素直になれないわたくしもそろそろ年貢の納め時かもしれませんわ。執事!執事のセバスチャン!わたくしのことをデートに誘ってもよろしくってよ。

エリザベート

001-転生したら勘違い悪役令嬢になっておりましたの!?~1

 私佐藤道子は他人に本心を見せられない。

乙女ゲームをしていても悪役令嬢ばかりに感情移入してしまう。

彼女たちだって本当はもっと柔らかくなりたいはずなのに…

そう私はどこにでもいる天邪鬼な20歳と72ヶ月の若者(彼氏募集中)。


 そんな私は気がついたら、見知らぬ部屋で髭の豊かなおじ様と向かい合って座っていた。

会ったことがないはずの人だけど、どこか既視感のある顔ね…

この部屋もまるで応接室のような作りだけど、わたくしとお父様の間にあるテーブルなんて木製だしまるで中世にタイムスリップしたみたい…


 え?わたくし?

 私自分のことを”わたくし”なんて言ったの?

 それにお父様って誰?


「ミレーユ。聞いているか?」

「ええ。確か今日私の誕生日でしたわね」

 お父様、ヴァンドーム侯爵家当主が次女である私を執務室に呼び出すイベントは確か、誕生日に婚約者の話をするためだったはず…ですわ。


「ああ、改めて誕生日おめでとう」

「嬉しいですわ」

「そこでだ。ミレーユ、17歳になったのだから婚約者と会う機会をそろそろ設けた方が良いかと思ってな」

 この世界の貴族は物心がついた時には婚約者がいることが多い。私なんて20歳(+72ヶ月)なのに彼氏できたことないのに…


 この世界?


 人によっては生まれる前から婚約者がいることもあるようだ…ですわ。

 しかし、婚約者といっても頻繫に会うとは限らず、結婚する前に会うことも多いのですわ。

 わたくしは学院生でございますので、18歳で卒業した後に結婚する予定でしたわ。


 予定でしたわ?


 私は20歳(+72ヶ月)。

 でもわたくしは17歳(+0ヶ月)。


 私は佐藤道子。

 でもわたくしはミレーユ・ヴァンドーム。


 私…わたくし…

 乙女ゲームの悪役令嬢になっておりますの!


「ミレーユ。誕生日プレゼントに服と宝石を与える。それで着飾ってアルフレッド殿下と食事でもするといい」

「お父様。考え事がございますの。少々お静かに願いますわ」

「お、おう」


 わたくしが転生したのは悪役令嬢ミレーユ・ヴァンドーム、17歳(と0ヶ月)!

 高飛車な振る舞いでドジな主人公アリアを糾弾する侯爵家の次女ですわ。


 ゲームでは、忠実な執事がフォローをしてくれましたけど、終盤になると婚約者の第三王子のアルフレッド様には婚約破棄されますし、お父様には勘当されますし、さんざんでしたわ!


 惨劇を回避するためには、周りに愛想よく振る舞わなくてはなりませんわね。


 ミレーユは素直になれないだけで…

クリア後のおまけエピソードを見ていただければわかりますわ!

 努力家で自分にも他人にも厳しいミレーユは誤解されやすいのですわ!

わかってはくれないのですね…


 ミレーユを幸せにするためにはわたくしは変わるしかないのですね。


 でしたらわたくし素直になってもよろしくってよ!

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