4話 カレンと初登校


side カレン


 桜川真の顔が映った鏡を見ながら、今日もカレン・グランチェスカは顔を紅く染める。


「はぁ……マコ様♡大好きです♡」


 カレンの唇が鏡に映った真とキスをする。


 カレンの想い人、桜川真の体は、今はカレンの体なのでやっていることと言えば問題無いのだ。


『カレン?そろそろ学校に行く時間なのだけど?』


 現在は、桜川真のスキル『憑依』によってカレンと同調しているので、金髪碧眼美少女ロリ巨乳の姿は見えない。


「さぁ!行きますよ!その前にトイレです」


 カレンは一人トイレに入り、ズボンを下げる。


「おかしいです!これではおしっこが出来ません!マコ様助けてください!」


『掴んで下げるのよ?』


「つ……掴んで?下がりません!痛いです!」


『世話が焼けるわね。前屈みになるのよ。全く朝からナニ興奮してるのよ』


「うぅ……痛いけど……出来ました!」


 ふぅぅーー気持ちいいです。



◇◇


 今日はマコ様と初登校の日。


 マコ様から注意事項は聞いている。


 私の名前は桜川真さくらがわまこ


 そう、私はマコ様を演じなくてはならないんです。


 家から出ると、見知らぬ女の子から挨拶されました。


「おはよう!真。今日からまた学校だね!」


 は?貴方、マコ様の何ですか?


 早くも敵発見です。


『カレン!その子は、私の幼馴染の藍沢佳奈よ』


「佳奈ちゃんですか?」


「そうよ?どうしたの?今日の真、何か変じゃない?」


「全然ヘンじゃないですよ?」


 いきなり、ぽっと出の赤髪ポニテっ子にバレそうですね。ヤバいですよ。


「いつもなら佳奈って呼び捨てで呼んでくれるのに、それによそよそしい話し方、なんか大人びた感じが素敵なんだけど? でも、昔みたいに佳奈ちゃんて呼ばれるのも良いかも♡ ポッ♡」


 え!?まさかの逆効果!?ですはやめるですか?


「えへへ〜真〜また同じクラスになれると良いね♡」


 なんて答えれば?プリーズマコ様!


『そうだね。クラス分けなんて無ければ良いのにねって感じでどうかしら?』


「そうだね、クラスなんて無ければいいのですよ」


「え!?」


 この女もマコ様狙いなのは見え見えです。学校に行くのが憂鬱になりました。


 学校に着いたら昇降口に張り紙が貼ってありました。あれがクラス分けの発表のようですね。


「えっと私は……」

「あった!真と同じ2ーAだよ!やった♡」


 マコ様のクラスは幼馴染の佳奈ちゃんと同じになってしまいました。何か悔しいです。


 2ーAのクラスに入ると、今度は馴れ馴れしい男が声を掛けて来ました。


「桜川おはよっす!」

「おはようです?」


「うひゃー!今日の桜川、可愛くね?ですとか言っちゃってやべーよ?マジ食って良い?」


「ダメです!」


 誰ですか?この脂っこい男は!?


 目線が気持ち悪いです!


『友達?の東山三郎よ。趣味は筋トレでホモだから気を付けてね』


 いやコレ、絶対マコ様狙われてますよ?


「ちょっと、桜川君を虐めるのはやめなさい。嫌がってるじゃないか」


 ほぉぉぉ!救世主登場です!!


「委員長。虐めて無いし!誘ってんだよ!?女にゃ興味ねーし!」


『確か……委員長の名前は結城遥ゆうきはるかよく話しかけてくれる子よ』


「遥ちゃん!ありがとう」


 うるうる。


「え?遥ちゃんっていつもは委員長なのに……名前呼びってことは、そうなんだね?」


「え?どう言うことですか?」


「ファーストは、夕陽の見える丘がいい。覚えてくれると嬉しい」


「え?え?何のファースト?」


 またメスが増えましたよ!? マコ様モテすぎです! 何なんですかこのクラスは!?


 委員長の遥ちゃんは、舞台女優?といか男らしい美少女って感じです。腰の上まである長い黒髪が素敵ですね。


 対照的に、赤い髪のポニーテールを横に流した佳奈ちゃんは、可愛い系の美少女?マコの周りは美少女多くないですか?



「はーい!席について〜!」


「このクラスの担任の清川怜です。1年で同じだった子もいると思うけど、今年もよろしくね!」


 私の席は、廊下側後ろから2番目。


 隣には幼馴染の佳奈ちゃん。


 後ろには委員長……遥ちゃん。


 脂っこいやつの近くじゃなくて良かったです。


 ホームルームも終わり、初めての学校も難なく終わりました。

 

 これもマコ様のサポートのおかげです。愛してます♡


『私も愛してるわよ。さて、ここまでね。帰りは一緒に帰りましょう?』


「はい!」



◇◇



side 桜川真



 無事、学校1日目を乗り切った私はスキルを解除してカレンと一緒に下校することにした。


「こっちの世界の学校は、どうだったかしら?」


「貴族?と言うのがいないのでギスギスした感じはしませんでした」


「そう、カレンは貴族だったわね」


「向こうは貴族階級のしがらみがあってクラスも階級毎でしたね」


「私は公爵家だったので一番上のクラスでしたが、王家とか侯爵家の三男だか四男はウザかったですね」


「こっちの国は国民に平等の権利が認められているから学校でも過ごしやすいと思うわ。虐めだけは、どこ行ってもあるけど」


「それに、お金さえあれば貴族みたいに贅沢することも可能よ?」


「それは別にいいンですよ。マコ様?」


「何ですか?遥ちゃんとか、佳奈ちゃんとか?モテモテじゃないですか?」


「えぇ……それはこっちのセリフなんだけど?」


「モテているのは、私じゃなくてカレンあなたなのよ?浮気したら許さないんだから。悲しくて契約切れちゃうかも……」


「しない!しないよ?絶対!しないから!マコ様一筋だから!帰っちゃ嫌です!!」


「本当かしら?」


「なら、約束して?浮気しないって」


「浮気はしません!約束です!」


「カレンはいい子ね」



 流石に、まさかその絶対の約束が、直ぐに破られることになろうとは思っても見ないカレンであった。


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