第59話 緊急!女神クエスト
(ぴろろん! 緊急女神クエストが発生しました。確認しますか?)
(はっ!? いきなりどしたのココロチン?)
(確認しますか?)
(はひ!)
ココロチンの声に含まれる圧に押されるように俺は了解した。
(ぴろろん! クエストの内容を表示します)
≫ 緊急女神クエスト:はじめての妖異狩猟
≫ ここから南は5kmのところにショゴタンが発生しました。
≫ この妖異を狩猟してください。
≫ クエスト参加資格:転生勇者、召喚勇者、神命勇者、一般転生者
≫ クエスト報酬:
≫ (討伐)EON 12万ポイント(支援精霊ボーナスあり)
≫ (捕獲)EON 10万ポイント(支援精霊ボーナスあり)
≫ ※初回受注者は本クエスト受注以降、神界クエスト(女神/天使)が発注されるようになります。
(なにこれ?)
(田中様、さっさと装備を整えてとっとと出発しましょう! これはチャンスですよ!)
(だからこれ何なの?)
(移動中に説明するから、とっとと準備しろって言ってんだろ!)
(ひぃぃぃ、ココロチンが怖い。妖異って魔物と戦うの?)
(そうですよ! 今の田中様なら目を瞑っていても勝てる相手です!)
興奮気味のココロチンが深呼吸して後、ドスの効いた声で……
(本クエストを受注しますか? YES or No)
(いっ……イエス?)
またどなられるのが怖かったので俺は何も質問せずに答えてしまう。
(クエストを受注しました)
ココロチンの声が、いつもの感情の一切こもっていない合成ボイス風のものに戻った。こっちの方が落ち着くわぁ。
(それじゃ急いで出発してください! 個人指定のクエストじゃないので、ぐずぐずしてると他の勇者や転生者に報酬を持って行かれてしまうかもしれません)
(で、でも!)
(さっさと出発しろっつてんだろ、このドDTがぁ!)
(はひぃぃぃ!)
俺は短槍を手に慌てて走り出す。
「ネフュー! 緊急事態! 付近に魔物がいるらしい! 一緒に来て!」
マーカスはヴィルとバーグの街に出かけていたので、俺はネフューを伴ってクエストに向かうことにした。
ステファンとライラも俺の声を聞いて駆け寄ってくる。
「シンイチ殿、いったいどうされたのですか?」
「この近くにヤバイ魔物がいるみたいなんだ。とはいえ俺一人でも倒せそうなんだけど、一応、ネフューたちにも来てもらおうと思ってね」
「それならば、わたしとライラもお供させてください」
「いや、二人には村の守りを頼むよ! お願い!」
「わ、わかりました。どうぞご無事で」
「シンイチ様……どうか無理はなさらないで……」
「ありがとう! ステファン、ライラ!」
ネフューとフィーネが俺の馬を引いてやってきた。やっぱフィーネも付いてくるよね。知ってた。
「よくわからんが、シンイチが緊急というのなら急ごう」
「うん。急ごう、ここから南に2kmにいるみたい」
そう言って俺は華麗に馬に……ステファンの手を借りて跨った。ネフューに乗馬を教えてもらってはいるんだけど、馬に跨るのはまだ人の手が必要だ。
時間かけて何度かトライすればたまに乗れたりすることもあるけどな。
「行こう!」
道中は、索敵マップに矢印で対象のいる方向がわかるので迷うことはない。現場に到着するまでの間、俺はココロチンから詳しい話を聞くことができた。
緊急女神クエストは、その名の通り女神が発注元のクエストだ。
一度「はじめての~」系のクエストを受注すると、それ以降は女神や天使の発注する神界クエストが受注できるようになるらしい。
つまり今この時点で、今後、俺は神界クエストを受けることができるようになったことになる。まぁ、受注には資格条件が付いていることがあるので、全てのクエストが対象になるわけではないようだ。
クエストの内容は様々だが、一番多いのが「妖異狩猟」だ。妖異というのは魔物とは異なる存在だそうで、世界の外側から侵入してくる異物のようなものらしい。
そういった異物は主に星の男神たちによって撃退や駆除が行なわれているのだが、稀に追跡を逃れてドラヴィルダに降り立つ妖異がいる。
そうした妖異を発見した際、女神たちは勇者等を派遣して妖異を討伐する。
ちなみに勇者としてこの世界に転生したものが転生勇者、転移したものが召喚勇者、この世界に元々いる住人で勇者としての資格を与えられたものが神命勇者だ。
(それにしても、EONポイントが10万以上ってのはおいしいね。まぁ、その妖異ってのが目を瞑って勝てる相手だったらってことだけどさ)
(勝てますよ。【幼女化】ビームで即終了です。ショゴタンなんてスライムみたいなもの。初動は遅いので見つけたら即ビームでハイッ撤収!)
(そっか。ところでこの『支援精霊ボーナス』ってなに? 追加で何か貰えるの?)
(……えっと、今日は本当にいい天気ですね)
話を逸らしやがった! それにしても下手くそか!
(ところでこの『支援精霊ボーナス』ってなに?)
(そ、そぉーんなのありましたっけ?)
(……じぃぃぃぃぃ)
(汗)
(じぃぃぃぃぃ)
(汗)
(じぃぃぃぃぃ)
(わ、わたしにボーナスが入ります)
(なーんだ。それなら良かったじゃん!)
(は、はぁ……)
(俺も愚痴ばっか言ってるからココロチンは誤解してるかもしんないけど、俺、本当にココロチンには感謝してるんだよ。ずっと世話になってばかりでさ、ほんと有難いっていつも思ってるから)
(ほへ?)
(EONポイントが入って俺も良し、ココロチンにもボーナスが入って良し、言うことなしじゃん! これからも無理のない範囲ってことではあるけど、余裕があればどんどんクエストこなしていこうよ!)
(あ、ありがとうございます! が、頑張りましょう!)
俺は、ココロチンから聞いた内容を手短にネフューとフィーネに伝えた。
「なるほど、そのスライムを倒せばいいんだな」
「そいういこと! それで10万ポイントげっと! フィーネさん、何か欲しいものを考えといてね!」
「ありがとう、シンイチ!」
俺たちは意気揚々とショゴタン狩猟に向かった。
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