9:冒険者登録をしたよ!
ギルマスさんのいる部屋から出て再び受付に向かった私達は、まず私の冒険者登録をする事になった。
「では、こちらが必要事項の入力書類になるのですが、代筆は必要ですか?」
受付のお姉さんにそう言われた私だったけれど、お母さんから読み書きは教わっていたので問題無く書けそうだった。
「お母さんに教えてもらっていたので多分大丈夫だと思います!」
「お母さんに? 珍しいですね!
一般の方だと読み書きが出来ない方も多いのですが⋯⋯」
「えっ、そうなんですか?」
「勿論出来る人もいるので一概には言えませんよ? しっかりしたお母様だったんですね!」
受付のお姉さんにお母さんの事を褒められた。
お母さんは優しくて、物知りで、色々な事を教えてくれたっけ⋯⋯そのお陰で一年も森の中で生きて来れたんだから、お母さんには感謝してもしきれない。
だからこそ、お母さんの事を褒められて私は嬉しかった。
「ありがとうございます!
きっと、お母さんも喜んでると思います⋯⋯」
そう私が言うと、受付のお姉さんは察したのか、私を優しく抱きしめた。
「辛い事があったんですね⋯⋯何か辛い事があったらいつでも相談してくださいね?」
「はいっ、ありがとう⋯⋯ございます⋯⋯」
お母さん達が死んだあの日の事を思い出して、涙が止まらなかった。
でもあの頃の私達と違って、今の私達にあるのは絶望なんかじゃなく、希望だった。
「すいません、落ち着きました⋯⋯」
「良いんですよ、悲しい時は一杯泣いてください」
「ありがとうございます⋯⋯とりあえず、今はこれを書きたいと思います」
そう言って私はペンを取り、必要な事を書き込んでいった。
「⋯⋯はい、大丈夫ですね」
「ランクの説明などは必要ですか?
軽くアルスさん達から話を聞いていると伺っていましたが⋯⋯」
「それは大丈夫です!」
「それではこちら、ギルドカードになります。
無くしたら再発行にお金が必要なので、無くさないように気を付けてくだだいね!」
「はい! ありがとうございます!」
そして私が受け取ったギルドカードにはランクFと書かれていた。
ギルドのランクFから始まり、Aまである。
F、Eランクは初心者の分類でDランクからようやく一人前認定され、Cランクにもなれば中級者、Bランクになれば上級者とかなりの戦力に数えられる。
ただ、アルスさん曰く、素材回収のプロでもランクがAやBになる事もあるようで、基本的にランクが高いから強いと言う訳でも無いのだとか。
信用、能力があって初めてB以上に上がる事が出来るようで、この世界における冒険者の地位が高いのはこのランク制度のお陰だとか。
誰でも受け入れて、ルールさえ守れば仕事をくれる。
F、Eのランクでは見習いのような扱いではあるけれど、生活するには困らないくらいの仕事はある為に、10歳を超えたら冒険者になる孤児は非常に多いのだとか。
但し、命を対価に活動をするので死亡率が非常に高いのが唯一のデメリットとアルスさんが言っていた。
「これは何度も言われたかもしれませんが、受けられる依頼は自分のランクの物のみで、絶対に無茶はしないで下さいね」
「はい! リサを悲しませるわけにもいかないので大丈夫です!」
「それでは、最後にギルドカードにステータスの反映をしたいので、こちらにカードをセットしてから手を乗せてください」
そう言った受付のお姉さんの指示に従ってカードを入れ、手を乗せるとすぐにカードが排出された。
「はい、これがあなたのステータスになります。 ここに書いてある情報を参考にしてパーティを組みたいと言う方もいたりしますので、他の方とパーティを組みたい時などはギルドカードの確認をするようにしてくださいね!」
「わかりました!」
そう返事をしてからカードを再確認すると、カードには私の所持スキルが書かれていた。
【固有スキル】
異世界配信
【取得スキル】
剣術Lv1
-取得済武技
スラッシュ
回復魔法Lv1
-取得済魔法
ファーストエイド
生活魔法
-取得済魔法
クリーン
ライト
クリエイトウォーター
クリエイトファイア
危険察知
存在察知
害意察知
ストレージ(極小)
「えっ、待ってください。
所持スキル多くないですか?」
「⋯⋯やっぱり、そうなんですか?」
「これはかなり多いです⋯⋯これでレベル持ってないんですよね?
これはギルマスにお伝えするべきでしょうか⋯⋯」
少し困惑する受付のお姉さん、ついでに見てしまったアルスさんとエリナさんも絶句していた。
「な、何よこのスキルの量は⋯⋯」
「しかも構成も悪くない。
剣術は持っているだけでも棒であれば戦えるし、選択としても悪くないだろうな。
それにストレージのお陰で移動もしやすいのはかなり大きい」
アルスさんには構成で褒められた私は褒められた事を後で配信で教えてあげようって思っていると⋯⋯
「ところで、この固有スキルって⋯⋯?」
「聞いた事が無いな⋯⋯」
「エリナさん達は持っていないんですか!?」
「いや、持ってるわよ? でも、こんなのは聞いた事は無いわね⋯⋯珍しいと思うわ」
「俺も珍しいと思う」
「まぁ、細かい事は後で聞くとして、とりあえず孤児院へ行きましょうか」
「そうだな、そうしよう」
そしてギルドを出た私達は孤児院へと向かう事にした。
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