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帰宅後…
「…以前のよりも、ひと回り小さいが、それでも十分に力があるそうだ〜。明日から、これを持っていきなさい〜」
史都が学校に行っているうちに、父の帝都が仕事(作家です)の合間を縫って、新しいラジカセを買ってきてくれました。
「パパ〜、ありがとさんです〜」
リビング内。父と並んでソファに座った史都が、膝下のローテーブルの上に乗せられた黒いラジカセを、眺めたり触ったりしています。
と、その最中、
がちゃがちゃっ…ぱちんっ…
玄関の鍵を開ける音が。
「お〜、ママか〜…でも、ずいぶんと早いな〜」
「ですね〜」
ふと、顔を見合わせる父娘です。
一方、なにやら黒服姿。まもなく、母の湖都がリビングに入ってきました。
「どうしたね、湖都〜。ずいぶんと帰りが早いようだが〜…」
「なにかあったんですか〜」
湖都を見上げつつ、帝都と史都が問いかけます。
「それが、かくかくしかじかで〜…」
実は、近所で不幸が。それゆえ湖都は、先ほどお通夜に出かけたのですが、彼女曰く、その相手方から門前払いされてしまったのだそうです。
いやま、当然といえば当然かも知れません。なにせ湖都は、常に笑顔ですからね。
「う〜む、このラジカセの件といい、我ら家族は何かと不便だな〜」
「ですね〜」
父の言葉に史都も頷いています。
まあ、3人が3人とも表情が固定されているだけに、やはり場によって向き不向きが出てくるのは、致し方ないことでしょう。
という訳で、この機会に楠一家それぞれの、適材適所(?)を纏めてみました。
【帝都】 【湖都】 【史都】
《結婚式》 可 優 可
《葬儀》 不可 不可 良
《お笑いライブ》 可 優 不可
《お化け屋敷》 不可〜可 不可 良
《感動的な映画》 不可 不可 ?
以上です。
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