第18話 クォンが学校に通い始めました
「さて・・・じゃあ行きましょう。」
クォンと再会してから2週間ほどたった。
無事編入試験も終え、入学が決まったクォン。
今日は登校初日という事で、3人で一緒に学校に向かっているんだ。
あれから、ちょっと大変だったんだよ。
まず、僕の部屋と美嘉の部屋が繋がったあの日、ご飯を食べた後、順番にお風呂に行ったんだけど・・・
「なんで服着てこないの!?」
「だって、あたしはいつも入浴後は全裸だもの。バスタオルを巻いているだけ感謝して欲しいわ。」
目の前にはバスタオルを巻いた状態で、両手を腰に当てた状態で僕を見下ろす美嘉。
色々危ない!!
バスタオルが肌に張り付いて、その神がかったスタイルがよくわかる。
丈が短いし・・・お風呂上がりでいい匂いがするし・・・
ううう・・・なんでこんなに普通にしていられるの?
こっちが照れちゃうよ・・・
そして、その後、
「シューくん!出たよ〜!!」
「ク、クォン!?君もちゃんと服着てきてよ!!」
「え〜?だって美嘉だって同じじゃん!」
「そういう問題じゃないよ!目のやり場に困るんだ!」
「・・・にひっ♡シューくんったら、エッチ♡」
「どっちが!?」
完全に弄ばれてる・・・
夜に就寝の時も・・・
「シュン、おやすみ♡」
「シューくんおやすみ〜。」
「うん、二人共おやすみ。」
二人は素直に自分の部屋にも戻ったんだけど・・・
「・・・す〜・・・す〜・・・う・・・ん・・・」
「・・・く〜・・・か〜・・・」
隣の部屋から、美嘉の寝息やクォンの若干のいびきが聞こえる・・・
・・・なんでだろう?
旅をしていた時は、最初こそ気になったけど、もう慣れたはずなのに・・・
どうしてこんなに気になるんだよ・・・ううう・・・寝れないよぅ・・・
それが2週間ほど続いているんだ。
おかげで、僕は最近欠伸を噛み殺す事が多くなってる。
・・・慣れるかなぁ・・・
朝起きると、僕の部屋に美嘉の部屋から甘い匂いが流れ込んで充満してるんだよ〜・・・僕には刺激が強すぎる・・・
そんなこんなで、今日を迎えたんだ。
学校に近づくに連れ、生徒が増えてくる。
みんな美嘉と・・・
「・・・お、おい!あんな子居たか?」
「か、かわいい・・・」
クォンを見てるみたい。
ちなみに、クォンの特徴である狐耳と尻尾は、クォンの斥候スキルの一つである、『幻惑』で変えているんだ。
スキルは魔法と違って魔力は必要無いし、クォンの幻惑スキルはレベルMAXだから、効果時間も数日レベルで続く。
問題はまったくないんだよね。
「クォン、注目の的じゃない?」
「え〜?別に嬉しく無いよ〜。アタシが見て欲しいのはシューくんだ〜け♡」
「うひゃえ!?」
な、なんで腕組んで来るの!?
「むっ!!」
「うぺぇっ!?」
美嘉まで!?
なんで!?
「お、おい!?あれ!!」
「あいつ・・・桜咲さんといつも一緒にいるやつだよな!?どんな関係なんだ!?」
み、みんな見てるよ〜・・・恥ずかしい・・・
「あ、あの・・・ふ、二人共離れて・・・」
「い〜や!!」
「だめ〜。」
なんで〜〜〜〜!?
学校に着くと、僕達とクォンは別れる。
クォンは一度、職員室に行かなきゃいけないからね。
「は〜・・・なんであんな事・・・」
「まぁまぁ。良いじゃない。それより、教室に行きましょう?」
すっごくいい笑顔の美嘉と一緒に教室へ。
入った瞬間・・・一斉に僕に視線が向く。
・・・これはどう考えても、クォンの件だよね・・・
でも、話しかけてくる人はいない。
城島の件以降、僕はアンタッチャブルみたいになっちゃってるから・・・
美嘉には、最初こそ人が殺到していたけれど、
『シュンが苦しんでる時に、傍観していた人と仲良くなる気はないわ。』
と、宣言して以来、同じような状況になっていた。
ひそひそと何か話しているのはわかる。
でも、美嘉はまったく気にしていないようだ。
まぁ、僕もなんだけどね。
「席につけ〜。」
担任の先生が来て、着席を促した。
クラスメイトが着席する。
「今日は、転校生を紹介する。」
・・・まさか・・・
僕は美嘉を見る。
すると、美嘉はこちらを見て、パチリとウィンクした。
・・・やったね?
こんなに連続で転校生がこのクラスに配置されるわけが無い。
多分、魔眼を使ったんだ!
「おはようござま〜す!アタシは
「「「「「「「「「おお〜!!」」」」」」」」」
男子生徒達から怒号が放たれる。
「可愛い!」
「すっげ〜!!」
「マジか〜!!」
ニヤニヤしてるね。
でも多分・・・
「異世は瀬尾の隣で。」
「は〜い!シューくんよろしく〜!!ミカもね!!」
「・・・うん、クォン、よろしくね。」
「クォン、よろしく!」
僕達の気安いやり取りに唖然とするクラスメイト達。
・・・魔眼まで使ってるんなら、こんな事だろうと思った。
まぁ、でも、これでクォンのフォローはばっちりできるね。
周りの男子生徒達は、またしても美少女転校生が僕の知り合いで、仲が良いのを目の辺りにして、どうして良いのかわからなくなってるみたい。
ボソッ「・・・ざまぁないわね。」
美嘉が呟くように言った。
どうやら、美嘉の怒りはまだおさまってないみたいだね。
にしても・・・これでかなり賑やかになるなぁ。
・・・大変だろうけど、なんだか楽しくなってきた。
二人共、ありがとう。
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