第81話 私立白百合学園2

(いや、どうみてもほとんど女子高校生ばっかりだし18歳以下もいるだろ!)


 俺はモブキャラ少女に反論した。


「……もう少し観察してればわかりますよ」


 モブキャラ少女はそういうとさっさと教室の中へ入っていく。


(いったいどういうことなんだ?)


 俺はいったん奇妙な装置から身体を離して、みんなに状況を説明することにした。


 とりあえず今日はここに滞在することになりそうなので、神スパで必要な買い物をすることにする。


「フワデラさん、もののふバーガーでいい?」


「おお、あれはまことに美味ですね。ありがとうございます」


「ライラは? 遠慮しちゃだめだからね」


「そ、それでしたらあのデザートにフルーツヤマモーリクレプ?がいいです」


 北方戦士の二人にはとりあえずフワデラさんと同じもののふバーガーを5個ずつ注文した。


 俺とライラは具がはみ出る巻きずしパーティーパックだ。やっぱり米じゃないと力でないんだよな。


 ちなみにライラは俺と同じものを食べているうちに、今では和食系にも慣れてきている。


 床にホッカイロを四箱分を均等に配置し100均のゴザシートを敷きつめて床暖房四畳半を作成し、みんなで座って食事をする。


「つまり勇者の脳が今も夢を見ているということですか? パクパク」


 俺の話を聞いたライラがデザートを堪能しながら聞いてきた。まったくパクつく顔も可愛いなライラは!


「うん。後でもう一度装置に触れてみて、今度は勇者とコンタクトを取ることができないか試してみようと思う」


 あのモブキャラ少女が気になる。少女は明らかに俺のことを認識して語りかけてきた。言ってることは意味不明だったが、何らかの意思疎通が出来ることは間違いないだろう。


 食事を終えた後、俺は再び装置に触れた。




 ~ 勇者の夢 ~


「浩二……」


 んっ? もう朝か? それにしても俺の上に何かが乗っているような。


「むちゅっ」


 何か柔らかいものが俺の唇に触れる。あぁ、この匂い……ハルナだな。


「おはようハルナ」

「ひゃっ!?」


 ハルナが驚いて顔を離す。ベッドで寝ている俺にハルナが跨っていた。


「おお、おはよう! 浩二! あ、あんたが寝坊してないか心配だったから、起こしに来てあげたんだから!」


「ありがとう、ハルナ」


 ハルナが顔を赤らめて腰をもじもじさせる。おいおい、そんなところで腰をくねらせたら……。


「んっ!」


 ハルナの腰が艶めかしく動く。


「な、何か、固いのが……当たってるんだけど?」


 そういってハルナの腰が俺の上でゆっくりスライドを始める。


(……エロアニメかな?)


 んっ? 何か声が聞こえたような……。


「ちょっと、お兄ちゃん! ハルナさん! 朝っぱらから何してるの!?」


 ティアが俺の部屋に飛び込んで来た。俺は慌ててハルナを押しのけて立ち上がる。


「きゃっ! お兄ちゃん! 何てもの見せるのよ! このエッチ!」


 ティアが手で両手を覆う。しかし、指を開いた隙間からガッツリと俺のマンモス(公認)を観察しているようだ。


「ち、ちがうのティアちゃん、わたしは浩二を起こしに来ただけ!」

「じゃぁ、どうしてそんなに制服がはだけてるんですか!?」


 ハルナを見ると、胸元が大きくはだけていて、白くて大きな谷間が覗いていた。それを見てついつい俺のマンモスが鼻を高々と掲げる。


「お、お兄ちゃんのスケベ! エッチ! ヘンタイ!」


 ティアは顔を真っ赤にして叫んだ。でも相変わらず指の隙間からガッツリ観察している。


 やれやれ……朝から騒がしいことだ。俺はやれやれだった。


(ジィィィィィィィィィ)




 ~ ランチ ~


 この学園には男子生徒はほとんどいない。女生徒たちはみんな異性に興味深々な年頃なので、休み時間ともなれば俺の周りには女生徒で溢れ返ってくる。


 まったくやれやれだ。


「浩二くん、お昼一緒に食べない?」


 絶対領域がまぶしいクラスメートの松野さんが誘いを掛けてくる。彼女は自分の足に自信があるのだろうか、俺の手を取り絶対領域に触れさせる。


「ちょっとぉ! 南くんはアタシと一緒にランチするんだから! そしてそのあとは……ね?」


 クラスで一番巨乳の田中さんが、ぱっつんぱっつんで今にもボタンがはじけ飛びそうな胸元を俺の鼻先まで持ってくる。俺のマンモスもぱっつんぱっつんになってきた。


(ごくり……)




 ~ エロゲマスター ~


 勇者の見ている映像をそのまま見ていた俺は、目の前に迫りくる大きなおっぱいに視線が釘付けになってしまった。


 その時、ふと背後に不穏な空気を感じた。何かこう捕食者ライラに視線を向けられているような……。


 あっ、そうだ。こんなことをしている場合じゃないな。モブ少女を探さなくては……。


 俺は意識を教室の外へと向けた。こうして意識を逸らせば自由に移動することができることが分かっている。いや、すれ違った女子生徒でカワイイ娘がいたから、その後を付いていったら動けたんだよ。


(エロゲマスター様、エロゲマスター様、ちょっとお話が……)


(ココロチン、その言い方は酷くない? だいたいこの夢を見てるのは勇者であって俺じゃないからな。俺はこういうアニメ調じゃなくて、厚塗りの方が好み……)


(エロゲの解説はいいですから、わたしの話を聞いてください)


(うっ、それで何なのさ)


(田中様がお話されたモブ少女ですが、あれは恐らく支援精霊です)

(えっ!? そうなの!?)


 モブキャラまで演じなきゃいけないなんて、支援精霊って大変なんだな。


 俺はちょっと同情した。



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