よかった。生きてる。

 爆発で生き残ったんだから、同じようにまた窓から勢いよく飛び降りれば助かると思った。


 どうやら助かったみたい。


 身体も大丈夫。


 そっか。

 ここ。

 公園の砂場だ。


 クッションになってくれるんだ。ちょうど。


 しにたいと言っていた、彼は。生きている。

 わたしがしんだと思って、なんかめっちゃ焦ってる。


 生きてるよ。

 安心して動けないだけ。

 ほら。

 目を見て、目を。目動いてるでしょ。気付いてよ。


 だめかあ。


 そっか。


 わかった。


 わかったかもしれない。

 いま。


「しんだら、いやだった?」


「ララーニアっ」


「わたし。生きてるよ。あなたがしにたくても。しにたくて、どうしようもなくなっても。わたし。わたしは生きてるから」


 これでよかった。

 これでいいんだ。

 彼が、しにたいと思っても。わたしが生きてさえいればいい。

 わたしが、生きて。あなたの側に、いれば。


「つらかったね。しにたかったね。もう大丈夫。わたしが、生きてあげる。わたしが、一緒にいてあげる。わたしが」


 あなたの、しの代わりになってあげる。わたしが、しにたいという気持ちの、代わりに。


 あれ。


 また喋れなくなっちゃった。


 でもほら。生きてるから。ほら。ほっぺたぺちぺち。


 あっ。


 ちょっと待ってね。


「え。おい。ここで?」


「たこやき」


 うわあ。

 さっきビルから落ちた衝撃で、ぺったんこになっちゃった。たこだけ生きてる。


「たこいきてる。たこ」


「わかったわかった。食べるから。食べる食べる」

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