第92話 魔王クエスト完了……?

「それにしてもフワデラさんが魔王だったなんて……俺は一体どうしたらいいんだよ」


「どうもしなくてもよいじゃろ? おぬしは勇者でもなかろうに」


「そ、そういえばそうか……」


(ココロチン、ココロチン、俺って魔王を倒さなくても良いの?)


(ココロ:ルカの言う通り、勇者でない田中様には魔王を倒す義務はないですね)


(シリル:しかしクエストの方はどうされますか? 一応、魔王の討伐が達成目標になっていますが)


(そこんとこどうにかならないか? だってフワデラさんは魔王といっても悪いことしそうじゃないし。そもそもルカちゃんの眷属だよ? そして俺って一応、ルカちゃんの夫だから、広い意味ではフワデラさんは俺の配下ってことじゃない?)


(ココロ:うーん)


「ルカちゃん、フワデラさん。ちょっと変なこと聞くけど、俺ってルカちゃんの夫だよな?」

「その通りじゃ」

「そうです」


「フワデラさんがルカちゃんの眷属ってことは、俺にとっても眷属……準眷属くらいに考えても良い?」


「構わんぞ! おぬしはわらわの夫じゃからな! どーんと構えておるがよい!」


「主上がそうおっしゃるのであれば、わたしに異論はありません」

「ありがと」


(だって!)


(ココロ:うーん)


(シリル:つまり田中様が魔王の無力化に成功したという線で、上に問い合わせてみればいいのでは?)


(ココロ:無力化ですか……)


(そうそう! シリルっちの線で交渉してみてよ!)

(ココロ:わ、わかりました。でも、あまり結果を期待しないでくださいね)


(シリル:わたしもココロをサポートします)

(二人ともありがとう!)


(ココロ:許可が出ました)

(えっ!? もう出たの?)


(ココロ:ぴろろん! 1件のクエストが成功しました)

≫ ★成功★ 女神クエスト: 魔王を倒せ!

≫ クエスト報酬が支給されます。

≫ (捕獲)EON 300万ポイント(支援精霊ボーナスあり)


(ココロ:王の指輪は支給済み扱いとなりますので、その点はご了承くださいとのことです)

(問題ない! ココロチン、シリルっち、ありがとな!)


「ルカちゃん、フワデラさん、二人のおかげで大きなクエストがひとつ終わったよ。報酬もめっちゃ入ったから欲しいものがあったら何でもいってくれ!」


「おぉ、そうか! それなら……」


「それでしたら……」


 俺は二人が要望したものをすべて神スパネットスーパーで購入してプレゼントした。


 それから約一か月はプレゼント祭りだった。


(はい! ココロチンとシリルっちに今日も差し入れ!)


(ココロ:ありがとうございます。自分じゃ絶対に買わないズワイガニのボイルめちゃうめぇ……あっ、おいしぃ!)


(シリル:わたしも自分じゃなかなか買えない高級基礎化粧品セットありがとうございました)


(喜んでもらえてよかったよ。スキル開発部の皆さんにも差し入れ分も注文しといたから、あとで持っていってあげてね!)


(ココロ:了解です)


 グレイベア村の住人たちにも食べ物を中心にプレゼント。亜人には試しにプレゼントした下着が意外に好評だった。


「ふぉぉ! これは動きやすい!」


「いい感じです!」


 コボルト村やミチノエキ村の住人達にも色々と同じようにプレゼントを贈った。


 下着のプレゼントを提案したのはライラだった。それを受けて、俺は女性陣には下着だけでなく、服や香水、化粧品などなど、男性そっちのけの質と量のプレゼントをしている。


「あの……シンイチ様がくださる生理用品ですが、女性にとってはとても良いものだと思います」


 ということで生理用品まで加えた。あと子ども用のおむつとベビーパウダーも喜ばれた。


 というわけで、タヌァカ三村(コボルト村、グレイベア村、ミチノエキ村の三つの村を合わせてそう呼んでいるらしい)では、こと女性に限っては日本人と変わらない服装で村を闊歩している。


 ブレザーやセーラー服を着た若い亜人女性が丈の短いスカートで歩いているのを見ると本当に癒される。


 尻尾のある亜人は、おパンツが見えちゃうんだよな。


 フヒヒッ。


 ……という俺のスケベったらしい顔を見た何者かの発案によって、亜人のスカートや下着には尻尾用の穴が開けられることになったのは後日談。


 えっ? 服の選び方?


 そんなもん俺の趣味に決まってるじゃないか!


「シンイチ様のいた世界では、このような服が女性に好まれているのですか?」


 二人きりの部屋でライラが俺に丸出しの背中を見せながら俺に尋ねた。


 前部分だけのセーター、そうみんなの憧れ『DTを殺す服』だ。背中をもじもじさせながら困惑するライラの表情だけで、俺はもうご飯三杯はいけそうだった。


「女性というか男性に間違いなく好まれているね」


「そうなのですか。それにしてもこれは……ちょっと恥ずかしいです」


 もじもじするライラの脇腹から見える横乳に俺の理性は吹っ飛んでしまった。


「むほぉぉ! ライラ! もうたまらん~!」

「きゃっ! シンイチさま!?」




~ 6時間後 ~


「もう、夜なのじゃが?」


「夜ですね」


 ルカちゃんの前で俺は正座をしていた。


「悪魔……なんとかの捜索についての打ち合わせを午後にするのではなかったかの?」


「はい。すみません」


 打ち合わせをすっぽかされたルカはぷんぷん激おこだった。


 当然だな。


 俺も今は反省している。ライラとの三回戦に入るとき、一瞬、打ち合わせのことが頭をよぎったのは確かだからだ。


 だがそのときの俺はライラを選んでしまった。反省はしているが後悔はしていない。


「まったく! おぬしといいフワデラといい、人族系の連中ときたら一度盛り始めたら際限がないの。まったく困ったものじゃ……」


 ルカがやれやれと頭を振りながらため息をついた。


 ……ってちょっと待て!


「フワデラさんも?」


「あぁ、おぬしと同じく昼からずっと、あの銀髪のおなごと部屋にこもりっきりじゃわい」


 えっ!?


 フワデラさんとシュモネーさんが?

 

「ええぇぇぇぇえ!?」




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