Lunch Recess - お昼休み
Mrs.VanHoveの授業が終わった後は、お昼休みです。
この学校の生徒たちは、外国から来た転校生に慣れていたせいか、あるいは同じ日本人の美菜子ちゃんの人望もあり、とても親切でほがらかでした。日本人の美菜子ちゃんも含めた子たちが、「お昼だよ、一緒に行こう」と言ってくれた彼らと一緒に向かった先には、カフェテリア。日本の給食とは違い、お弁当を持ってくるか、自分でお金を払って買うシステムだということは親から聞かされて、お金も持たされていました。
(どんなものがならんでいるんだろうな、美味しいといいな)と少しワクワクしながら列に並ぶと、使い捨てのプラスチックのお盆が渡されて。
行列の先にはしなびたハンバーガー、ハッシュポテトの小さい版のようもの(Todsというもの)、それにペットボトルやアルミケースの清涼飲料(ストローを挿す部分は少し薄くなっている)などが並んでいました。
それらを食べたときの感想はというと。
(日本の給食って、おいしかったんだ・・・)
日本では、家庭でも、義務教育でも、食育をしっかり行います。
黄色い食べ物(炭水化物)、赤い食べ物(乳製品含めたタンパク質)、緑の食べ物(野菜や果物)。
これらをバランスよく、しっかり食べよう、そう言われて育ってきましたが。
だんだんと、言葉も少しずつ話せるようになってから、
みんなから話を聞けば聞くほど、
「学校だけならともかく、家でも、バランスよく食べることとか、みんな全然気にしてなくない?」
アメリカ人って……。
本当に、文化とは不思議なものです。
いい、悪いではなく、もっと言えば食育のレベルの低さを含めた、がさつで大雑把なところは間違いなく欠点なのですが、アメリカ人(西海岸の人たちのかな?)のおおらかでオープンな明るさは絶対的な美徳で、あるいは自分の言葉と心を大切に育てるためにディベート能力を磨く教育方針も正しくて、どの国の文化にもいい面、悪い面は必ずあるんだな、と食育について気づいたその時も感じました。
逆に、食育がしっかりと叩き込まれている家庭では、日本の一般家庭以上に、オーガニック食品に気を配った、健康的かつ美味しい料理を食べていて。
つまり、個人の家庭による差が激しいのが、アメリカ人です。
(これは食育に限りませんが、食育に関しては特に、気にしない人は本当に気にしていなかったです)
カフェテリアも、私の目にはなんだかさびれて見えて。
大切な子どもたちの栄養を支える場所というよりは、寂しげな雰囲気のダイナーのようで。
(ちなみに、中学校に入ったら、温かいピザやハッシュポテト、焼き立てのハンバーガーにコーラ、カップヌードルなど、栄養価はほとんどなかったですが美味しいものを食べられるようになり、とてもうれしかったです)
次の日からは、できるだけカフェテリアで買うのではなく、家から持ってこよう、そう心に決めた瞬間でした。
ですが、いわゆる日本の「Bento」を持ち込むと、かなり目立つだろうな、ということは子供にもわかります。
周りの子たちや、カフェテリアに座っている子たちはどんなご飯を持っているんだろう?ということをちらちらと見ながらチェックすると、持ち手のついた、留め金付きの大きめのアルミ缶にりんごや簡単なサンドイッチ、カットにんじんなどを持った子や、「Lunchable」と大きく書かれた、クラッカーやハム、チーズ、おやつなどの詰め合わせのパッケージなどを持っている子供たちが多かったです。
その中でも、お気に入りの「Lunchable」のパッケージを見つけてからは、私のお昼の半分はそのパッケージでした。だいたい3〜4ドル(日本円にして324円〜432円程度)ぐらいでしたでしょうか。
Lunchableは栄養バランス的にはあまり好ましくない組み合わせだったのですが、親にとっては子供が欲しがるからという理由で買い与えていたそうです。
本音としては楽ができてよかった、と思っていたと後々話してくれましたが。
それ以外ですと、母が作った、ハムとチーズ、レタスをバターとマスタードを塗ったパンに挟んだサンドイッチをジップロックに入れたものを2つとフルーツをの詰め合わせを入れたタッパーに、ペットボトルの飲み物をカフェテリアで買うという組み合わせが多かったと思います。
周りのみんなからも浮かない、けれども私がおいしいと思えるランチを用意してもらうよう、母には色々と工夫(?)をしてもらったものです。
何もかもが周りと違う中で(育ち方、考え方、立ち振る舞い)せめて持つものはみんなと同じものを持ちたいと思ったんだろうな。
日本風のお弁当、持っていったら、いじめられることはなかったと思うけど、悪目立ちしたもんね。
余談ですが、その初日、母は妹とお昼を食べるようにと指示していたそうです。
そのため、職員室のようなオフィスで待ち合わせておけばいいよ、と言っていたそうなのですが。
私はそのことを忘れてしまったのか、うまく伝えることができず、なんとかなると思ってしまったのか……
記憶が定かではないのですが、ともかく妹はそう行動しようと思ってくれたらしく、ランチ に行こうと誘ってくれた同級生に、
“I am eating office!”
(「私はオフィスを食べます!」)と告げたそうです。
なんとかコミュニケーションを取ろうとした同級生も、だめだこりゃ、とそのままカフェテリアに連れて行ってくれそうで、私たち二人は、無事同級生とランチを食べることができました!
(妹、あのときはごめん)
面倒見のよかった同級生たちのおかげで、とても不安だったスクールライフも、なんとかスタートを切ることができて、やれやれという感じでした。
しつこいようですが、ごはんはあまりおいしくなかったけどね。
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