01~START POINT IS HERE~カウント開始

キングワルズワー KINGWORDSWOR     キングワルズワー KINGWORDSWOR

01 ワルズタイムカウント開始

Part1

[ジュウ!キュウ!!ハチ!!!!ナナ!!!!ロク!!!!ゴオ!!!!ヨン!!!!サン!!!!ニイイイ...イチ!!!!]

大きなカウントダウンと共に全世界の時間がリセットされた。

十年、正確には十年と3年。

今回の争いは3年も続いた。

感謝したい、俺の国は優しいキングが引き継いでくれた。あのヒゲぼうぼうのキングと自分の為に沢山の金を用意しろと言ってた豪邸のクイーンじゃなくて良かったよ。

俺の名前はジャーマン、大砂漠の辺境の町サハランドでバーを営んでいる者だ。まあ、バーと言っても一人営業の小せえ店みたいなもんだが。

“わあ、スッッゲエ!!”

子供の歓声、周囲の大人の叫び声に駄々騒ぎの店舗内を見てヤレヤレと首を振る。

最近俺のバーはいつも賑やかだ。特にリセットの前後一ヶ月、本当に毎日が疲れる。朝っぱちから客のドンドン足に起こされるし夜は騒ぎ過ぎて寝りゃしない。

俺達市民にとったら正直ワルズはあまり変わらない。よっぽどなイカレ野郎が来ない限り俺らのような人間にとったら変わらない世の中だ、何せ奪われるもんがねえからな。まあ、富裕層や王家はちょっと面倒っぽいが正直俺にとったら遠見の世界だ。

“さあさあ去った去った、この一ヶ月間どれだけ働いたと思ってるんだ。家族で騒ぐなら家の方が良いだろう。めんどくせえ。”

“ハッハッハ!やはり個々のバーの旦那はしっかりしてるわい!世界が変わったって言うのにこんなにも肝が座ってるなんてな!”

“肝が座ってるなんの、王家の問題をイチイチ心配するお前らの方がおかしいんだよ。俺らは一般人,あんなんどんな王が来ようが対して変わらネエーんだよ。”

“ヘイヘイったく夢見の無い奴だな、これだから彼女居ねえんだよ。”

“ッッセエ!欲しくないんじゃなくて必要ねえんだよ!”

“アッハハハ!…ヒイ!喜び過ぎて財布忘れっちまった!”

“エエよ、前のキングワのはもう要らねえし。”

“イヤ~済まねえ。又来るぜ!”

“アア。じゃ、閉店だな今日は。”

彼は老客の一人、飲んだくれ親爺のカルベだ。まあ噂じゃガキの頃からカルベ飲んでたからカルベだとか。まっ、俺にとったらんなんどうでも良いが。時折面白い話をしてくれるから時々は無料の一杯二杯くらい奢っても悪くねえなくらいだ。

彼はいつも最後の客だ。

閉店すると周りはあっという間に真っ暗だ。

灯火の光と、砂漠の星が無きゃ近くの家にも戻れねえ、流石は砂漠の辺境って奴だ。

“ワルズタイム更新か。”

キャンドルを片手に、分厚い野ヤギのコートを着て砂漠の砂へ足を踏み入れる。

キャンドルの光は精々足元を照らす程度だが、サソリとヘビ避けには十分だ。ったく、アイツ等平気で人の陣地に入って来やがるんだから注意しねえとヤベんだ、夜になったら見えやしねえ。

“さみいな、一人じゃ。”

砂漠の夜はとても寒い。ボロボロの家(バー)ではあるが、防寒設備と断熱設備は整っている。

しかし一日も放っておきゃ、温かい部屋でもキンキンに冷えてしまう。こんなに暑い日々なのに夜には氷点下じゃねーか。

“アレ、着かねえな。”

暖炉を付けようと火打ち石を叩くも、思った以上に困難だ。何せ昨日は湿り夜だ。朝の霧と部屋の湿気で薪が腐っちまった。

“アア、シンド!めんどくさ!”

ガラガラ…ガッシャン!

愚痴りながらでも、薪を灰と一緒に外へ出す。今夜中に火を付けないと明日が困る。

“アルコールでも掛けねえと、コリャ難しいぞ。”

あっちこっち引火物を探し、最後には度数の一番高い酒を少々ボロ雑巾に掛けてようやく火を作った。

“ハア〜安心するぜ。これで寒さで死ぬ事ねえなハッハッハ。”

笑った。そして残った酒と貯蔵庫に有ったスペアリブを飲んだ。まあ、此処は酒がメインだし、飲むのに越した事無いだろう、年なんか関係ない。考えるだけで面倒臭い。寒い夜は温まれりゃ良いんだよ。

“…ン?”

何故だろう。暗くなったせいなのか火が又小さくなっちまったように感じる。だが部屋は十分に暖まった、少なくとも明日の朝までは持つだろう。

暗くなるに連れ酒の酔が来た。酒は苦い。まだ少年であるこの体で味わうのはあんまり好きじゃないんだが、良い催眠剤なのは確かだ。それに、夢を見なくて済む。夢は嫌いだ。

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