ロリコンと呼ばれた僕が女子小学生と出会った話

高山しゅん

第0話 広野星行

「ホッシーさあ、小さい女の子ばっか目で追いかけてない?」


 あれはもう十年近くも前になる。

 原宿だか代々木だかを二人で歩いている時、友は突然そんなことを言い出した。


「は? そんなこと……」


 咄嗟とっさに僕は否定しようとした。

 けれど冷静にその日の自分の行動を振り返ってみると、まったく友の言う通りだということに気がついてしまった。


「……ある、のかな?」

「あるよ」


 それから友は、鬼の首を取ったように笑ってこう言った。


「ホッシーって、ロリコンだったんだ。どうりで……」


 衝撃だった。

 それまで僕は、自分がロリコンだなんて考えたこともなかったし、他人にそう言われたこともなかった。


「いや、違うって!」


 だから僕は今度こそ、間髪入れずに否定した。


 小さい子供を見ていたのは、単純に可愛いと思ったからだ。

 例えば、フワッフワの真っ白なポメラニアンが散歩していたら、誰だって目で追うだろう。

 それと同じことだ。

 僕はただ純粋に、可愛いものを目に焼き付けたかっただけで。

 そこによこしまな気持ちは一切なかった。

 だから僕は断じてロリコンではない。


 ……そんなことを切々と語ったのだけれど、友はもう僕のことをロリコンと決めつけてしまったらしく、聞く耳を持ってくれなかった。


 あの頃の友よ。

 お前が今の僕を見たら、なんて言うだろう。


 そしてあの頃の僕は……今の僕を見て何を思うだろう。


 あれからおよそ十年が経った。


 今、僕は見知らぬ女子小学生と一緒に暮らしている。

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