彼女七人物語 ~俺の学園ハーレムは、決して生易しいものではない~
岡ふたば
始まりの4月編
第1話 七股の何が悪い
どうして人は、浮気をするのか。
これは人類史上でも、最も難解な問題の一つかもしれない。
常にいつの時代も浮気や不倫によるスキャンダルは後を絶たず、時には歴史を変える大きな戦乱を巻き起こしたりもする。
特定の相手と既に関係を結んでいるのにも関わらず、さらに他の人と愛を育みたくなるのは何故か。
自分の大切な人を傷つけると分かっていながら、どうしてそんなリスキーな行動を取ってしまうのか。
浮気をする心理とは、一体何なのか。
ただのスケベ心か、あるいはパートナーへの不満によるものか。あるいは日々の生活の刺激のなさからか。
「う~ん。全部違うな」
俺はベッドで横になりながら、『人はなぜ浮気をするのか』という題の本を広げ、唸りながら首を捻った。
はっきり言ってしまおう。
俺は浮気をしている。
だが、ただの浮気ではない。
七人。七人の同級生の女の子と、定義上は男女の関係を結んでいることになる。
つまり、七股だ。
決してイケメンな訳でもないのに、どうしてこんなハーレムにも似た状況に陥ってしまったのかは俺が一番知りたい。
学年に友達はたったの一人しかいないというのに、彼女はその7倍いるのだから、アンバランスにも程がある。
おかげ様で、おれはこの2年間の学生生活で浮気を隠し通すのに必死でまともに充実した学生生活を送ることが出来なかった。
きっとそれが、純愛の女神さまが俺に下した罰なのだろう。
そして明日からの一年間で、自分にさらなる罰が下るのかと思うと、夜も眠れない気持ちになる。
綺麗ごとではなく、元々落ちる評判すらもないのだから自分はどうなってもいい。
だけど七股がバレた時、きっと俺の大切な人たちは大きく傷つくだろう。
自分が招いた種とはいえ、それだけは絶対に阻止しなければならない。
『人はなぜ浮気をするのか』
どうやら俺が欲しかった答えは、その本には載っていなかったようなので自分で考えてみることにする。
数分間考えた後、その答えは一つしか思いつかなかった。
「全員、好きで大切だから」だ。
スケベ心?関係ない。だってまだ学生のうちにそんなふしだらな行為をして、彼女たちに万が一があった場合どうする。その責任は取れないと判断して、俺は未だ童貞を貫いている。
パートナーの不満なんて、あるはずがない。みんながみなそれぞれ懸命に生きており、こんな俺から見れば眩しすぎる存在だ。
日々の刺激なんて、求めちゃいない。俺は友達を一人しか作らないほどに人とのいさかいやトラブルが大嫌いな超平和主義者なのだ。
この高校に入って浮気をするまで、嘘だって一度もついた試しは無かった。ホ、ホントだよ?
そもそも、俺のこの状況を浮気と一言で片づけてもいいのだろうか。
自分が最低なことをしているのは分かっている。負い目も全盛期と比べて体重が5㎏ほど落ちるまでに感じている。
なぜそれを分かっておいて俺には七人の彼女がいるのか。
それは、「彼女たちが俺なんかを求めてくれたから」だ。
俺が彼女たちを想う気持ちに、優劣は無い。
ならば、俺を必要としてくれている彼女たちに平等に手を差し伸べることは果たして間違っているのだろうか。
いや、それは普通に間違ってるか。間違ってるからこそ、俺はこの2年間寿命が縮むような学園生活を送ってきたのではないか。
はあ、今更この状況を嘆いたところで仕方がないのか。
だとすれば俺は、彼女たちのために自分が犯した罪をどれだけ嘘を重ねようとも、隠し通すしかない。
ハーレムだか何だか知らないが、とても俺の今の状況は人に羨まれるものではない。
一人一人を、真剣に愛し大切に想っているからこそ、この七股に罪悪感を感じながらもそれをやめることが出来ないのである。
俺の学園ハーレムは、決して生易しいものではない。
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