救済
しお部
第1話 本物の傷
殺してくれよ。はやくしてくれよ。いつまで待てばいいんだよ。それが最後の痛みや苦しみなら、
死ぬのは一回ですむんだ。残りはぜんぶ、ふざけてるから。あとはぜんぶ、ふざけて待ってるから。自分のためにだけ、残酷に笑ってるから。
自分自身に疲れたんだ。生身の体、この生物の心に疲れ切った。自分は自分を使い果たした。
私は修羅にもなれない弱々しい畜生でした。
帰り道でどうもババアを
そんなことを呟きながら、コンビニの袋に詰め込んだ弁当やスナック菓子、安物のビールをテーブルに並べた。
ゆうに千本を越える両腕のためらい傷は、下手なタトゥーより美しく説得力があった。それを隠そうともせず
フリーで稼いでいるからケツ持ちはいない。
ただ左手のリストバンドは外さない。その下には「本物の傷」があった。
(つづく)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます