第12話
「なるほど……、同行者がいたのか……。明かりを照らすものを持っていないことに気付き、そこからすぐにそのような結論にたどり着くなんて……、驚きました。つまり、グリフは自殺でも事故でもなく、他殺の可能性が高いわけですね?」
「ええ、そうです。私がこの駐屯所に初めて来た時の話、これで少しは信じてもらえますか?」
「ああ、遺産を奪い合っているという、あの馬鹿げた話ですか。確かに今なら、その話も信じることができます。状況が、それを指し示している。まずは、あの家の者をマークして、動きを探ってみます」
「ええ、お願いします」
憲兵たちは、忙しく動き始めた。
対照的に、私は暇になった。
とりあえず、シェリーちゃんとゴードン君に挟まれて、しばらくモフモフ天国を満喫しようかな……。
*
(※ダリル視点)
アネットは首を吊ったように見せかけ、彼女の筆跡をまねて遺書を書いておいた。
これで、完璧だ。
遺産を受け取るのは、私とお父様とお母様の三人。
あとは、スージーを亡き者にすればいいだけだ。
しかしここで、想定外のことが起きた。
なんと、スージーがいるのは、憲兵の駐屯所の中にある牢屋の中だということが判明した。
どうして彼女が、そんなところにいるんだ……。
まさか、狙われることを想定して、あえてそこに身を置いたのか?
確かに牢屋の中なら、命を狙うことは難しい。
しかし、難しいというだけで、不可能というわけではない。
私はどうすればスージーを亡き者にできるのか、考えた。
そして、ある結論に至った。
憲兵の駐屯所に放火しよう。
これなら、彼女の命を奪うことができる。
私はさっそく、行動に移した。
夜になってから駐屯所へ向かい、持ってきたバッグの中を確かめた。
中には、用意した火炎瓶がある。
私は、その火炎瓶を駐屯所の中に放り込もうとした。
しかし、急に激しい衝撃に襲われ、私は地面に倒れた。
何者かに、後頭部を殴られた。
いったい、誰がこんなこと……。
私は意識を失いそうになっていたが、何とか振り向き、私を襲った人物の顔を確認した。
私を襲ったその人物は──。
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