爽彩さんは、どこへ消えたのか
Hさん宛てのLINE
《既読つけてくれてありがとう》(17時34分)
2月13日の夕方5時頃、お母様が家を出る。
17;26~34にかけて、Hさんにラインで、遺書めいたメッセージを送る。その直後に爽彩さんは家を出たものと思われる。
そもそも何故、爽彩さんは、その時点で家を出たのであろうか。
財布は家に置いている。改札でICカードやスマホを使えないのは、先に書いた通り。回数券の類を持っていたという証言もない。交通機関を利用するつもりなら、財布を持ち出すであろう。本気で自殺を考えるなら、電車やバスで遠くに行くことも考えるに違いない。しかし、恐らくそうはしなかった。もし本気であれば、計画的に見つからないように実行するはずである。お母様に遺書を遺さないのも考えにくい。
自殺企図の場合、衝動的に行動にする場合が多々ある。そうしてリストカットや服薬を繰り返すのである。爽彩さんも、自殺についてそこまで深く考えていなかったのではないか。
当てもなく家を出た。
目的地があった。
誰かと会うつもりだった。
いずれにせよ、遠くに行くつもりはなかったのであろう。
上着を着ていなかったのも、そのためではないだろうか。
子供は大人より代謝が活発で、多少は寒さに強い(とは言え氷点下だが)。半ば衝動的に家を出た。或いは誰かに会って、すぐに帰宅するつもりだったのかもしれない。
スマートフォンの電源は切られていたという。
ラインの最後のメッセージが17:34である。その後に、いつ、どこで電源を切ったのか正確にわかれば、行動の詳細も、もう少しわかるであろう。待ち合わせなら、通信記録も残っているはずだ。
スマートフォンが壊れていなければ、既にお母様も見ているであろう。爽彩さんの行動も、ある程度は把握されているのかもしれない。
もしスマートフォンが壊れている場合に、データの復元、情報請求などは可能だろうか。或いはSIMカードだけ移してクローンを作成出来ないのか。各種データが本体にあるのか、サーバーにあるのか、この辺はちょっとわかりません。
グーグルのアカウントが残っていれば、PCからでもアクセス出来る。確認した方がいいのではないだろうか。
車に乗ったとの説も根強い。しかし、車で遠くに行くような状況であれば、逆に上着をきちんと着るような気がする。もし相手が加害者で、何処に行くかもわからなければ、警戒心もあるだろうから尚更である。警戒していない人物で、目的地がはっきりしているのであれば、被害者に近しい人物ということになる。
目的地があくまで徒歩圏内であれば、半径1キロ~2キロといったところであろう。
自宅の位置がわからないが、永山南中学校の通学範囲辺りということになる。
自殺企図なら、川に向かったかもしれない。誰かに会うなら住宅地の中であろう。
18時頃には警察に一報が入り、お母様が帰宅されている。
お母様が鍵を開けているので、当然、家に鍵をかけて持っていったのであろう。遺品の中に鍵はあったのだろうか。
そこから捜索が始まった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます