それはイジメではありません

千夜すう

私はイジメが嫌いだ(姉)

イジメが好きと思う人間は少ないのだろう...。

本当に、イジメを好きと思える人間は頭がおかしい人で、真に頭の弱い人だと思われる。

私はの言葉が嫌いだ。


大切な妹がイジメられて、自殺を企てた。

幸いな事に、自殺は達成されずに未遂で終わった。


今日、ノックせずに部屋に入ったら、妹は家の包丁を自分のお腹に突きつけようとしていた。お互いに驚いて放心した後に、妹は直ぐ我に返って私に何度も泣きながら、ごめんなさい繰り返し叫んでいた。

私はすぐに妹の側まで走って、大事な妹の命が絶えてしたう刃物を睨みつけて、妹の手から奪い取って廊下に放り投げ、妹をキツく抱きしめた。


私に見つかった事によって自殺は未遂となった。


今日は、両親は仕事の都合で一泊の出張があった。私は友達の家に泊まる予定であったが、友達の都合でお泊まり会は中止となった。


あの忌々しい包丁が可愛い妹のお腹までに達していたら、誰も居ない家の中でやってしまえば、妹はこの世から居なくなってしまう。そんな未来があったかもしれないと思うと背筋が凍る。


妹は朝まで、普段と何も変わらずで、様子がおかしいとも違和感を覚える事もなかった。私が知らない所で妹が苦しんでいる事に気づけなくて、情けなくて悔しい。


妹に、何故こんなことをしたのか聞いてみれば、1ヶ月前からクラスの全員にいじめられていた。どんなに考えても明確な理由が分からず、突然に無視をされ始めたらしい。

次は、物を取られる様になり両親から貰った。私とのお揃いのお守り袋も取られたと聞く。

家族に心配かけないように、毎月貰うお小遣いを貯金して、そこから買い直していた。

妹が使う下駄箱や机に手紙を置かれて、内容は「淫乱」「男好き」「死ね」「なんで生きてるの?お前がこの世で生まれたのが最大の罪だ」など、見るに堪えない様な内容だった。

二週間前からはら洋服で見れない所で暴力も振るわれ始めてエスカレートしてしまった。

妹は、物を取られる様な段階で担任の先生に相談したが、気のせいだと言われただけで何も対応をしてくれなかった。私、この話を聞いた時、妹の担任に対して腸煮え繰り返る程に怒りを覚えた。


自分が何かをしたのだろうか?


なぜ、こんな目に合わないといけないのか?


嘆き、叫んだ。


元々、死ぬつもりは無かったらしいと聞く。ただ、辛くなって、楽になろうとして、衝動的だったと、妹は自分が命を軽んじた事に対して、反省して私に心配をさせてしまった事に対して謝罪をして、二度とこんな怖い事しないと言った。


抱きしめながら、妹の事情を聞いて、妹が生きてて本当に良かったと安堵する。そして、こんな事をさせた妹のクラスメートと担任の先生を怨み、気づかなかった自分にも怒りが込み上げてくる。



その後、私までも泣いて、妹もまた泣いてと大変だったが、落ち着いた時に両親に電話をした。両親は、出張先から、今から帰ると言っていたが、妹がお姉ちゃんと居るから大丈夫と言って、今まで言わなくてごめんなさい。心配かけてごめんなさい。明日、詳しい事情を話しますと言って、両親を説得した。

両親からは、妹の事を頼むと言って、詳しい事は明日話し合いをしようと言って、電話を切った。



その日、妹と一緒に私の部屋で私のベッドで寝た。

1人で寝させる事は怖くて仕方ない。1人になった瞬間に、自殺をしてしまったら...いくら、もう二度としないと言っても信用出来ない。妹自身も、1人で寝るのが嫌だと言っていたから一緒に寝る事になった。

お互いに成長してからは、一緒に寝るって事が無くなったから、懐かしいと思いながら抱きしめて温もりを分かち合いながら眠った。


翌朝、今までに見たことの無い険しい顔した両親が帰ってきた。

会って直ぐに、妹を抱きしめて、気づけなくてごめんねと泣きながら言った。

その次に、お姉ちゃん、妹を守ってくれてありがとうと感謝され、四人で抱きしめあっていた。


話し合いを繰り返して、今後の方針が決まった。転校と引越しは確定。

ただ、妹はこのまま転校するのは嫌だと言った。なぜ、自分がいじめられる理由が分からなくて気持ち悪いと言っていた。

話し合いを重ねて、お互いに妥協して、後、二週間は通う事に決まった。

妹はイジメられた理由を聞き、それが身勝手な理由だったら復讐すると言った。


実は、妹は物凄くプライドが高く、曲がった事が大嫌いな性格だった。プライドが高いが、自分が悪い事は直ぐに謝れる性格でそれが妹の美徳だと思う。これは、妹に限らずに家族全員に言えることだった。

プライドは自分の信念や努力を全うした誇りがあるものと認識している。自分が悪いのに謝らない信念はないし、誇れない物だ。


だからって、自殺をしようもする位に追い詰められた妹を学校に通わせたくなかったが...本当に妥協だ。


翌日、妹はクラスメートに聞いた。


何で、イジメるの?


答えは身勝手な物だった。クラスメートの一人の女生徒が、幼馴染の先輩が好きらしい。幼馴染だから断れる事は無いだろうと思って告白をしたら、当てが外れて、その幼馴染の先輩は私の妹の事が好きだと言って断ったらしい。

イジメが始まる前日に、妹が家の事情で休んでる時に、振られた女生徒がクラスメートに妹をイジメようと提案をする。


振られた女生徒は、地元で有名な社長令嬢でクラスメートの半数の親は、振られた女生徒の会社に働いていた。

権力を振りかざして無理やり、命令されて、嫌々とやってるかと思えば、そうでは無いらしい。

「勉強のストレスの発散」「平和な日常の暇つぶし」軽いノリでやっていた。



妹は内心、ふざけんなと怒り狂ったらしいが、酷い...とか細い声で言い、涙を流す演技をした。今までの辛い思いと、怒りで涙が難なくと出たと聞いた。


この時、ICレコーダーでイジメの証拠を集めた。


妹は、自身に非があったら、録音した物は、自分がイジメられてもしょうがないと戒めにするつもりだった。

妹に非がない場合は、証拠を集めて、クラスメートを地獄に落とすと言っていた。吹っ切れた妹は、本来の強さを発揮していた。


私と両親は妹の復讐には賛成していた。元々、するつもりだった。だが、妹はそれだけじゃ足りないと言っていた。自分は悪くないと、悲劇のヒロインとヒーローをクラスメートに、やらすつもりが無いと言った。


そして、妹はイジメに耐えて2週間、立派に学校に通い続けた。


妹は、クラスメートに、イジメをやめて欲しいと呼びかけてたが、やめるどころか、悪化させていた。

妹は、「援助交際をする売女」「中絶経験がある」と、学校中に無いこと無いことの噂を流された。

担任の先生や他の先生、教頭先生、校長先生に言ってもダメだった。いじめられるお前が悪いとまで言われたらしい。


地元で有名な会社の娘が言うから、学校の殆どが信じてる。

振った先輩は、妹に失望したと言って、振られた女生徒と付き合い始めた。晴れて(?)の一つのカップルが誕生したのだ。



勿論、妹はレコーダーに記録してるし、暴力の診断もきちんと、とってる。


増えてく怪我に、私と両親は胸を痛めてる。そして、復讐の準備に力が入る。




さぁ、証拠が十分に集まった。

復讐の開始だ。



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