異世界転移主人公の謎
@kurage_peppermint
第1話 異世界人であることを隠す必要性
異世界転移モノの小説が流行っている。
それはいい。私もよく読む。
ここではない異世界。
それだけで、どのような世界なのか、ワクワクする。
だが、そこに登場する主人公の思考があまりにも現実離れしていると、どうしても気になってしまうのだ。
まず、異世界の現地人の思考が、地球の現代日本人の思考とかけ離れていても、それは問題ない。むしろ、中世ヨーロッパ風の異世界で、魔物やモンスターがいる戦闘が日常と言える環境において、地球の現代日本人と同じ価値観の現地人がいたら、その現地人は異端であり、その他の現地人からして見れば頭おかしいとしか言い様がない。
中世レベルの文明において、異端=迫害である。
当然である。
戦闘が日常的な環境において、自己の命に対する危機意識は高く、相対的に他者の命は安い。
スラムのチンピラや盗賊は相互理解ができるが、異端とは相互理解ができない。
理解ができないモノは、それだけで恐怖である。
スラムに近付かない、裏路地に入らない等の、治安の悪い場所を避けることで、スラムのチンピラや盗賊は避けることができる。
また、遭遇しても金銭目的の命の危機であり、それは理解できる恐怖だ。
だが、異端は理解できない恐怖である。
目的が理解できない=何をされるかわからないからだ。
魔女狩りのように当然迫害されるであろうし、排除されるだろう。地域社会からの追放なんて逆恨みの危険性の残る方法ではなく、処刑推奨である。
故に、異世界転移モノの主人公は、異世界人であることを隠して生きていく必要がある。
チートがあるから異世界人であることを隠すのではなく、異世界人であるというだけで隠す必要があるのだ。
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