第16話 とんでもないことになっていました

 翌日、僕は学校に登校。

 美嘉はと言うと、


「今日は、クォンの手続きや、色々な事をするから、学校休むね。」

「シューくん、いってらっしゃ〜い!!」


 という事で、僕一人で通学です。

 まぁ・・・例の事件以降、僕は腫れ物を扱うようにされているので、当然一人ぼっちなんだけど、これは美嘉が来る前と変わらないから、別に良いんだ。


 別に良いんだけど・・・なんだろう?

 美嘉がいない事が、とても寂しく感じる。

 もしかしたら、僕の心は美嘉が来たことで、少し弱くなっちゃったのかもしれない。


 一日寂しく過ごして、急いで帰宅する。

 ・・・別に、少しでも早く美嘉やクォンに会いたいわけじゃないよ?

 本当だよ?


「ただいま〜・・・」


 家に帰宅し、玄関を開ける。

 ・・・まぁ、誰かいるわけじゃないんだけどね。

 美嘉は隣だと思うし・・・


「おかえりなさい。早かったね。」

「おかえり〜。」


 美嘉とクォンが僕の部屋でくつろいでいた。


「うん、ただいま・・・って、なんでいるの!?あれ!?僕、部屋間違えた!?」


 ここ僕の部屋だよね!?


「ここであってるよ?ボケたの?」

「いやいや、合鍵持ってないよね?あっ!!転移か!!」


 そういえば、美嘉は転移が使えたっけ。

 じゃあ仕方がない・・・


「ん?違うよ?そこから来たの。」

「そこ?」


 僕は美嘉が指を指した方を見る。

 すると、そこには・・・大きな穴が開けられている僕の部屋の壁があった。

 穴の向こうは、小綺麗な感じの内装が見る。

 ああ、なんだ、そこから来たのか、なるほどね・・・


「ってナニコレ!?なんで穴があいてるの!?」

「バカだなぁシューくん。そんなの、切り取ったに決まってるじゃん。」


 決まってるの!?


「いえね?一々大掛かりに転移するのもなんだし、どうせみんなで一緒にいるんだから、行き来しやすい方が良いかな?って思ってね。」

「いやいやいや!そうじゃなくて!!」

「ここ分譲だから良いでしょう?」

「駄目でしょう!?」

「良かれと思ってやったわ。後悔はしていないわね。」

「そうでもなくて!!僕の許可は!?」

「「え!?いる!?」」

「いるよ!!」


 いるに決まってるじゃないか!

 どうするのコレ!?

 これじゃ、プライベートも何も、あったもんじゃない!


「まぁまぁ、シュンもこれで寂しくないでしょ?寝る時寂しかったら、あたしの部屋に来ても良いよ?添い寝してあげる。」

「あ!?ずるいミカ!シューくん!アタシのとこおいで?」

「そうじゃないでしょー!!」


 僕は一頻ひとしきり怒ったけれど、二人には暖簾に腕押し、肩を落とす結果になっちゃったんだ。


「ほらほら、シュン?そんなにムスッとしないの。」

「そうだよシューくん?それとも、アタシ達の事、嫌い?」

「・・・嫌いじゃ、ないけど・・・」


 その言い方はズルいよ・・・嫌いなわけないじゃないか・・・むしろ・・・


「じゃあ良いじゃない。何があっても、あたしもクォンも気にしないよ?ね?」

「う〜・・・わかったよ・・・」


 はぁ・・・ま、いっか・・・

 向こうの部屋の感じを見ると、繋がっているところは、ベッドが2つ置いてあるし、二人が寝室代わりに使うみたいだ。

 ・・・極力、向こうを見ないようにしよう。

 っていうか・・・僕、寝れるかなぁ・・・緊張しちゃう・・・おかしいなぁ、旅をしていた頃は、普通に雑魚寝していた筈なのにね。

 寝る部屋が繋がってるだけなのに・・・


「そうそう、クォンの手続きしてきたよ?多分、一週間後位には、学校に通う算段がつきそうかな。」


 美嘉が、空気を変えるようにそんな事を言った。

 

「そっか。じゃあ、常識や知識の面は、昨日クリアしたって事だね?」

「そういう事。」

「ありがとう美嘉。」

「どういたしまして。」


 どうやったんだろう・・・でも、美嘉だから、抜かりは無さそうだね。


「一応、戸籍上、クォンの名前は、異世いぜ 久遠くおんになったから。覚えておいてね?」

「異世・・・異世界って事?」

「ええ、すぐに思いつかなくてね。ひねりはないけど良いでしょ?」

「クォンはそれで良いの?」

「ん?別に良いよ?なんでもさ。元々、名字なんて無いし。」


 異世久遠か・・・

 忘れないようにしなきゃね。


「さて、それじゃちょっと打ち合わせしようよ?良い?まず、クォンは、あたしの親が後継人になっているから、親に協力して貰って、あたし達の高校への入学手続きをして貰ったわ。編入試験は、あたしの知識があれば多分大丈夫。」

「うん。それで?」

「これで、住所はあたしと同一でも問題ないよね?で、それからは、3人で生活します。」

「・・・ん?ちょっと待って?3人?」

「ええ、あたしとクォンとシュンの3人。」

「・・・まぁ、良いよ。今も、美嘉と一緒に暮らしてるようなものだし。」

「終わり。」

「はやっ!!」


 ・・・これ、打合わせっていうか、すり合わせだよね?


「なんにせよ、学校に行くまでは、クォンはテレビや本を見て、知識を深めて置いて。で、それまでは極力外を出歩かないこと。慣れるまでは、あたしかシュンが一緒に外出するから。」

「は〜い。」


 まぁ、その方が無難だろうなぁ・・・

 向こうとは、何もかもが違うからね。


「さて、それじゃ役割分担ね?シュンが朝食を作って、あたしが昼食と夕食を作るね?クォンは教えるから、洗濯とお風呂掃除をお願いするわ。」

「わかった〜。」

「で、宿題なんかは、みんなで協力すれば良いから、シュンの部屋でやりましょ?」


 そうだね。

 クォンにも、色々教えないといけないし。


「で、そうなると、できるだけ一緒に居たほうが良いから、お風呂はシュンの家の物を使いましょう。そうすれば掃除も一箇所で良いし。ご飯も、シュンの家のダイニングを使っても良いよね?」


 ん?・・・なんか引っかかるけど、確かに負担は少ない・・・かな・・・


「・・・良いけど。」

「よし、決まりね。」


 ・・・なんか釈然としないんだけど・・・なんだろう・・・?





side美嘉


 くっくっく。

 これで、シュンの部屋に入り浸れるわね。

 あたしは、クォンと目配せする。

 クォンも、にやりと笑っている。


 実は、これはシュンが帰ってくるまでに、クォンと一緒に考えてたんだよね。

 こうすれば、特に理由なくシュンの部屋に居られるからさ。


 にっしっし!

 

 シュン?

 どうせ、プライベートだとかなんとか考えてたんだろうけど、そうはさせないよ?

 そのうち、お風呂やベッドなんかも一緒にしてやるんだからね!

 覚悟しておきなさい!!

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