第19話 学校生活が賑やかになりました

「異世さん!あの・・・」

「ん〜?な〜に〜?」

「良かったらこっちで前の学校の事を詳しく・・・」

「ごめんね〜?シューくんとミカと話してるから〜。」

「あ、そ、そう・・・」


「異世ちゃん!一緒にお昼ごはんを・・・」

「ごめ〜ん!シューくん達と約束してるから〜!」

「そ、そうなんだ・・・じゃあ、また今度、ね・・・」


「異世さん!部活どうするの!?良かったら部活案内を・・・」

「ああ、シューくんも美嘉も部活やってないからアタシもやんないよ〜?」

「で、でも何かやったら楽しいかも・・・」

「無〜理〜」

「・・・そ、そうなんだ・・・」


「異世さん、僕はこのクラスの委員長をやってるんだけれど、クラスで親睦会を開く予定なんだ。授業も終わったし、みんなでカラオケにでも行こうと思うんだけど、行くよね?」

「う〜ん?シューくん達と帰るからいいや!気持ちだけ受け取っとくね

〜?」

「え!?で、でもクラスメイトと打ち解けるのも大事な事だし、みんなも行く気だから・・・」

「ごめ〜ん。クラスの人達よりもシューくんとミカの方が大事だから〜。」

「・・・そっか・・・」


 クォンはあれから、クラスメイトに話しかけられても、ずっとこんな感じだった。

 その様子を美嘉は嬉しそうに見ている。

 どうも美嘉は、城島達に脅され、僕を無視していた学校の人たちがどうにも許せないらしい。

 そして、何故かクォンもそれを知っていて、分かりやすく学校の人たちをないがしろにしているっぽいんだよね。


 そして、学校の人たちも、そんな美嘉の事が分かってきており、仲良くなりたいのに、中々話しかけられなくなっていたんだけど、そんな中に新たに現れた美少女のクォンに群がったわけなんだ。

 ・・・この有様なんだけどね。

 学校の人たち・・・特に、男子生徒達の肩の落とし方が酷いなぁ・・・


 まぁ、これに関しては僕は何も言う気は無いんだけどね。

 実際に、脅された人達の中には、なんとかしようとしてくれていた人もいるみたいなんだけど、でも、陰でも僕に話しかけてくれる人はいなかったから。

 

 城島達の影響が無くなってからすり寄ってこられても・・・って感じちゃうんだ。

 それに、男子生徒の大半は、美嘉が目当てな気もするし。

 今はそこにクォンも入ってるんだけどさ。

 僕から、積極的に仲良くなろうとは、とても思えないよね。


 そして、そんな二人は周りなんかお構いなしだった。


 がっかりしているクラスメイト達の前で、大声で僕に話しかけている。


「シューくん!今日は何して遊ぶ〜?」

「う〜ん・・・そうだね・・・僕、そろそろアルバイトしようと思ってて、何か探そうかなって思ってるんだけど・・・」

「アルバイト?シュン、別にしなくて良いわよ?お金ならあたしが・・・」

「い、いやそれはちょっと違うと思うんだ!僕は生活費は自分で稼ぎたくて・・・」

「あ!!アタシのマジックバックに宝石とか・・・」

「わ〜!?わ〜!?マジック・・・ク、クォン手品とか出来るの!?でも、僕は出来ないからそんなアルバイトは出来ないなぁ!!うん!!」


 美嘉は際どい発言は止めて!?

 それじゃ一緒に生活しているのがバレちゃうよ!!

 クォンはもう少し気をつけようよ!

 ギリギリアウトだよ!!


 教室を後にし、正面玄関から出ながらそんな話をしている僕達。

 そんな僕達を恨めしそうに見ているクラスメイトや学校の人たち。


「・・・ククク。いい気味だの。」


 ポツリと美嘉が呟いた。


「美嘉?」


 僕は美嘉を見る。

 すると美嘉はニヤリと笑っていた。


「そうであろう?妾達のような綺麗所をはべらすシュンと、関わり合いが持ちたくとも、もう遅い!っと言うやつだ。」 

「綺麗所って・・・確かに二人共綺麗だけど・・・」

「おや?もっと褒めても良いのだぞ?」


 そんな僕の言葉に嬉しそうにしている美嘉。

 まったく・・・僕よりもよっぽど頭に来てるんだね。

 アルフェミニカモードになってるし。

 

「わかる!シューくんに冷たかった奴らなんて知らないよ!ね〜ミカ?」


 そんな美嘉に嬉しそうにクォンも頷きながらそう言った。


「「ね〜!」」


 ・・・二人共、心から笑顔になってる。

 にしても・・・仲良くなったね二人共。

 再会した時には殺し合いしていたのに・・・


「ほら!シューくん?早く帰って遊ぼ!」

「駄目よクォン!夕飯のお買い物に行って、宿題終わってからだからね!」

「え〜?いいじゃんちょっとくらい〜!」

「だ〜め!」


 そんな二人を見ていると、僕も笑顔になった。

 お父さん、お母さん、僕にはとても大事な人たちができました。

 もう、寂しくありません。

 

 どうか、安心してね?

 多分、これからも、こんな風に騒がしく生活していく事になると思うから、さ?


「シュン!何やってるの?早く買い出し行くわよ!」

「そうだよシューくん!早く行こ〜?」


 少し歩みが遅くなっていた僕を待つように立ち止まりながら二人が振り向く。


「うん!」


 僕は笑顔で走り寄った。

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