第13話
「やめたよ、俺」
「あの景色が見れなくなるのは、ちょっと惜しかったけど」
「祈ってる、だっけか。自分では、今でも、そう思ってないけど」
「でも、あの景色を見なくても、生きていけるかもしれないとは、思えた。ありがとう」
「彼女とも、縁を切った」
「どうやら、浮気してたらしくて。その露見がこわくて、ララーニアと仲良くしていた俺に、しっとしていたらしい。ばかだな」
「彼女に、とっても。俺は、重荷だった」
手を引かれるまま。
とぼとぼ歩きながら。
涙が。
「俺が、しぬべきだった」
少しずつ、涙が。
「施設の人間は、やさしかった」
とぼとぼと。
「俺は見たこともないし覚えてもいないけど、たぶん、俺の産みの親も。やさしかったんだと、思う」
歩いていく。
「俺は、いらなかったんだ。施設の人間が死んで、たぶん産みの親とかも死んで。それでも俺が生きてるのは、つじつまが、合わないよな。誰も幸せにならない」
どこへ。
「俺が、しんでいれば。なんで、俺だけが」
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