第5話 - お返事 -



この日も恒例の、HIROの店へ行く事になる。


「今日は後から、ナベもここへ来るそうだよHIRO」

「あぁナベちゃんか、久しぶりだなー」

「HIROはしばらく会ってなかったっけ?」

「そうだねぇ丁度3ヶ月くらいかな?

髪切りに行ってないからなぁ」

「そ言えばHIRO、髪伸ばしてるの?」

「あ、いや。行く暇が無いだけだよー

アハハッ」


田邊純、ナベちゃんは美容師だ

HIROと同じでまだ雇われ店員だが。

平日火曜日しか休日がないから、皆とはなかなか会えない。と言うより、親しい人たちや、友人は皆ナベちゃんの店のお客だから1ヶ月に一度は個々に会って居る事になる。

HIROの店でも、ナベちゃんが不在の時は話題には出ている。

ボクとナベちゃんは、中学を卒業後に出会ってから付き合いも長い珍しい友人だ。同じ中学で、クラスは同じになった事は無いのにゲーム友だちを介して知り合って仲良くなった。

ゲーム機を持っている悪友ん家が溜まり場になって居た其処でだ。

ナベちゃんはHIROと同じ高校だった、ナベちゃんは美容師になりたくて一年で退学している。高校辞めてからもボクとは頻繁に遊んでいた、そんな中……

 「マー君さぁ?隣り町出身だったよね?」

「うん、そだよー小学高学年まで生まれ育った町に居たけど、それが?」

「あぁ、やっぱり。HIROって知ってる?

細身の顔は色白面長のー」

「あーあーよく遊んだよ幼少ん時わー」

「そうなんだ!今駅前で呑み屋の調理師やってるんだよ、今度行ってみない?」

「あ、行く行くぅー!

HIROかぁースゲェー久しぶりだな!」


コレがきっかけで、ボクとHIROは15年ぶりに再会できたと言う事だ。

ナベちゃんの交友関係は商売柄、とても広いから話を聞くだけで世間がとても狭く思える。そしてこのHIROの店では、ボクは初来店で伝説を作ってしまったのだった。

ナベちゃんとの再会の感激と、懐古の話で盛り上がり、調子にのってナベちゃんがいつもココで呑んでいるジントニックとやらを初めて呑んで3杯でノックアウト。ほぼ、開店から閉店近くまで男用トイレを占拠してしまった。

ずぅーっと目が回って気持ち悪くて、身動きがとれなかったのである、とても恥ずかしい伝説だな。ソレもあって、週末になると何気なく訪れて常連客のふりをしている、迷惑をかけてしまったお詫びにだ。


「こんばんはーHIRO!」

「お、来たねーナベちゃん

いらっしゃーい、どーぞどぞ」

「予約の電話待っててもいっこうに来ないからさぁーおいらがHIROの店に来たんだぞ?」

「あ、ごめんごめん。

休みでも、なかなか出掛けられなくてねぇー

来週予約するよ!今度頼むねー」

「はい、一名様!ご予約を承りましたぁー

……てか、この前ゆー子さん来たんだよ」

「ゆー子さんは几帳面だから月一度必ず行ってんだねぇ」

「そうじゃないんだよ。

やけに暗い雰囲気だったからさー

それも心配で今日来たんだよ!」

「そかぁ、ゆー子さん……

10日くらい前から、ちとおかしいんだよね」

「な?HIROは原因わかってるのか?」

「いや、そこまで突っ込んだ話は聞いてないけど……大体予想はついてる」

「え、何かあったの?」

「それがね?……」


ボクと哲矢は、HIROとナベちゃんの話を黙々といつもの豆腐ステーキやポテトチーズ焼きをつまみながら、耳だけはダンボにしていた。

どうやら、この店の客人に業務拡張の話に騙されてココの権利書を渡してしまったそうだ。

それからはその客人は失踪、現在行方を追っているとのこと。他の経営店、老舗の寿司屋と喫茶店は大丈夫そうとの事。ココがその客人の手に渡ったらもうお店は無くなる。都市開発計画の一部になっているこの地域の土地は高く売れるから直ぐにでも売却されてしまうだろうな。


「なるぼとねぇー、

とんだ災難だなーゆー子さん」

「そりゃあ暗い顔するわけさっ

事務所や自宅もココだもんな!」

「ひでぇー奴だな、その客人!

