12
僕は恨みがましく二人の顔を睨んだけれど、二人は笑いながらもさっさとしろという笑ってない目で僕を睨み返したので怖くなってズボンをゆっくりと脱いだ。
僕はもうトランクス一枚になってしまったのが恥ずかしくて、ソファにあるブランケットを肩に掛けた。
でもそれは短くて僕の上半身しか隠せない。
「だから始める前にハンデやっただろ、お前は五枚くらい多めに着てたじゃないか」
まだ一枚も脱いでない可憐が言う。
「ううっ」
「後は隆二さんだなー」
可憐は隆二に意地悪そうに視線を向ける。隆二は既に上着を脱がされ、タンクトップとジーンズ姿だ。
可憐は恐ろしく勝負運があって、僕はトランプから花札から毎度に可憐にはかなわない。
「ん? しかし、守が負けたからこれで終わりだよね? 可憐さん」
ルールは誰か1人でもパンツ一枚なったら終わり。
「甘い甘い隆二さん、こいつまだ下にブリーフ着てるよ。な、守」
「えっ……」
「ううっ」
隆二は僕を見ると納得したように笑った。
「なる程なる程、じゃ、ギリギリまで脱がせないとな……」
二人して変な視線を流す。泥酔二人組は手元のカードに目を落とした。
「くっそ、負けた!」
隆二さんが手元のカードを投げ捨てる。もう既にパスを三回してた。
「しゃー! 隆二さんほらタンクトップ脱いで~! 下のジーンズでもいいんだけど」
可憐がそう言うか言わないかのうちに隆二は不満そうな座った目のまま、ざっとタンクトップを脱ぎ捨てた。
「うわー潔いいい、格好いい~! 男らしい体躯してるねぇ~! 守、男ならこうでなきゃ」
可憐が嬉しそうに言う。
「はいはい」
僕はどうせ潔くないよ……。ブランケットに包まったままだしね。
隆二は特に返答もなく、つまらなそうに腕を組んでいる。嬉しそうな可憐はカードを回収して切り出した。
「ほら、守、カード配ったよ!」
「あ、うんって。もう僕いいってば!」
結局もう一度勝負をしたけど、僕はまた二人に意地悪され、あっさり負けて結局トランクスを脱ぐ羽目に。
僕はトランクスを素直に脱いだ。僕の姿を見た隆二は「ホントだ……」と言うと変な納得をして僕のブリーフ姿をマジマジと見た。
「お前のブリーフ姿って珍しいね。それも結構似合ってるじゃん~」
可憐が殊更上機嫌でいう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます