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「…ふ〜む、軒下に吸い込まれたかと思えば、か。それはそれは、なんとも不思議な話じゃのう」


「はい〜、そうなんです〜」


 当尼寺『欲捨尼寺よくしゃにじ』の本堂内。御本尊たる阿弥陀久慈如来あみだくじにょらい坐像を横目に、自分と向き合う形で座った、その尼装束の中年美女…すなわち同寺の和尚さんを前に、史都が頷きました。


 ちなみに、ここは史都の頭を保管している、例の増長寺と同じお寺のはずなんですが、先述の通り色合い等が違う上、こちとら尼寺にして名前も異なっています。 


 しかも、この本堂にしても、現代のお寺のようなきらびやかさはありませんし…そうですね。どういった訳か史都は、あの軒下から、過去の同じく場所(いつしか、普通・・のお寺に変わったのでしょう)にタイムスリップしてしまったようですね。


 ええ、当作にあるまじき、ビッグスケール(?)な展開です。


「で、史都とやら…これからどうするつもりじゃ、そなたは」


「はい〜、なにも考えていません〜。というか、考えられません〜」


 でしょうね。いきなりタイムスリップじゃ。


「ならば、ちょうど募集しておった事だし…当面、我が寺にて小間使いでもしてはどうじゃ。僧侶とは違うが…まあ、笑〇で言えば、山〇くんのような立ち位置じゃな」


「はい〜。では、よろしくお願いします〜」

 

 断ったところで、彼女には行く当てがありませんのでね。

 

 ということで史都は、しばらくの間、この欲捨尼寺で働くことになったのです。


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