスヤとしている。

 ・・・うん。可愛い♡


 いよ〜し!

 気合が入った!

 相手にとって不足は無いね!


 絶対シューくんは渡さないよ!

 シューくんはアタシたちのものだ〜!!

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