誰かの悪夢
森 椋鳥
第1話
この世はひかり輝いている。
見上げる空は常に美しく、人生はとても有意義で満足の行くものだ。
爽やかな朝の青空を見ながらそう思った。
俺、
つい先月誕生日を迎えたため三十五歳になり、次の大きなプロジェクトに関わらせてもらうことになった。
順調に出世街道を歩んでいる真っ最中だ。
友人たちとも定期的に連絡をとっており、お酒を飲んで笑いあったり遊びに行ったりもする、そして今月末には今付き合ってる彼女に結婚を申し込む予定だ。
俺の人生で嫌だと思うことはなかった。
そりゃもちろん仕事とか嫌だと思うことはあったけれども大きな事件もなく、平和な人生だ。
順風満帆とはこのことをいうのだろう。
あぁ、俺は恵まれた人生を歩んでいるんだ。
そんな平和で素晴らしい日々を送っている時に、それは起きた。
その日は出し忘れていたハガキをちゃんと郵便ポストへ入れ、大事なプロジェクトの準備も終わり、明日も頑張れるようにといつもよりも早めに夢の世界へ入った。
「ふざけるな」
声が聞こえた。
ビクッと肩を動かし、咄嗟に顔を上げる。
人がいた。
男か女かもわからない、ただ人影だけが見える。
誰だ、知らない、わからない。
ハッハッと呼吸がしづらくなってきた。
ふと自分の手を見ると、今よりも小さく若々しい。
その手で、胸元の服を掴んでなんとか気持ちを落ちつけようとする。
なんだ、なにが起きているんだ。
よく見れば相手はどうやら階段の上におり、俺をただ見ていた。
なぜか目だけがはっきりと見える。
その目から伺えるのは憎悪、憎しみ、怒り、そんな負の感情だ。
なぜそんな目で俺を見てくるのか、検討もつかない。
怖い。今はその感情で頭がいっぱいだった。
バッと体を起き上がらせた。
息が荒く、なんとか呼吸を整えた。
一瞬現実だと錯覚したが、見渡すとそこは見慣れた自分の寝室だった。
あれは、夢か。
ホッとしたが、まだ心臓がバクバクと脈打っている。
今まで経験したことない出来事だったため、少しパニックになりそうだった。
全身が汗でベタベタして気持ち悪い。
「あれは夢だ、あれは、夢だから……」
脳裏からあの目が離れない……。
なんであんな夢を見たんだ。
ストレスでも知らないうちに溜め込んでいたのか?
気持ちを落ち着かせるために何か飲み物を飲んでからもう一度寝よう。
そう思い、俺はベッドから布団から出て台所へ向かった。
だが、その日もう一度その夢を見てしまった俺は眠ることができず起き続けることとなった。
そして俺は、この夢を毎晩見るようになった。
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