雪に関する謎
近親者
『警察の方がスコップで掘り起こす必要もありませんから』
『3日後に旭川には大雪が降りました。猛吹雪で膝くらいまで雪が積もり』
爽彩さんの死因に関しては、死体検案書通りに、不慮の凍死であった可能性が高い。
しかしながら、永山中央公園で亡くなったとするには疑問が残る。
眠り込んで亡くなったとしても、遺体がベンチなどではなく、何もない地面の雪の中に埋まっていたとすれば、雪の上に座っていたことになる。歩いていて、突然意識を消失したとも考えにくい。
先日、永山中央公園を見てきたが、とてもじゃないが、遺体を隠せるような状況ではなかった。
その時は碌に見なかったが、南側の水場、或いはその付近のトイレの近くでも、やはり同様であろう。
雪が最低でも数十センチ積もった状態で、その下に潜り込み、その上から雪で隠される。
或いは、地面に倒れた状態で、雪が数十センチ降り積もって見えなくなる。
こうした状況でなければ、失踪直後に公園で亡くなって、発見されないとは考えにくい。
ネットの天気サイトによると、旭川では2021年2月13日~14日は曇りか晴れで、降雪の記録はないようだ。15日以降は、ほぼ毎日雪マークが付いている。
『tenki.jp』の旭川のアメダスによると、2月13日の積雪深が67センチとあり、その後、増加して、3月に入ると100センチを越える。その辺りをピークにして、再び減少に転じる。遺体が発見された3月23日には、50センチまで減っている。
そういう訳で、グラフを作成してみた。
データの時間は7:00のものである。
まず気になるのは、2月17日~19日に20センチ近くの積雪があることである。
そして、3月1日~3日にかけて30センチ以上の積雪がある。
それ以降は、遺体が発見された3月23日まで減少に転じている。
失踪した2月13日~16日は、ほとんど雪が積もっていない。
近親者が証言する『3日後』というのが正確に何日か不明だが、恐らく17日前後なのであろう。
勿論、観測地点の公式データと、実際の積雪深が同じということはない。
それに、公園と一口に言っても、場所によって状況は異なる。平らな地面と、斜面とでは積雪や崩落、融雪の状況も異なる。日陰と日向では、数十センチ差でも状況が変わってしまう。
あくまで目安程度に推測すると、以下のようになるかと思う。
まず、失踪した2月13日夜に、公園で亡くなったとは考えにくい。
同様に、遺体が発見された3月23日の直前に、遺体が遺棄されたとも考えにくい。
遺体は完全に雪に埋まっていたとの証言がある。
グラフの積雪深から判断すると、2月17日~19日、或いは、3月1日~3日の、いずれかの深夜に、公園に運び込まれたものではないだろうか。
小山にしても、水場にしても、北側、或いは南側の入り口に近い位置にある。
天気予報で降雪を見込んで、深夜に車で公園に乗り付けて、遺棄したと考えるのが妥当であろう。
但し、雪をスコップで掘って遺体を遺棄したのであれば、この限りではない。
しかし、公園という近所で目につきやすい場所に遺棄したことを考えると、そこまでやるとも思えない。そこまで策を弄するなら、永山中央公園でなくとも、他の場所を選ぶのではないだろうか。
では何故、住宅街の中にある永山中央公園に、そして誰が遺体を遺棄したのであろうか。
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