お誕生日会


日本でもそうですが、ロサンゼルスの子供たちも誕生日にはお友達を呼んで盛大にお祝いをします。

私も、ロサンゼルスの小学校には小学校5年生の終わりから小学校6年生まで通っており、小学校6年生の際には何度かお友達に招待をされ、また自分のお誕生日パーティも開きました。


自宅を豪華に飾り付けて盛大にお祝いをする子や、お泊まり会(Sleep Over)をひらいたり、何かの施設のパーティルームを貸し切ってゲーム等をして楽しく過ごすなど、様々なパーティがありましたが、私や私の妹は小学校のお友達と、週末に通っている日本人教育のための補習校のお友達を集めてそれぞれ2回ずつお誕生日会を開くのが習慣でした。

(姉は既に中学生だったので、お誕生日会という年でもありませんでした)


私と妹は同じ月に生まれているのですが、私の誕生日の方が若干早いこともあり、まず私の小学校のお友だちのためのお誕生日会を開いたのですが、私や母、手伝いをしてくれる姉も、ロサンゼルスでお誕生日会を開くのは初めての経験だったこともあり、周りの知人に色々リサーチしたうえで、ボーリング場の一角を貸りて、簡単なごちそうやケーキを持ち込むというパーティで、お友達にもとても好評で、皆とても楽しんでくれていました。

ただし、ひとつだけ、「ここのなら華やかでいいよ」と小学校の同級生の親に教えてもらったケーキ屋さんに作ってもらったケーキが…。

皆がごちそうに舌鼓をうち、いざお待ちかねのバースデーケーキの時間。

ケーキを口に入れた瞬間、(なんかおかしいな?)と思います。

皆も同じ気持ちなのか、ケーキ以外の食べ物に比べて食べるスピードが気持ち遅いようです。

しかも特大サイズのケーキを頼んでいるので、全員に配っても、一人一回お代わりをする分は十分にあります。

「お代わりはいかが?」母が聞くと「No thanks (お腹いっぱいだから、大丈夫)」と礼儀正しい答えが全員から。

バースデーケーキのお代わりは普通、参加者が争って食べるものなのに…。


誤解を招かないよう言うと、それらのケーキは美味しいものも多く、現地の子供達にとても人気のケーキ屋さんだったのですが、私たちは何がよくて、何があまり美味しくないのかわからなかったので、全て手探りな状態の中、私の大好きな絵本をクリームでデコレーションした、大きなケーキをオーダーしたのですが、自分たちでオリジナルのデコレーションをしてもらったことが裏目に出たようです。


そんな私の誕生日パーティをたたき台にしたせいか、妹のパーティは、私の時と同じようにボーリング場で、ケーキも美味しいものを注文することができ、妹のお友達もとても楽しんでくれていたようです。


妹はもともと気のいい子供で、小学校にも日本教育のための補習校にもたくさんのお友達がいたのですが、そんな妹のお誕生日会で、今でも申し訳なく思う出来事が一つ。


私はそのころ、子供だと言うのに立ちくらみや頭痛に時々(本当に時々ですが)悩まされていたのですが。

妹が補習校のお友達を呼んで開いたお誕生日会の当日、(日本人向けのスーパーにある、日本人好みのパティサリーで頼んだ)バースデーケーキを私が運んでいた時。


急に、目の前が真っ白になり、体から力が抜けて。


ケーキが入った箱を、斜めに傾けてしまい。


ぐしゃり、という音が。


これは悪夢か、と思いながら、いやまさか、と現実逃避をしつつ、おそるおそる箱を開けると。


きれいだったケーキが、見るも無残な形に。

その時の私の顔は、比喩ではなく本当に真っ青だったそうです。


妹が慌てて

「いいよいいよ、このままでもおいしいよ、食べようよ!」と言ってくれました。


気まずそうに見守っていた妹の友達も、何事もなかったように「おいしー」「あたしの時もここのケーキにしよう!」などとその場を和ませてくれます。


もちろん、妹や皆には平謝りをしたのですが、妹が温厚で、周りのお友達も、私とも仲良くしていたこともあって(補修校で私を見かけると、走って追いかけてくる天真爛漫な子たち……というかおちょくられていました)なんとか救われた感じでした。

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