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「さあ、グレートフル・キジンガー。このスーパーロケットウイングで、大空高く飛び立つのだ。なんちて」
ひとり呟きつつ香山が、辺境伯さんの隣にある別の超合金ロボを左手に。残る右手でもってオレンジ色の翼状を、その背に装着しました。
なるほど。それは、その超合金ロボ用のオプションパーツだった訳ですね。
「う〜ん、素晴らしい。やっぱネットオークションで、高い金を出して落とした甲斐があったな」
背の翼も雄々しき、グレートフルキジンガーとやらを再び棚に。香山ったらニコニコで、それを眺めています。
「でも、いまやキジンガーXも手に入ったとなれば、こっちの方のウイングも欲しくなってくるよな。やっぱ」
いちおー言っておきますと、そのキジンガーXの弟分が、グレートフルキジンガーです。
「と…そういや、このウイングは、キジンガーの方にも付けられるはずだったな。試しにやってみるか」
そこで香山は、いま付けたばかりの翼をグレートフルキジンガーから外すと、今度はそれを辺境伯さんの背に装着させました。
「うん。やっぱりくっついた。これはこれでいいな」
そう言って、いかにも満足げに香山が頷く最中、
ぴろろろろっ…ぴろろろろっ…
窓近くの机の上で、彼の携帯電話が鳴り出しました。
「おっと、はいはい…」
ゆっくりでも急ぐでもなく、香山が机の方へと向かいます。
すると、同じくして辺境伯さんが、なにか辛そうに言い出しました。
「よ、よりにもよって、こんな重い物を付けたまま放置されるとはー…」
「大丈夫ですか〜、おじさま〜」
いかにプラ製とはいえその翼は、辺境伯さんの小さな身には、結構な負担になっているようです。
「う、後ろに倒れそうだー」
と、それを避けるべく、体重を前方にかけたがどうした辺境伯さんは、
「わおー…」
逆に前のめりに。そのままバランスを崩して、棚の下へと落ち始めてしまいました。
ひゅるるるーっ…
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