ぶっ飛ばしてやるッ!!」


それぞれにこの店への想いと、ゆー子さんを心配する皆の声が飛び交う。


「そ言えば、月一度来るお客さんで探偵やってる人が居たなぁー相談してみるかな?」

「探偵かぁ、まぁ警察官よりはあてになるからな」

「それよりちゃんとした弁護士に相談した方がよくね?」

「それはもう手配済みだって。

だからHIROちゃんちは安心して仕事してて良いよ、との事」

「強ぇーなぁーゆー子さん、惚れ直したぜッ」

「なんだ、哲矢?初婚がバツイチ子持ちかよーもう何もしてなくてもパパじゃん!」

「あぁ、そこまで考えてなかったわー

今の無かったことに……」

「軽い結婚願望だなー哲矢は」

「アハハッハ……って笑話じゃないんだけどなー」

「ごもっともです……」

「あ、僕今日はそろそろ帰るね」

「なんだよ、おまえー

まだ早ぇー時間じゃんか!」

「あ、ごめんなー

昨日からテレホーダイはじまったからね」

「そっか!じゃあまたなぁー」

「うん、HIROご馳走さまー

お勘定ここに置いておくよー」

「毎度ありーまた来いよーッ!」

「はいよー皆んなまたねー

おやすみなさーい!」


この日ボクは自転車で来ていた。

駐輪場の自転車を引っ張り出して力強くペダルを踏み込んで急いで帰路に就いた。


「さぁ、もうすぐ23時だぁー

繋げる用意だけしとこうかなー」


"ピッピッピッ……ポーン!"


「テレホターイムッ!

待ってたぜぇーこの瞬間をっ

さて、

まずはクマピーのメールチェック、

どれどれ…… 」


ピコッ

受信中……

受信中……

ピコーンッ

『メールを2件受信しました。』

テロッ

『経験が上がりました。』

テロッ

『送信途中に仔猫に餌を与えました、

お礼に15ゴールド貰いました。』

タラリラリ〜ンッ


「ほぉー、メールの送受信だけじゃつまらないと思ったけど、こうすればゲーム感覚で楽しめるねーよく作ったなぁー

さて、メールの主は、誰かな?」


クマピーのメールソフトを開いた、相変わらず派手な演出だ。メールの一件目は広告メールだった、パソコンを購入したお店の秋葉にある本店からだった。当分はもうパソコン買わないから見ても周辺アクセサリーぐらいかな?まだ、プリンターやデジカメも買ってないから目移りする…… さて、二件目は?


「あ、チャットルームのナナコちゃんからだっ!ちゃんと届いたんだーボクのメール、やりぃ〜ッ ん、なになに?…… 」


件名: マー君へ

本文:こんにちわ!いつもチャットで話してくれてありがとう〜(ハートマーク)

今度、kkkのおひまチャットのオフ会があるみたいだけど参加しに来る?!

来週末らしいよ?まだ日程と時間は未定らしい。

私も、チャット初心者だからなんか心細くってねぇー>_<

良かったらお返事くださいな〜

ではまた、チャットで!


HN(ハンドルネーム)

ナナコ より


↑ここまで


「な、なにをー?!オフ会デビューかっ?

良いなぁー、でもkkkん所って東京の人たちばっかだもんなぁーそのためだけに上京?

ちと遠いなぁ…… 残念だけどぉ……

一応、ナナコちゃんへ返信しておこうかな?」


ボクは、ナナコちゃん宛てのメールをクマピーに送信のお願いをした…… ピロンッ


「是非参加します!」と返事をしたのだった、オフ会デビューするならご一緒に〜とも書いた。もうノリですよ…… ハイ。

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